日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

認知症の根本治療薬の発明はノーベル賞級の価値があるが!

2019年10月12日 09時25分45秒 | 日々雑感
 先日リチウムイオン電池の発明に貢献した吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞した。電池の高性能化が地球温暖化に対する大きな社会的貢献であると評価されたのである。

 さて、認知症の患者は世界に約5千万人、日本国内に約500万人いるそうだ。その7割を占めるアルツハイマー病は、脳の中に蓄積されるある種のたんぱく質が神経細胞を壊すことなどが直接の原因と考えられているが、なぜ蓄積されるかに関しては全く分かっていない。

 若年性アルツハイマー病は、30歳から60歳の人に発症し、アルツハイマー病の人全体に占める割合は5%未満とわずかだが、これに関しては解明されつつあるようだ。このアルツハイマー病のほとんどは遺伝性であり、既知の3つの遺伝子のうちのいずれかの変化によって引き起こされるとのことだ。

 アルツハイマー病の患者の大半は、通常60歳以降に発症する老年性のアルツハイマー病で、遺伝子との関連について多くの研究が行われいるようだ。ある種の遺伝子はアルツハイマー病発症リスクを上昇させると考えられているが、この遺伝子を保有しない人でもアルツハイマー病を発症する可能性があるそうで、本当のところは分かっていないのが現状だ。

 若い時に、ボクシング等の過激なスポーツや交通事故で頭に衝撃を受けると数年から数十年して認知機能が低下することもあるそうで、発症原因を複雑化している。

 兎も角、直接の原因が患者の脳に異常なたんぱく質が蓄積することは分かっていても、現在使用されている薬には、根本的に認知症の進行を止める働きはなく、脳で生き残っている神経細胞を活性化させ、覚えたり考えたりする働きをある程度保つ程度に過ぎないそうで、最終的には認知症は進行してしまうのだそうだ。

 2013年に英国で開かれた主要8カ国の認知症サミットで、各国閣僚が2025年までに根本的な治療法を見い出すと共同宣言を出したようだが、根本治療薬はいまだ見つかっていないそうだ。それどころか米国研究製薬工業協会の報告書によると、2017年までの20年間で146の薬剤候補が開発中止に追い込まれたそうだ。

 開発が進まない理由について、専門家は脳内に原因となる蛋白質がたまり始めてから症状が出るまでに10年~20年以上の長い時間がかかることをあげている。すなわち認知症と分かった時点では既に症状はかなり進行しており、初期の段階での対策や治療を困難にしているからだそうだ。

 現在、アルツハイマーの症状を遅らせる等の治療に数種類の認知症薬が承認されているが、この副作用も問題となっているようだ。吐き気などの消化器症状が生じたり、精神症状などの副作用も出ることがあるそうだ。

 高齢の認知症の患者は、ほぼ例外なくいろいろな病気を抱えており、複数の薬を飲んでいることが多く、薬の種類が6種類以上になると、副作用の発現が急激に高まるるそうで、問題を一層複雑化している。

 認知症の根本治療薬の発明は、社会的貢献の点では間違いなくノーベル賞級の価値があるが難しそうである。2019.10.12(犬賀 大好-539)

世界の覇権は軍事力でのみ決まるか

2019年10月09日 09時47分04秒 | 日々雑感
 中国は10月1日、建国70周年を記念する軍事パレードを行い、初公開の最新兵器も多数公開し、世界最大級の軍の能力を世界に見せつけた。習主席は演説で、中国国民と国家の前進を止めることのできる力は何処にもない、と強調するとともに、今後数十年かけて軍事力を更に近代化することも宣言している。中国は軍事力の強化で世界の覇権を狙っているように見える。

 また、アメリカはロシアとの間に結ばれていた中距離核戦力(INF)全廃条約を今年破棄した。理由はロシアがこの条約を守っていないからとのことであったが、この条約に縛られない中国の躍進があったことも背景にあるだろう。条約の破棄にロシアもすぐに続き、世界のトップクラスの軍事大国の間で軍拡競争が始まった。

 軍拡はこれまでの陸・海・空に留まらず、宇宙空間にまで広がっている。中国は、米軍の主要なインフラである人口衛星を狙った衛星破壊兵器の開発を積極的に推進しており、米軍が危機感を強めているのは確実だ。また、今年始めには、無人探査機を世界で初めて月の裏側に着陸させる等、宇宙での技術を格段に進歩させている。

