JETROさんが、中国のテレビショッピング市場に関しての無料レポートを出されています。
内容的にもう少しこれが知りたいってところもありますが、中国の無店舗販売事情を知るには非常に良い内容だと思っています。いい加減な中国販売支援会社が多いんですが、このレポート作ったところは結構良さげですね、個人的な体験とかなり感覚があっています。
内容そのものはURLを書いておきます。中国販売に興味がある人は必読だと思いますよ。
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000519/china_tv_tsuhan.pdf
以下個人的抜粋とコメント;
現在、中国のテレビ通販市場を牽引しているのは、上海電視台が韓国の大手通販会社「韓国CJ」と設立した「東方CJ」や湖南衛視の「快楽購」(HappiGo)、テレビ通販広告を放送する「橡果国際」(Acorn International)の3社である。上記3社の2009年度売上高の合計は約68億元にのぼり、テレビ通販会社全体のほぼ3分の1を占めている。
1 東方購物 28億元 上海の東方テレビ傘下で上海では圧倒的No1
2 快楽購 21億元 湖南テレビ。伊藤忠かどこかが投資していましたっけ?
3 橡果国際 19億元 知らない会社ですがUSで上場はしているとの事。今後伸びるかはどうかな?
カタログの市場規模は、政府や政府系シンクタンク等の公式発表がなく不明である。テレビ通販とネット通販では、多種多様な商品を販売するネット通販に比べ、購買力があるホワイトカラー等を購買層に想定し、安さよりも品質や安全性の保証を売り物にするミドルからハイエンドの家電や日用品等がテレビ通販でより売れる傾向にある。テレビ通販で数百万円する高級車や不動産が「飛ぶように」売れるのも、ネットオークションとは違い粗悪品や詐欺にあう不安がないことが要因にある。
テレビ通販で最も重要な点は、どこで自社の製品を販売するかを検討する点である。前述のように、現状中国で全国放送をカバーできるテレビ通販番組は存在せず、大手テレビ通販企業といえども、主要エリアを点で抑えているにすぎない。とすれば、自社製品を販売する場合、この数エリアの中から選択することになる。予算が許せば、全エリアでの販売も可能であるが、中国のテレビメディアの媒体費(通販で製品を紹介する費用を含めて)は、世界でも類を見ない高さであり、全エリアの番組で製品を紹介、販売するというのは現実的ではない。
12-1-2.テレビ通販で製品を売る場合に重要なこと2:生活密着型製品
12-2-1.カタログ通販で製品を売る場合に重要なこと1:明確な専門性
12-2-2.カタログ通販で製品を売る場合に重要なこと2:手頃な価格
12-3.日本企業がインターネット通販で製品を売るために知っておくべきこと
テレビ通販や、カタログ通販同様にインターネット通販で製品を販売する場合にも三原則は存在する。中国でインターネット通販といえば、淘宝が最も有名であるが、淘宝に限らず、中国のインターネット通販では、高い知名度を誇る超有名高級ブランドでない限りは、以下に説明する三つの原則を守らない限り売るのは非常に難しい。中国のインターネットを利用して物販を行う以上これは原則とは言いながら、ほぼ前提となる最低条件であり、これをおさえることが、インターネットで売れる商品となるための第一歩となる。
12-3-1.インターネット通販で製品を売る場合に重要なこと1:安価
説明するまでもないが、中国のネットでは安いほうが製品はよく売れる。ネットの世界では高価格=付加価値という考え方はほとんど存在しないため、可能な限り安価で販売することが成功につながりやすい。
12-3-2.インターネット通販で製品を売る場合に重要なこと2:実用
スペック、仕様、写真から判断しやすい、用途が一目でわかる製品が売れやすいため、おもしろ・受け狙いグッズ等はあまり売れない。便利グッズも写真で使用法が説明できるものは、実用性が評価されるため人気が出やすい。
一方、テレビ通販での売れ筋商品は、いわゆるグローバルブランドや大手企業の製品だけではなく、むしろそれほど知名度が高くない企業の商品が多い。その製品が売れている理由は、生活密着型の便利な製品を、テレビという視聴者がある程度安心できるチャネルで、使い方や便利さを何度も紹介している点にある。とすれば、中国のテレビ通販はブランドがすべてという世界ではなく、アイデアで勝負する世界であることがうかがえる。
