日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

地球温暖化は暴走を始めている

2019年11月13日 09時24分19秒 | 日々雑感
 地球温暖化対策は経済活動と密接に関係しており、相反することが多い。例えば、日本の電力は化石燃料によるものが8割近くを占め、大量の温室効果ガスを排出するが、大量の電力は必要である。温暖化対策を重視するとなると電力消費を控えるか、原子力発電か自然エネルギーに頼らなくてはならない。

 原発は、東電福島第1原発事故での不信感が強く残り、また核燃料サイクルは破綻したまま、再稼働は困難な状態だ。太陽光発電、風力発電等の自然エネルギー利用は、電気料金の高さ、自然の不安定さに対する寛容さを強いられる。

 温室効果ガスの排出規制は世界的な規模で必要であるが、日本だけが頑張っても効果は少なく、現実の生活を重視する大人はまず積極的になれない。

 世界の年平均気温は、100 年あたり 0.85℃の割合で上昇し、日本の平均気温は、1.1℃の割合で上昇しているのだそうだ。高が1.1℃の平均値の上昇であるが、平均値の上昇は気候の大変動を招き、今年も日本に大災害をもたらした。

 今月8日、国連の気候変動に関する政府間パネルは、地球温暖化の影響で早ければ2030年にも産業革命前からの平均気温上昇が1.5度に達し、地球環境の悪化が進むと予測した特別報告書を公表した。

 この中で、2050年までに、世界全体の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする必要があると訴えているが、本格的対策は一向に進まない。しかし、日本だけが火力発電を一斉に止めたところで、中国や米国が動かなければ、平均気温は着実に上昇するだろう。否、世界中が止めたところで既に手遅れかもしれない。

 一旦暴走し始めた温暖化は加速的に進むらしい。例えば、寒冷地帯の白い氷が溶けて黒い地面が顔出すと、太陽熱の吸収が大きくなり、一層温暖化が進むことになるようだ。

 子供や子孫のため何らかの対策が必要であるとして個人レベルで頑張る大人はいるだろうが、焼け石に水だ。スウェーデン人の環境保護活動家の16歳のグレタさんは国連気候行動サミットで演説し、気候変動問題について行動を起こさない各国首脳を非難したが、若者の気持ちは理解できる。しかし目先の経済を最優先させる各国首脳の気持ちも理解出来なくはない。彼らは有権者の声を代弁しているに過ぎないのだから。

 さて一方では地球温暖化は人間の活動による炭酸ガス(CO2)濃度の増加ではなく、他の要因で起こっていると主張する科学者も確かにいる。このような気候変動懐疑論者は、これまでに地球上に起こった気温変動とCO2濃度に相関が無いと主張しているようだ。

 しかし、地球環境研究センター、副センター長の江守正多氏は、温暖化をテーマにしている科学論文の97%は、CO2増加が温暖化の主な原因であると断定していると言明している。

 気候変動懐疑論者であっても最近の気温上昇は否定せず、またCO2の増加も否定していないようだ。議論は必要だが、議論している間にも刻々と温暖化は進んで行く。今となっては、気候変動懐疑論者の主張がどうか正しくあって欲しいと願わずにはいられない心境だ。2019.11.13(犬賀 大好ー548)

原発事故の再調査で明らかにすべきは平和ボケ防止法

2019年11月09日 09時26分27秒 | 日々雑感
 2011年の東京電力福島第1原子力発電所事故から早くも8年半以上経ち、未だに多くの被災者が苦しんでいる一方、多くの国民から忘れ去ろうとしている。

 来年2020年には東京五輪が開催され、人々の頭から一層遠のくことであろう。しかし、原子力規制委員会は今年9月の定例会合で、東電福島第1原発事故の原因調査を再開する方針を正式決定した。今更何をしようとしているのかと思ったが、ようやく現場の放射線量が低下したことや廃炉作業が進み瓦礫が除去され、再調査が可能となったからだそうだ。

 2013~2014年の当初の調査では高線量で立ち入れない建物もあり、原子炉格納容器から放射性物質が漏れた経路や原子炉を冷やす機器の動作状況態などは未解明だったようであり、これから詳細な調査が行われるのだろう。また、事故前に東電が取り組んできた事故対策が、本当に真摯に実施されていたかについても踏み込むようだ。

 失敗学を提唱し、先の事故調査委員長をと務めた畑村氏は、特に非常用復水器の動作状態を指摘している。非常用復水器とは、異常な事象が発生して通常の系統による原子炉の冷却が出来なくなった時、原子炉圧力の異常な状態を元に戻す働きをする重要な設備とのことだ。

