日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

地球温暖化対策は個人の我慢から始まるが!

2019年10月19日 09時21分06秒 | 日々雑感
 台風19号は史上稀な大型雨台風として全国的な被害をもたらした。中部地方から東北地方まで広範囲に洪水被害をもたらしたのは日本近海の海水温度の上昇が主原因とのことである。

 日本近海における、2018年までのおよそ100年間にわたる年平均海面水温の上昇率は、+1.12℃/100年だそうで、日本の気温の上昇率(+1.21℃/100年)と同程度の値だそうだ。

 今年の1月発行の科学誌Scienceによると、地球温室効果ガスによって地球にたまった熱の内、約93%が海に吸収されることが分かったそうで、大気温度の上昇がそのまま海水温度の上昇につながるのだ。

 地球温暖化対策は喫緊の世界規模の課題だが、経済活動と密接に関係している所に対策の難しさがある。米国トランプ大統領は経済最優先の為、地球温暖化そのものを否定している。確かに温室効果ガスのため大気温度が上昇しているとの説に疑問を呈する科学者もいるが、大部分の科学者は肯定的である。

 さて、人間の生活に必須な電力を作り出す発電所に関し、2018年の我が国での割合は、化石燃料発電が77.9%、原子力発電7.8%、再生可能エネルギー17.4%であり、温室効果ガスの発生量が他に比べ圧倒的に大きい化石燃料発電が大きな割合を占めている。

 グテーレス国連事務総長は2050年までに温室効果ガスの代表である二酸化炭素排出量を正味ゼロにするため、各国に化石燃料への補助金を削減し、新規の石炭火力発電所の建設中止を求めている。

 さて、安倍政権でも経済最優先であり、昨年7月に閣議決定した第5次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成比率を、化石燃料56%、原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%、としており、相変わらず化石燃料への依存度が高い。

 原子力発電は温室効果ガスを出さないため、温暖化対策にはうってつけだが、福島第1原発事故における安全神話の崩壊、汚染水処理など事故対策に対する国民の不信感、更に最近発覚した関西電力の金にまつわる不祥事と、国民の原発再稼働に対する拒否反応は依然として高い。

 原発に代わるものとして、自然エネルギーの利用があるが、自然に対する不安定さが付きまとうため、全面的な依存は無理だ。昼間発生する太陽発電のエネルギーを蓄電池に蓄え夜間に使用できれば理想的であるが、性能的に実用のレベルに達していない。

 ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんのリチウムイオン電池は、従来の鉛蓄電池に比較し格段の性能向上はあるが、大容量の蓄電池としては、値段的にも更なる性能向上が必要だ。

 夜間、東京の空を煌々と照らす明かりを目にするにつけ、東日本大震災の教訓はすっかり忘れ去られたようだ。これに費やされる夜間電力を半減でもさせれば電力事情もかなり変わると思うが、人々の気持ちを暗くし、経済的な面でも暗くなるであろう。

 経済的に豊かな生活は現実の問題だ。地球温暖化対策はすぐに効果が表れない。予想される将来の問題に対し、想像力を働かし、多少の貧しさを許容し、どこまで忍耐出来るかが問題だが、悲しいことに人間現実の方を重視する。
2019.10.19(犬賀 大好-541)


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