(本頁は「リベンジ・栗駒山紅葉。前編」の続きです。)
展望岩頭を降り切った鞍部から先はぬかるみ箇所も無くなり、快適な稜線歩きとなる。
目の前に連なる小ピークはやがて秣岳になるが、ところどころが禿げて小麦色になっている。
鞍部から秣岳に連なるピーク群を望む。左から1397mピーク、(仮称)モンサンミッシェル峰、秣岳。
この禿げは昭和時代は「しろがね草原」と呼ばれていた。
最近は、地図によっては「しろがね湿原」とも表現されているが、
いつの間に湿原に変わったのだろう。不思議に思い、この身をもって確かめたところ、
湿原ではなく、立派な草原だった。植生学上は「雪田草原」と呼ぶもののようだ。
似たような風景は鳥海山では鳥の海周辺や千畳ヶ原にあるが、奥羽山系では比較的珍しいかなと思う。
しろがね草原
しろがね草原から焼石岳を望む。
しろがね草原越しに虎毛山。
しろがね草原から展望岩頭を振り返る。
1397mピークの稜線を進むと、ある地点から突然、目の前に広い草原(一部、中間湿原)と小さな岩のピークが現れる。
(仮称)モンサンミッシェル峰
少し近づいて
このピークは、その形がとある世界遺産に似ていることから、
最近、一部の登山者の間で「モンサンミッシェル」と呼ばれるようになった。
いつもならば、ピークの岩の上で昼の休憩とするところだが、
今日は時間帯的にも混雑が予想されたので、その手前の道端で握り飯を食べ始めた。
そして木道を歩く登山者が途切れた隙を見計らい、写真を撮った。
モンサンミッシェルの岩の上から秣岳の左側と泥湯三山を望む。奥にかすかに鳥海山。
モンサンミッシェルの岩の上から秣岳を望む。
モンサンミッシェル峰の次はいよいよ秣岳だ。
その間にはまたまた気持ちの良い草原(一部、中間湿原)が広がっている。
奥の山々は左から虎毛山、神室連峰(小又山、天狗森、神室山、前神室山)
ここには見慣れぬ針葉樹の疎林がある。これはアオモリトドマツ(オオシラビソ)だ。
この針葉樹は鳥海山や朝日山地など東北の日本海側高山では欠如している。
奥羽脊梁では、八甲田山、八幡平周辺、森吉山などには豊富だが、
秋田駒ヶ岳より南では欠如している。そして蔵王でまた現れ、有名な樹氷となる。
秋田駒ヶ岳と(蔵王山北部の)山形神室岳の間、約160kmの奥羽山脈にこの木は無いと思われていたが、
50年前頃、秣岳のこの場所で発見された。
大昔、アオモモリトドマツは奥羽山脈一帯に生えていた(と思われる)が、豪雪とか何らかの理由でこの区間では絶滅した。
がここでは生き延びていた。ここはアオモリトドマツの聖地のようだ。
秣岳南側の草紅葉
秣岳からアオモリトドマツ林越しにモンサンミッシェル峰を振り返る。
秣岳はこの一帯では一番高い山だが、山頂からの展望はあまり好くない。
ただし山頂の直前から須川湖が見えて来る。
足元に須川湖や須川高原。奥の山並みは焼石岳。
ここではいつも須川湖湖畔に駐車中の柿の種号探しをする。皆さんには見えますかな。
展望岩頭を振り返ったら、左側に栗駒山が見えるようになっていた。
山頂を過ぎ、少し下って行くと、秋田側の景色がよく見えて来る。
左手前から吹突岳、泥湯三山、奥にうっすらと鳥海山
河童の禿げアタマのような地形とトラバース道
手前に河童の禿げアタマのような地形があるが、今回はそこがほどよく紅葉していた。
その手前の鞍部まで急坂を降下、次は横に伸びる断層線?をトラバースして右の森へ降りて行く。
例のトラバース道はちょっと不思議な地形になっている。
岩盤が剝きだしで、上から水がしたたり落ちており、滑って歩きにくい。
季節によってはこの場所はちょっとしたお花畑になるようだ。
なおここから望む秣岳は尖っている。
秣岳の意外な表情
トラバース道が終わると、深いブナの森になる。
今日、歩いたコースの中では唯一のブナ林、ここで見た紅葉や木の実などを。
ブナ林の中の紅葉
オオカメノキの紅葉 タムシバの実
秣岳の登山口標識には自転車が縛られていた。
おそらくは私同様、周回登山をした人が登山終了後、(須川温泉の)駐車場まで使うつもりで置いたものと思われる。
秣岳の登山口 須川湖駐車中の柿の種号
須川湖に駐車した柿の種号と再会する。
最後に須川湖からまわりの山々を望む。今日はこれらの山をぐるっと廻って来た。
栗駒山と展望岩頭。手前に剣岳。
秣岳
以上。
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