日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

関西電力の不正受給金ははした金ではあるが

2019年10月23日 09時11分40秒 | 日々雑感
 10月9日、関西電力の会長、社長ら幹部20人が総額3.2億万円に上る現金などを福井県高浜町の元助役・森山氏から不正受給していた問題で、八木誠会長ら役員6人が辞任を決意した。

 関西電力と地元業者の癒着は以前から噂に上がっていたようだが、よくあることと放って置かれたようだ。この機に及んで公になったのは森山氏の死と関係があるのだろう。

 この件に関し詳しい調査が第三者委員会で解明されるであろうが、3.2億円と言う金額は、原子力発電所の建設費用等に比較すればはした金だ。例えば、関西電力、高浜発電所の1号機の建設費は656億円、3号機は2803億円とのことだ。

 また、原発建設には様々な利権が絡むので、不正に使用された金類はこれだけでは済む筈が無い。記者会見では、死者に口無しと亡くなった森山元助役がすっかり悪者にされたが、自分は被害者として幕引きを図ろうとする関電幹部の姿勢に一層の不信感が募る。

 森山元助役からの金品の提供を怖くて断れなかったとの子供じみた釈明は、大企業の幹部の態度として納得が出来ない。何か説明できない裏事情があるに違いない。

 関西電力は、2011年の東京電力福島第1原発事故の余波で、2015年度も原発が動かせなかったが、全11基(廃炉を決めた2基を含む)の維持に2996億円をかけたそうだ。主な使い道は、安全対策に向けた分析費用などの委託費(520億円)や廃棄物の処理費(452億円)、修繕費(388億円)だそうだ。これらの費用に比べても、不正受給額3.2億円は微々たる金額であり金銭感覚が麻痺するのは当然であろう。

 関西電力は国内9電力会社で初の原発の営業運転にこぎつけ、福井県内に11基を建設し、最盛期には電力の約半分を原発でまかなう原発王国であった。また、2011年の東日本大震災後、5年以上かけて4基の再稼働にこぎつけ、停滞する国内原発の再稼働でトップを走ってきた。また、未稼働の3基も安全審査に合格しており、来年以降に順次再稼働させていこうとしていた矢先の不祥事の発覚だった。

 関西電力幹部の不祥事は、地元の人ばかりでなく、日本国民の信頼を失墜させた。先月末に記者会見した岩根社長は、信頼回復を進めていきたい、と声を絞り出したようだが、演技はいくらでも出来る。僅か3.2億円の金品を受け取っていた理由で再稼働がストップするのは、信用が如何に高いものか新たに思い知らされたに違いない。

 今回の不祥事の発覚は、国内の原発政策にも間違いなく影響を及ぼす。原発事業は独占事業であり、利権のデパートだ。関西電力の第3者委員会でどこまで明らかにするか、あるいは出来るか分からないが、3.2億円程度の不正受給だけで済む筈が無い。かつ、関西電力ばかりでなく、他の電力会社にも同様な不祥事が多かれ少なかれある筈だ。

 原発行政にはこれまで不信感が強い。今回の不正受給に関しても、関西電力ばかりでなく、他の電力会社での実態が明らかにされなくては、今後の再稼働等の原発行政に障害となる可能性が大いにある。
2019.10.23(犬賀 大好-542)


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