 これに反応し米トランプ政権は今年始め、新たなミサイル防衛戦略を発表し、宇宙領域での軍事活動を統括する宇宙軍を9月末正式に発足させた。中国やロシアが宇宙の軍事利用を活発化させる中、宇宙軍はこうした脅威に対抗するための軍との位置づけだ。

 中国の台頭は軍事面ばかりでなく情報通信技術(IT)関連でも著しい。中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)が次世代通信5Gを基にした新しいIT産業体系を構築し、世界に定着させつつある。これに慌てた米国は、ファーウェイ排斥運動を始め日本にも協力を求めている。

 また9月19日、ファーウェイは、ドイツで新型スマートフォンを発表した。しかし、このスマートフォンでは米グーグル製のYouTubeやグーグルマップといった人気アプリを米国の制裁により、使用出来ないようだ。しかし、ファーウェイは、これらのアプリを使用できなくても同社による代替アプリを4万5000本を用意し十分対抗できると強調している。その内、アプリばかりでなくOS開発も手掛けるようになるかも知れない勢いである。

 更に中国版全地球測位システム(GPS)「BeiDou」に使われる衛星稼働数が2018年に米国製を抜き、世界3分の2の国の上空で最も多くなっているのだそうだ。中国版GPSはAndroid端末に関しては普及価格帯モデルでも殆どの端末で使用できるようだ。

 一方iPhoneでは、各国のGPS、すなわち日本の準天頂衛星みちびきや、ロシアのGRONASS、EUのガリレオなど幅広く対応するにも関わらず「BeiDou」には対応していないようだ。「BeiDou」を安全保障上の脅威とみなす米政権に協力していると思われる。

 情報通信分野での米国と中国の争いは、単に自国内だけでなく世界を如何に味方に取り込むかが勝負を決める。この点でかっての軍事大国ロシアの影は薄い。

 現在、仮想通貨による金融革命が世界的な規模で拡大しようとしている。この革命は始まったばかりで、今後どのように変遷するか分からないが、現在世界中の外国為替市場で主要通貨としてもてはやされるドルや元の概念が無くなり、ある種の仮想通貨で統一されると予想する人もいる。

 世界の経済がある種の仮想通貨で統一されるとなると、世界の覇権とは何だろうと考えてしまう。2019.10.09(犬賀 大好-538)

カジノ建設候補地は政治力で決まるであろう

2019年10月05日 14時24分07秒 | 日々雑感
 カジノ建設候補地の確定は2021年~2022年頃になると推測され、建設候補地を抱える自治体の競争が激化しているようだ。

 観光庁はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備区域の選定に向けた基本方針で、日本を代表する観光施設にふさわしい、スケールや独自性を持つことや重要な国際会議に対応できること、それに、観光客の増加や地域の雇用の創出が大きく見込まれることなどの利点を挙げている。

 この基本方針では、カジノの名前は全面に出ず、カジノの負のイメージをかき消す美しい言葉が散りばめられている。しかし、カジノ無しのIRでは観光客の大幅な増加や雇用の増加は見込みは期待できない。東京ディズニーランドのような娯楽施設も考えられるが、候補地の多くの地域では既に同じような施設もあり、客寄せパンダはギャンブルである。

 また、国土交通省も9月4日、基本方針案を公表した。観光庁の案が概念的であるのに対し、国交省の案は、カジノを営業するためには展示場面積などの規則をIR開業当初から順守することなど詳細が決められているようだ。

 ここで決められる基本方針に従って、あるいは参考にして誘致をめざす自治体は国への申請書を必死に作り上げるのであろう。しかし、申請書の中身はあくまでも想像力に基づく作文であり、どこも似たり寄ったりでこれだけで決めることは出来ない。最終的に決めるのは政治力であろう。

 候補地に選らばれれば、IR建設では莫大な投資が行われ、経済効果は抜群だ。世界のIRをみると、建設には驚くほどの多額の資金が投じられている。例えば、2010年に開業したシンガポールのあるIRには、約6680億円がかけられたそうだ。九州電力玄海原子力発電所の3号機の建設費は約4000億円とのことであるので、投資規模は原発相当だ。

