しばらくして、またマスタングは氷樹を呼び出した。しかし、医療・生体系の術の研究のため旅に出ているという。定期的に連絡が入っているので、軍の規則では問題は無い。問題があったのはマスタングの私情部分。エドが一緒に行っているのだ。
第2秘書はふと見上げた執務室の壁に、万年筆が深くめり込んでいるのを見た。
マスタングは表向きフレッチャーに関する調査をやめたが、個人的には続けていた。その日ようやく報告書が届いた。その中に引っかかる部分があった。
偽名で冷凍倉庫を借り、その中に棺を保管しているという。法的には棺を冷凍しようが焼こうが問題は無い。問題があるのはマスタングの私情部分。
不完全とはいえ、人体錬成を成功させたエド、そのエドに懐くフレッチャー。
冷凍倉庫の中の棺。遺体は亡くなった兄だろう。
「何のために遺体を保管している?」
マスタングは疑問を声に出す。
そして答えを声にできない。
(兄を生き返らせる気か)
(鋼のを利用して)
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