→100%正しいかというとどうかなと思うところもありますが、市場を一般的に見る限りこの報告書の、TVショッピング、カタログ通販、ネット販売の特徴はその通りだと思います。
勝手な補足
・上海で少し高めのものを無店舗で販売するなら絶対に東方購物。配送もコストの高い佐川急便を使っています。佐川はこの案件でしっかり生き残れたといわれています。我が家でも、PCはここで買いましたし、嫁が車を買おうとしました(結局この店でポロを買ったのですが、実際にお店に行って同じ店でツーランに変更しましたが、まぁ車を買ったということですね)。報告書にある人気のマッサージ器も義母に買っていますね。
で、この価格帯のものはタオバオ大手運営の僕らもタオバオはおろか、独立ECサイトでも買いません。独立ECサイトはタオバオと違うなんて言う人がいますが、これはまぁ基本そうじゃないよねとだけコメントします。変な表現ですが、しょせんは同じ穴のムジナなのが独立サイトの大半。自社物流を持っているところはマシなんですけど、クレーム率は高い。
・カタログ通販が統計数字がないというのは本当にそうなんですが、独立ECサイト大手の売り上げを見ると、実はカタログ販売の売り上げが9割という会社が2つあります。報告書記載のアパレルマックリーンも50%以上は確かカタログで、自乙店舗売り上げもあるのでネット売り上げのぽーしょんはそんなに高くない。この辺は、特殊な京東や、書籍やDVDメディア等が中心のアマゾンや当当あたりはネット中心ですがその他商品群は実はネットじゃない。会社の売り上げで独立サイトのネット売り上げが計上されているので、中国EC市場の独立ECで販売されている実際の売り上げ=市場規模はもっと少ないものと思われる。タオバオのほうが今でも80%超えているけど実際にはもっと多いのが実態です。
・ネット販売は、平均でみるとタオバオになるので、本当にそうですね。僕ら最初の1年は差別化高級路線をタオバオベビー内でとってきましたが、同じ商品構成低価格の競合がどんどん出てくる、規模拡大による様々な運営面での不備もあり、結局規模は大きくなりましたが、低価格路線に入ってしまいました。
・テレビショッピングの販売価格帯は報告書の通りでネットより高い。ネットより特定のTVショッピングサイトは信用度も高い。一方、タオバオ以上に荒れた市場だった時期があり、テレビショッピング業界全体が、ネットより信頼が高いかといえばそれは嘘。ごく少数特定のテレビショッピング会社のみに言える。
要は僕の知っている限りは上海の東方は使えるチャネル。テレビ放送では圧倒的に強い湖南も草根の評価が同様に高ければここも使えるチャネルのはず。他は、もう少しその会社の評価を聞かないと、駄目。逆に信用落としかねない業界。いまだにいい加減なのもいるのが実態。
・この報告書で足りないのは、
テレビショッピング各社のカバーエリアがあるけど、それぞれの地域での一番の会社。そして、その会社の取引条件。
まぁこの辺は、やろうとする会社が自分で当たって調べろってことですね。中国は別に代理店使わなくてもメディア広告は直接変えますので、売りたい会社が自分で当たってみることです。
東方はかなりピッキーですけど(条件厳しいし、有名企業のもの以外は中々扱わない。昔はここで販売されたことでブランドになったのですが、今はそうなるためにはお金はいるんじゃないかな)。。あ、今は韓国資本は抜いたみたいですね。
でも勉強になる資料でした。このレベルが無料というのはうれしい限りです。
JETROさんって、なんでこんなことしているの?っていうところもあるのですけど、無料で公開している報告書には良いものが結構ありますね。日本向けなので、多少現地事情をオブラートに包んでいるところもありますけど。。
昔ブログで書いたんですけど、アリペイの新サービスで上海の大手サイトが呼ばれた時の事。アリペイが今後様々な業界と提携するという報告のとき、ある中国人が
「まさかテレビショッピングとは組まないよね!」
他の中国人が
「あんな偽物携帯ばかり売っているような業界と組んだら信用なくすよな」
なんて会話が出て、アリペイの人もかなり批判的なコメントをしていました。
だから、この報告書には業界各社が乗っていますが、現実にチャネルとして使う場合は、その企業の調査はしっかりやる必要があります。リストの中には、タオバオ以上に詐欺会社という評価をされている企業もこの中には入っていると思われますから。