「うわああああっ!!」
カララン、カラン……
突然大声をあげて跳ね起きたフォックスに驚いて、スリッピーの両手の間でグラスが涼しげな音を立てた。
「びっ……ビックリした~っ。驚かせないでよ、フォックスってば! こぼれなかったから良かったけどさ」
「……すまない」
あえぐように呼吸しながら、椅子から身を起こす。
「冷たいソレオだよ。飲むかい?」
何も言わずにグラスを受け取ると、ごくりごくりと喉を鳴らして飲み込んだ。
グラスの半分ほどを飲んだところで、ぷは、と息をつく。
「怖いユメでも見たのかい?」
「まあ。そんなところだ」
シャツはじっとりと湿り、頭にはにぶい痛みがある。
スリッピーの背後で、ブリーフィング・ルームのドアが静かに開いた。その向こうに、興奮した様子のペッピーが立っている。
「おまえたち!!」
大きな声が頭に響き、フォックスは眉根を寄せた。二人が返答する間もなく、第二声が飛んでくる。
「何をボヤッとしとる! 書類仕事なんぞ、今日で終わらせちまうぞ!」
「一体、何があったんだよ、ペッピー」
「何があっただと?」
喜色満面。それ以外に形容する言葉を思いつかない表情で、ペッピーは答えた。
「仕事だよ、仕事。初仕事の依頼だ。それもペパー将軍、直々のな!」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます