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読書歴 北の十字軍 ヨーロッパの北方拡大

2012-08-09 14:40:39 | 読書暦 音聴歴
北の十字軍
山内 進
講談社選書メチエ


めったに見ない北の十字軍本。APH系の薄い本でもこの分野は少ない。露普本はあるけどほとんどあの40年か、よく遡ってもプロイセン時代。プーは単体でもいいと思うんだけど弟がらみだと最高においしくなるからな。夏コミでもその分野多いだろうなー。行きたいなー夏コミ。地方在住はつらいよ。

この本は表紙のあおりを書けばほぼ終わってしまう。「時は中世。ヨーロッパ北方を目指す「もう一つの十字軍があった。教皇の名の下、「異教徒と根絶」するべく残虐の限りをつくすドイツ騎士団。
ギル主役のドエス本を期待した人は私の同族です。
それを「正当化」した「思想」とは何か。大殺戮批判が生んだ「人権思想」とは?
3世紀に及ぶゲルマンスラブの相克! はい、露っ様に触られたら眉毛が抜けるレベルのギルくんはあの40年以外にもこの頃にも理由がありそうですね。アイ、あい、哀増、哀か憎悪か、臓か、ギルと露っさまの関係は愛憎よりも哀臓が似合います。関係が深すぎるし、絡み合いすぎる。プロイセンはゲルマン系も多かったけど、ゆだやんとかスラブとか、もとパリ人とかものすごくいたんです。特にオストプロイセンはスラブも混血も多い。もし明治維新の頃、プロイセンが同盟してくれ、割譲が成立していれば、黒髪黒目の日本人系プロイセン人もいたはずだ。あいづ藩がもうちょっとがんばってギルの上司を説得してくれていたらナー。今頃北海道の主食はポテトだったのに。・・・卵かけご飯だけは食べたいなー。

ちなみに一番少ないのは国名のもとになったプロイセン人(もともとのプロイセン人)だったりする。
とうのプロイセン人に言わせれば殺されまくり、文化はほぼ消滅し、しかも民族名をとられ、さらにあの大戦の責任を押し付けられ、国名は不名誉の扱いを受け・・・。もし、少数でもプロイセン民族が自覚を持って残っていたら、なんか言いたくなりますよ。言ってくれないかなー。誰かそういう話書いてないかなー。

いかん、本に戻って、3世紀に及ぶゲルマン・スラブの相克から、「大航海期」までをも展望し、ヨーロッパ拡大の理念とその矛盾をえぐり出す。


本のあおりって大事ですよね。これ読んだだけでこの本欲しい気がする。
表紙の絵もいい。タンネンベルグの戦いです。はい、APH派の人はとっくにご存知ですね。ギルがリト・ポーにのされたあの戦い。
さぁ、ヘタの単行本の3巻108から110ページを見よう。ギルのかっこいい、負けシーンが見えるぞ。
おや確か、私は不憫、普ビンな御兄さんの味方のはずだが。なんでこのページをお勧めページにするんだろ。あぁ、そうか。ギルはいじられてこそギルだからか。ラッセルも武蔵も不遇な扱い受け続けてる子だもんな。

この本は最初に「アレクサンドル・ネフスキー」という大作映画の紹介から始まる。(後で、アマゾンで売ってないか調べて見た。2000円くらいで売ってます)
1242年の氷上の戦いを映像化したもの。単行本4巻の73ページの「氷の上で鎧の人たちがドッタンバッタンやって、最後盛大に全員湖にポチャした戦い」歴史的にはドイツ騎士修道会が露っ様にぼろ負けする戦い。ギル君。単行本ではこんな扱いが多いな。実際、この子は負けも多いんだけど。負けても負けても生き残った。それがギルの強さ。生きぎたなさには定評のあるギル様です。
さて、そもそもなんでそんな北の湖でドボンすることになったのか。それが北の十字軍なんですね。

思想的には(世界をキリスト教化するために戦い、征服する)騎士修道会の使命に基づいてる。
で、エルサレムではすでにヨハネお兄様やテンプル兄貴が幅をきかしてて、ギルの入る場所はあまりない。それならと、もともとなじみのある北部ヨーロッパへ方向変換。教皇様も神聖ローマ皇帝も「どんどん行きなさい」と言うし、ギル君の北国生活の始まり。
エルサレムを第1の十字軍。イベリア半島(スぺ親分ほか)を第2の十字軍。このギル君を第3の十字軍と言う。こんなことまで歴史の教科書には書いてない。だから、日本史では明治維新。世界史では30年戦争あたりでいきなりプロイセンの名が出てくる。で、すぐドイツに変名する。もしAPHが無ければ普通の日本人にとって、プロイセンはドイツの古い名前以上の意味を持たない。もったいない。この時代はすごく   のに。