 またカジノは利権の巣窟だ。自治体が申請するIR施設の建設を認可するのは観光庁を傘下に置く国交省だが、カジノ運営事業者を審査・監督するカジノ管理委員会は内閣府に置かれて官房長官が握る。エンターテインメント業界は経産省、賭博関連は警察の所管で、ギャンブルの上がりの3割は国庫に納付されるから財務省、ギャンブル依存症対策は厚労省の担当になるそうだ。関係する各省は利権を求めて大騒ぎするだろう。利権の代表は天下り先の確保だ。

 カジノ候補地を最終的に決めるであろう最高意思決定機関の“カジノ関係閣僚会議”は、総理の他に官房長官と財務、国交、経産、厚労の各大臣、国家公安委員長(警察担当大臣)の6閣僚がメンバーになるようだが、この会議に上がるまでには関係庁の水面下の争いがあるだろう。

 第4次安倍内閣改造では、政権の要である麻生氏、菅氏、の他二階氏も続投させた。IR建設候補の長崎には麻生氏、大坂には菅氏、和歌山には二階氏が背後に控えていると見られているそうだ。決定されるのは当面3候補地とのことであるので、これで決定と思われがちだが、和歌山と大阪は近すぎるため、どちらかにせざるを得ないであろう。

 この点、安倍内閣を仕切る菅官房長官と建設・観光業界のドンである二階幹事長の争いが見ものである。2019.10.05(犬賀 大好-537)

地球温暖化対策はセクシーに出来る筈はないと思うが

2019年10月02日 14時47分22秒 | 日々雑感
 9月23日、地球温暖化対策に関わる国連気候行動サミットがニューヨークで開催された。国連事務総長は、2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを目指し、各国に化石燃料への補助金を削減し、新規の石炭火力発電所の建設中止を求めると、宣言した。

 また事務総長は、77ヵ国が2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロ実現を表明したと明らかにしたが、排出量のトップ4を占める中国、米国、日本、インドは排出ゼロに向けた具体的な道筋を示さなかった。

 スウェーデンの環境活動家で16歳のグレタさんは若者の代表として登壇し、強い口調で失敗したら我々は許さない、と各国の指導者たちに警告した。地球温暖化は既に現実問題となっており、子供達の将来に一層大きくなると思われる問題に、当面の経済のことしか考えない国々の指導者に向けられたグレタさんの怒りが理解できる。

 我が国の地球温暖化対策である「地球温暖化対策計画」が2016年に閣議決定されているが、この計画では、長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すとしている。

 この目標は国連での実質ゼロ目標に及ばないが、これまで色々な会議で各国が提唱していた目標が簡単に破られていたことを想うと、数値の大きさより確実に達成することが重要であると思われる。目標が達成されない理由は、罰則が無いためもあるかも知れないが、温暖化対策が経済活動と相反していることが一番大きいためであろう。

 温室効果ガスを大量に発生する発電所に関しては、2018年の我が国での割合は、化石燃料発電が77.9%、原子力発電7.8%、再生可能エネルギー17.4%であり、温膣効果ガスの発生量が他に比べ圧倒的に大きい化石燃料発電が大きな割合を占めている。

 さて、政府は昨年7月に閣議決定した第5次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成比率を、化石燃料56%、原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%、としている。

 原子力発電は、温室効果ガスを出さない大きな特徴があるが、福島第1原発事故以来、自然災害大国の日本では安全性に大いなる疑問が呈せられ、この目標を達成するには30基程度の原発稼働が必要とされるが、国民の不信感が強く、2030年の原発比率目標は実現困難であろう。

 また、地球温暖化防止の観点からは、化石燃料発電を減らし、再生可能エネルギー発電を増やしたいが、自然に左右される不安定さがあるため、現在の技術では限度がある。

 さて、国連気候行動サミットでの小泉進次郎環境大臣の活躍の場は無かったが、話題を求めるマスコミはこぞって環境大臣のセクシー発言を取り上げていた。セクシーとは格好良いとか魅力的であるとのニュアンスの現代風な使い方のようで、マスコミが取り上げるような大きな問題では無い。

 第5次エネルギー基本計画では徹底した省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化、原発依存度の可能な限りの低減といった格好の良い基本方針を掲げているが、問題はこれらをセクシーに如何に実現するかである。

 個人レベルで可能な省エネルギー対策は早寝早起き等、セクシーとは真逆な地道な節約や節電であり、相当な我慢、忍耐努力が必要だ。温暖化対策はセクシーに出来る筈が無いと思うが。2019.10.02(犬賀 大好-536)