 1号機では、津波に襲われた2011年11日午後3時半ごろから交流、直流とも電源が失われた。しかし、事故処理にあたる東電本社や福島第一原発の幹部らは、電源を失った後非常用復水器が作動していないにも拘わらず、作動しているものと考えていたという。

 この認識不足により、冷却機能を失ったことへの対処が遅れ、炉心溶融を早めた可能性があるとして調べるようだが、再調査でこの事実が判明したところで、新たな訴訟問題は発生しないだろう。

 東京地方裁判所は9月19日、福島第一原子力発電所の事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で起訴されていた東京電力の旧経営陣3人に無罪判決を言い渡した。判決理由は、旧経営陣3人が巨大な津波の発生を予測できる可能性があったとは認められない、と難解な日本語で表現をしているが要は想定外の事故であったとの判断だ。

 当時は旧経営陣も安全神話にどっぷり浸かり、原子力発電所の仕組み等説明されても頭に残っていなかったに違いない。増して非常用復水器など頭の片隅にも無かったであろう。このような平和ボケ状況では、ちょっとした非日常的な事件でも想定外の出来事と片づけられてしまい、先の判決も当然の帰結かも知れない。

 さて、この再調査で明らかにされるべき点は、炉心融解に至る技術的な問題の解明は当然として、慣れから来る平和ボケへの防止策だ。

 人間は危険な状態にあっても、日々平穏に過ごせるとそれが当然と思い、危険な状態を忘れる。”天災は忘れたことにやって来る”、は、人間の本質をついている名言だ。人間は誰でも緊張を持続することは困難であり、平穏な現状が続くとすぐに慣れ、緊張感の無い怠惰な生活、すなわち平和ボケ状態に陥る。

 このような平和ボケ状態に陥らないようにするためにはどうすべきか、事故前の東電の取り組姿勢を明らかにすることにより、将来への事故対策のヒントが得られるであろうか。2019.11.09(犬賀 大好-547)

ポスト安倍はどうやって決まるか

2019年11月06日 09時16分33秒 | 日々雑感
 現在の自民党の党則は党総裁任期について連続3期9年までと定めており、安倍氏の自民党総裁としての任期は21年9月末日までである。しかし、党内の一部からは4期目を求める声も出ているそうで、更に3年延びる可能性もあるが、長期政権の弊害も顕著になり、さすがに4期目は無いだろう。

 この弊害とは、人事権を握る首相に誰も逆らえなくなり、首相の顔色を伺って忖度も激しくなり、自由に意見を言えない雰囲気が出来上がったことが一番だろう。また、これとは逆に首相と長年仲良くやってきた人には緊張感が無くなり、勝手な振る舞いが多くなったようだ。安倍政権の場合、主要閣僚の多くも在任期間が長く、仲良し連合が出来上がり、多少の失言でもお咎め無しで緊張感が弛んできたのも弊害だろう。

 最近の萩生田文科相と河野防衛相の失言に続き、菅原経産相と河井法相の辞任も重なり、安倍政権は末期的な状態になりつつある。さて安倍政権が3期で終わりとなると、次の問題は次期首相であるが、現時点では明確な候補者は見当たらない。これも長期政権の弊害の一つであろうか。

 さて、第4次安倍内閣が9月11日発足し、重要閣僚である菅官房長官、岸田政調会長、二階幹事長が留任し、石破茂氏は相変わらず蚊帳の外に置かれた。

 岸田氏は選挙で重要な役目を果たす幹事長のポストを狙っていたとのことだが、なぜか二階幹事長の続投が決まった。そもそも連続2期の党則を連続3期に変更し、安倍首相に続投させたのも二階幹事長であった。二階氏であれば更なる党則変更を言い出しかねず、安倍氏の頭の中には4期もあるのかも知れない。

 ところで次の総裁選挙には岸田氏が立候補するのは確実とのことだ。岸田氏は安倍首相から将来の禅譲を期待したのか、前回の総裁選では立候補もせず大人しく安倍支持に回った。しかし最近禅譲を期待できないと判断したのか、積極的にテレビ出演等メディア露出を増やし、安倍首相との違いを示そうと躍起になっているとのことだが、その差は余り明確で無く、また一時禅譲を期待する等甘さの印象が残る。

