プロポーズ小作戦110
ここで少し過去に戻ろう。プロポーズ小作戦の星刻は失策ばかりのようだが、他のところでは勝利を続けている。さもなくば一度は完全に秩序を失った中華をバックに世界の3分の2を支配するなどできるはずはない。
ゼロ・レクイエムが終わったあの日から、拷問の為落ち切った体を鞭打つように星刻は動いた。病状が安定するまで動かすのは危険という医師団の判断で、エリア11時代の中華領事館に本陣を置く。転んでもただでは起きないを実践した星刻は黒の騎士団の情報部門を直接の配下に取り込んでいた。ディートハルトの指揮下にあった情報部門は騎士団の中で浮いた存在だった。彼らとようやく連絡のついた蒼天講の生き残りを指揮し、10日後には洛陽を中心とした地域を安定させ天子を帰国させた。
星刻自身も7日後帰国。その折にはラクシャータを始めとするナイトメア技術者を伴った。この時点ですでに白虎部隊の計画はあった。
さらに蓬莱島に寄り、工学やライフライン関連の技師をごっそり洛陽に連れ帰った。技師たちは中華の名誉国民権を与えられ、本国日本でも望めないほど優遇された。
ラクシャータはともかく、蓬莱島の日本人についてはさすがの扇も一応苦情を申し出た。対して星刻は「彼らは望んで中華に来ている」とあっさり突っぱねた。
国力の差というものがある。ましてこのときの扇は一個人であった.技師達が望んで中華に渡ったと言われればそれ以上反論できない。結局彼らが望めばいつでも帰国させるという星刻の言葉を受けるしかない。
実際盆や正月には技師達は帰国し、中華での優遇ぶりを吹聴した。結果、ようやく軌道に乗り始めた復興に欠かせない技師がさらに中華に渡ることとなった。
後から見ればこれが政治家としての扇のデビューになった。
というのもこの時点で日本の政治家には星刻やシュナイゼル、EUやアラブの長達と対等に渡り合える人物はいなかった。また、そういう存在達とパイプを持った者もいなかった。
こう書くと日本の政治家は無能ばかりかと思われるだろうが、また実際にそうだったかもしれないが・・・、原因はフレイアである。まともな人材はほとんど消滅していた。
いきなり総理指名を受けた扇は最初かたくなに断った。
自分は小人で、罪人だ。
さらにブリタニア人の元軍人を妻にしている。
総理などという座には就きたくないし、就けない。
そんな扇を説得し、指名に応じさせたのは星刻だった。
「ゼロの意思を知らぬ者が彼の残したものを守ろうとすると思うか」と問うたのだ。
これは公式の記者会見の終わりに、付け加える形で発言された。
ゼロの真実を知らない者達が聞けば、第2次東京決戦で戦死した2代目ゼロの意思を継げとの発言である。扇は2代目ゼロの最も近しい同士であったから、しごく当然の言葉である。しかしゼロの真実を知る者が聞けば、「お前の罪を少しでも償え。彼の残した世界を守れ」。そう聞こえる。
扇が正式な選挙が終わるまでの暫定として、総理を受けたのは5日後である。
1000万人殺し。
のちの世にこの言葉で呼ばれる男がいる。
スザクのことではない。
悪逆皇帝のことでもない。
星刻のことである。
1000万という数がピンとこない方も多いだろう。参考までに今の東京の人口が約1200万である。
その程度の数は裏切り騎士も悪逆皇帝も殺しているだろうと思う方も多いだろう。ただし、それは戦場でのことで、星刻のこれは死刑のことである。
本国に戻ってから、星刻は死刑命令を大量に発行した。
それは仕方のない事だった。あまりにも巨大な中華を統一し続けるために、どの時代の為政者もやったことだった。星刻もやりたくてやったわけではない。
もし、死刑命令を出さなければどうなったか。中華全土から反乱の火の手が上がり、ようやく国としても体面を保っている中華はたちまち混乱期に戻るだろう。
そんなことになっては天子様が。
そんな星刻に気持も知らず、知らないのは当然なのだが、星刻が隠し通しているのだから、天子は問う。
