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プロポーズ小作戦70

2009-05-11 21:31:41 | コードギアス
プロポーズ小作戦70
2020年12月上旬
コウノトリは赤ちゃんを運べないの?


さて、時はご都合主義で狩猟会の当日である。
「コウノトリは赤ちゃんを運べないの?」
赤い瞳をぱちくりさせる天子。
「天子様、コウノトリの話は星刻様から聞かれましたね」
「星刻が教えてくれたわ」
にっこり微笑む天子。
「天子様、私も昔はそう信じていましたのよ」
ナナリーはそこから話を始めた。
学校でお花にはめしべとおしべがあって、それで種ができることを教えられた事。生き物は多くの場合雄と雌で子孫を作ること。
そこまでは天子もすぐ理解した。
問題はその先だ。
「天子様、コウノトリは赤ちゃんを連れてはきません」
「えぇ?!」
「人も他の生き物と同じです。雄と雌がいて子供を作るのです。」
思い切ってナナリーははっきり言ってみた。
「でも、しんくーが」
「それはうそです。子供が小さい間の」
「でもどうしてしんくーが私に嘘を言うの」
「天子様、それを聞いたとき天子様はおいくつでした?」
「・・・、わからない、でも星刻はあの頃私を肩に乗せてくれたわ。遠くが見えて大好きだった」
「まだ、幼い天子様におとなのこういう話は早すぎたのです。ですから嘘というわけでもないのですわ」
「だって、でも、それなら今は、どうして教えてくれないの。わたし、星刻の赤ちゃんが欲しいの」
「それは、殿方が口にするには少し難しいのです。星刻様がもっと年上で、そうですね60歳くらいなら平気でしょうけど」
「どうして」
「若い殿方ではそういう事を説明すると、ついそれをしたくなるときがあるのです。とくに好きな女の子を相手に説明して我慢するのはつらいでしょうね、そうですね、ジノ」
いきなり話を振られて、ジノはイエスと返答するしかない。
天子にはそういう男の事情を理解するのは難しい。生身の男としては、星刻や洪ぐらいしか知らない。そのうちの星刻は天子にだけは美しいものしか見せようとしないし、洪はそもそも天子を子供としか思ってない。ジノもいたけど、ジノは立場も気持ちもお姉さんだった。
一度に理解させるのは無理だとわかっていた。そのためにナナリーは参考になりそうな本や映画をプレゼントした。また、表向きはコウノトリを信じている振りをしていなさいねと教えた。そのうちに星刻様のほうが絶対に実地で説明されるようになりますから。
さらりと、結構きわどい教えを与えるナナリーである。


狩猟会はご婦人達の宝石自慢やざわめきのうちに終わった。ご婦人達は大人になっても手のひらに乗るミニ羊をお土産にそれぞれ戻っていった。
大人になっても手のひらサイズ。この羊ははるか昔のトリスター社の製品で極上の羊毛を得るために開発された。ただし、羊毛よりもペットとしての需要が多く、後にプチっ子ペットシリーズの主力商品となった。トリスター社の製品は今日ではほとんど残っていない。現在確認されているのはクオーターシルクとスマイルオレンジ、手のひら羊のみである。

小さな金の鳥かごに愛らしいぷっくらふわふわの羊を連れ帰る貴婦人達の中で、天子だけは威風堂々とコウノトリをつれて戻った。


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