金属中毒

心体お金の健康を中心に。
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勇希17歳

2010-09-14 10:39:07 | Weblog
ユウキが17の時扇は死んだ。暗殺されたとの噂が絶えないが公式には事故死である。扇の死後、中華との仲がこじれた。
後を継いだ総理はすぐさま修復に努めたが、問題は後から後から出てくる。
この時期に問題が多発したというより、扇が生きていた頃は中華との強力なパイプのおかげで問題が表に出ないうちに解決していたのだ。
後継総理は扇の地盤やパイプを引き継ぐ存在を自陣営に加えようとし、その一環としてまだ高校生だったユウキを訪中団の名誉団長に指名して中華入りさせた。
だからユウキは今朱禁城にいる。

天子様は30歳。今も独身だ。中華政府は「私は国家と結婚した」というブリテン女王の故事を引き、「女帝の代に大地は富む」と宣伝している。
親政を取り始めた天子様が「平和」「安定」「地母神」を宣伝文句にして、優しく微笑む中華の長であれるのは、ひとえに生前の星刻が潜在敵を滅殺尽くした為。その意味では星刻は今も天子様を守っている。
15億人から愛され尊敬され至高の座にある。忠臣達は彼女の足元にひざまずける事を無上の喜びとしている。国は強く安定している。
王家の者に生まれた者にとって理想であるはずだ。
それなのになぜだろう。ユウキの目には天子様は少しも幸せそうには見えない。
その理由をユウキは知っている。5年前に死んだ男、彼こそが天子の幸福だったのだから。

星刻は生き急いでしまったのだ。あまりに生き急ぐのは革命家や冒険家ならまぁいいが、夫としては最低だと思う。