どうしてなのと
ここで少し過去に戻ろう。プロポーズ小作戦の星刻は失策ばかりのようだが、他のところでは勝利を続けている。さもなくば一度は完全に秩序を失った中華をバックに世界の3分の2を支配するなどできるはずはない。
ゼロ・レクイエムが終わったあの日から、拷問の為落ち切った体を鞭打つように星刻は動いた。病状が安定するまで動かすのは危険という医師団の判断で、エリア11時代の中華領事館に本陣を置く。転んでもただでは起きないを実践した星刻は黒の騎士団の情報部門を直接の配下に取り込んでいた。ディートハルトの指揮下にあった情報部門は騎士団の中で浮いた存在だった。彼らとようやく連絡のついた蒼天講の生き残りを指揮し、10日後には洛陽を中心とした地域を安定させ天子を帰国させた。
星刻自身も7日後帰国。その折にはラクシャータを始めとするナイトメア技術者を伴った。この時点ですでに白虎部隊の計画はあった。
さらに蓬莱島に寄り、工学やライフライン関連の技師をごっそり洛陽に連れ帰った。技師たちは中華の名誉国民権を与えられ、本国日本でも望めないほど優遇された。
ラクシャータはともかく、蓬莱島の日本人についてはさすがの扇も一応苦情を申し出た。対して星刻は「彼らは望んで中華に来ている」とあっさり突っぱねた。
国力の差というものがある。ましてこのときの扇は一個人であった.技師達が望んで中華に渡ったと言われればそれ以上反論できない。結局彼らが望めばいつでも帰国させるという星刻の言葉を受けるしかない。
実際盆や正月には技師達は帰国し、中華での優遇ぶりを吹聴した。結果、ようやく軌道に乗り始めた復興に欠かせない技師がさらに中華に渡ることとなった。
後から見ればこれが政治家としての扇のデビューになった。
というのもこの時点で日本の政治家には星刻やシュナイゼル、EUやアラブの長達と対等に渡り合える人物はいなかった。また、そういう存在達とパイプを持った者もいなかった。
こう書くと日本の政治家は無能ばかりかと思われるだろうが、また実際にそうだったかもしれないが・・・、原因はフレイアである。まともな人材はほとんど消滅していた。
いきなり総理指名を受けた扇は最初かたくなに断った。
自分は小人で、罪人だ。
さらにブリタニア人の元軍人を妻にしている。
総理などという座には就きたくないし、就けない。
そんな扇を説得し、指名に応じさせたのは星刻だった。
「ゼロの意思を知らぬ者が彼の残したものを守ろうとすると思うか」と問うたのだ。
これは公式の記者会見の終わりに、付け加える形で発言された。
ゼロの真実を知らない者達が聞けば、第2次東京決戦で戦死した2代目ゼロの意思を継げとの発言である。扇は2代目ゼロの最も近しい同士であったから、しごく当然の言葉である。しかしゼロの真実を知る者が聞けば、「お前の罪を少しでも償え。彼の残した世界を守れ」。そう聞こえる。
扇が正式な選挙が終わるまでの暫定として、総理を受けたのは5日後である。
1000万人殺し。
のちの世にこの言葉で呼ばれる男がいる。
スザクのことではない。
悪逆皇帝のことでもない。
星刻のことである。
1000万という数がピンとこない方も多いだろう。参考までに今の東京の人口が約1200万である。
その程度の数は裏切り騎士も悪逆皇帝も殺しているだろうと思う方も多いだろう。ただし、それは戦場でのことで、星刻のこれは死刑のことである。
本国に戻ってから、星刻は死刑命令を大量に発行した。
それは仕方のない事だった。あまりにも巨大な中華を統一し続けるために、どの時代の為政者もやったことだった。星刻もやりたくてやったわけではない。
もし、死刑命令を出さなければどうなったか。中華全土から反乱の火の手が上がり、ようやく国としても体面を保っている中華はたちまち混乱期に戻るだろう。
そんなことになっては天子様が。
そんな星刻に気持も知らず、知らないのは当然なのだが、星刻が隠し通しているのだから、天子は問う。
どうしてなのと