 一方、石破茂氏は安全保障のみならず農林水産相、地方創生相なども歴任し、党幹事長も務めた実力者であり、次の総裁選でも立候補すると思われるが、最近存在感がとみに薄くなっている。

 これまで、マスコミは石破氏、岸田氏をポスト安倍の有力候補としていたが、今や菅官房長官が担ぐ河野防衛相、小泉環境相と、安倍首相が引き立てようとしている茂木外相、加藤厚労相が、新たな総裁候補として脚光を浴びているとの話だ。一般人にはよく分からない。

 次期首相は自民党の総裁選挙で公明正大に選出される筈であるが、裏では熾烈な政治的な駆け引き、足の引っ張り合い、ゴマスリ等が行なわれているのだろう。つい先日就任早々辞任した菅原経産相と河井法相も、有能であるが故大臣に選出されたと思っていたが、先の総裁選で安倍支持を先導した功績があったからだと聞いて、愕然とした。2019.11.06(犬賀 大好ー546)

IOCはまず自らの商業主義を反省せよ

2019年11月02日 09時24分38秒 | 日々雑感
 国際オリンピック委員会(IOC)は10月16日、2020年東京五輪の男女マラソンと競歩の競技会場を、東京から札幌市に移すと発表した。理由は選手第1主義からの暑さ対策のためだと言う。

 東京五輪の主催の責任者である小池都知事にとって寝耳に水だったようであるが、橋本聖子五輪相や組織委員会の森会長にはIOCより事前説明があったようであり、何か政治的な匂いもする。

 橋本五輪相は10月19日、札幌市内で開かれたスポーツイベントで、報道陣の取材に応じ、東京五輪の一部競技を札幌市に移す案について、非常に喜ばしいと、大賛成を表明し、小池都知事を更に激高させたことだろう。

 また、橋本氏は五輪開幕まで1年を切っての変更については、IOCは数々の五輪を運営し、そうした組織が決める場所は、それだけ調査がされてきたはずだ、とIOCを擁護した。そかし、IOCが熟慮の結果の変更では無く、ドーハでの世界陸上の女子マラソンで4割が途中棄権したことで慌てた結果であることに間違いないだろう。

 東京の暑さと湿度の高さは今に分かったことでは無く、東京五輪を決める際にも分っていただろう。しかし、東京は温暖であるとの招致宣伝文句を頭から信用したのか、この夏ドーハで行なわれた世界陸上の出来事を目の当たりにしないと暑さの弊害を理解できない想像力の欠如の為か、今頃になって選手第1主義を言い出すとは誠に情けない。

 暑さ対策のため、これまでに組織委とIOCは、男女マラソンは招致段階の計画から1時間半繰り上げて午前6時スタートとし、男子50キロ競歩も午前5時半開始とすることを決めていた。また、東京都も道路に特殊塗装をする等、暑さ対策をいろいろしてきたが、それでも不十分との判断であろう。小池都知事にとってはこれまでの苦労を無にされ、切歯扼腕と言ったところであろう。

 北半球の7、8月は夏の真っ盛りである。この季節はサッカーやアメフト等、スポーツに向いていない季節なのだ。従って、テレビで放映するスポ-ツ番組が少ないから、放送局にとってオリンピックは格好の放映材料なのだ。IOCが7、8月にオリンピックを開催するとしているのは、放送権料が高く売れる商業第1主義からである。

 競歩、マラソン以外でも暑さ対策が必要な種目はいくらでもある。ドーハでマラソンが問題となり、急遽競歩、マラソンが移転対象になったのであろうが、他の種目は問題ないと、一言あって然るべきだ。実際目にしないと理解できないIOC委員には無理かもしれないが。

 そもそも、7、8月開催自体が無茶な話なのだ。日本の招致する側は、復興五輪とかコンパクト開催とか美辞麗句を並べ東京開催に漕ぎつけたが、暑さ対策に関しては日本特有の精神論で乗り切れると高を括っていた節が伺える。

 IOCは日本の言い分を丸のみにしてここまで来たが、ようやく日本を疑い始めたのだ。IOCの東京五輪調整委員会(コーツ委員長)は、東京での会議で、当初移転について議論するとしていたが、IOCのバッハ会長は決定済みとのことであり、主催者が納得しないまま権力で押し切った。

 しかし、今回のごたごたは元々はIOCの商業第1主義からのことであり、今回の出来事を切っ掛けに自己反省をしてもらいたいものだ。
2019.11.02(犬賀 大好-545)