トランプ新大統領の難民入国拒否の大統領令を巡って、米国内ばかりでなく、世界も巻き込み大騒ぎである。主要各国政府はトランプ氏の移民へのこの対応を人道上の問題として非難しているが、我が日本の政府はだんまりである。これはトランプ氏への遠慮ではなく、これまで日本は難民を拒絶してきた関係上、何も言えないのだ。
法務省は、2015年難民認定を申請した外国人は過去最多の1万901人に上ったが、そのうち実際に難民として認定した人はわずか28人だったことを2月10日速報値として明らかにしている。これでは、難民入国拒否と何ら変わらない。
今なお混乱の続くシリアから、これまで約480万人が難民として国外へ脱出していると言われ、主要国のこれまでのシリア難民受け入れは、米国が約6万人を始めとして万単位を受け入れている。国土の狭いスイスでさえ6700人とのことである。
一方我が日本は、2011年以降、63人のシリア人が難民認定を申請しているが、認めたのは3人だけとのことだ。このままでは、先進国の仲間に入れてもらえないと、難民受け入れの代わりに、シリア、イラクの難民と国内避難民向けに約1千億円を支援すると表明している。これらの国の国内事情は混乱しているが、この金が果たして有効に使用されるのであろうか。はなはだ疑問である。
と言っても、日本は、これまで特定国の難民を受け入れたことがある。1万人超えるインドシナ難民(1970年代後半~2005年)や123人のミャンマー難民(2010年~)である。しかし、彼らの対応に苦慮したためか、これ以降一般難民の受け入れには門戸を閉ざしている。
世界には難民があふれており、受け入れの弊害が顕著になってきたため、ヨーロッパ各国では移民を拒絶する政党が勢いを増している。これらの政党は移民排斥と共に、自国第1主義を掲げ、保護主義を目指しているため、グローバル化を目指す日本にとって頭の痛い難問となっている。また、これらの政党は日本の移民政策を称賛しているようであり、日本にとって何とも皮肉な話である。すなわち、日本の移民政策は、良質な移民のみを選択して受け入れようとしているからである。
これまで難民問題を金で解決しようとしていた日本政府は、先進国に仲間入りするために、今年から5年間で、シリア難民の留学生とその家族を計300人規模で受け入れる方針と決めた(2月3日報道)ようである。微々たるものであるが一歩前進であろう。
法務省の発表によると、平成26年末現在における中長期在留者数は約176万人、特別永住者数は約36万人で、これらを合わせ登録された在留外国人数は約212万人となり、前年末に比べ,2.7%増加したとのことである。一方平成28年1月1日現在の不法残留者総数は約6万人だそうで、それでも現在の日本は人手不足状態であり、更に少子化時代を迎え、一層の人材難が懸念される。
これを解決しようと、政府は、難民ではなく品質の高い外国人労働者を向かえようと努力している。その一つが、”日本版高度外国人材グリーンカード” であり、3月より始まる。グリーンカードとは永住権を約束するもので、得やすくするため2012年にポイント制を導入した。例えば、研究者の博士号取得者は30点のポイントが与えられる等である。今回は永住許可の申請に必要な在留期間を5年から3年に短縮したそうだ。更にポイントが80点以上の対象者は最短1年とするとのことだ。昨年10月末までに高度外国人材に認定されたのは6298人。20年末までに1万人認定する予定だそうだ。
外国人の受け入の代表例が技能実習制度だ。2014年の外国人研修生・技能実習生数は約18万人で、更に増やす予定だ。そのために滞在期間を3年から5年に延ばし落ち着いて仕事に取り組めるように改善した。対象職種は70種を超える。昨年末には、技能実習制度の対象職種への介護職種の追加を行うこととした。これまで経済連携協定によるインドネシア、フィリピン、ベトナムからの受入れがあったが、労多くして益少なしとのことで結果的に帰国する人が大半であったそうだ。現状日本国内では介護職のなり手が不足しており、規制を緩和することにより外国人介護職を増し、国内の不足を補おうとするわけである。
米国始め世界は移民排斥運動が高まりを見せているが、日本の今の状態では世界のこの風潮にくみすることになる。米国やヨーロッパ各国が難民受け入れを拒否すると、世界は一層不安定となり、テロの脅威は増すだろう。日本も良いとこ取りばかりでなく、人道的な立場から難民を迎え入れる何らかの算段が必要となるであろう。2017.02.11(犬賀 大好-311)
法務省は、2015年難民認定を申請した外国人は過去最多の1万901人に上ったが、そのうち実際に難民として認定した人はわずか28人だったことを2月10日速報値として明らかにしている。これでは、難民入国拒否と何ら変わらない。
今なお混乱の続くシリアから、これまで約480万人が難民として国外へ脱出していると言われ、主要国のこれまでのシリア難民受け入れは、米国が約6万人を始めとして万単位を受け入れている。国土の狭いスイスでさえ6700人とのことである。
一方我が日本は、2011年以降、63人のシリア人が難民認定を申請しているが、認めたのは3人だけとのことだ。このままでは、先進国の仲間に入れてもらえないと、難民受け入れの代わりに、シリア、イラクの難民と国内避難民向けに約1千億円を支援すると表明している。これらの国の国内事情は混乱しているが、この金が果たして有効に使用されるのであろうか。はなはだ疑問である。
と言っても、日本は、これまで特定国の難民を受け入れたことがある。1万人超えるインドシナ難民(1970年代後半~2005年)や123人のミャンマー難民(2010年~)である。しかし、彼らの対応に苦慮したためか、これ以降一般難民の受け入れには門戸を閉ざしている。
世界には難民があふれており、受け入れの弊害が顕著になってきたため、ヨーロッパ各国では移民を拒絶する政党が勢いを増している。これらの政党は移民排斥と共に、自国第1主義を掲げ、保護主義を目指しているため、グローバル化を目指す日本にとって頭の痛い難問となっている。また、これらの政党は日本の移民政策を称賛しているようであり、日本にとって何とも皮肉な話である。すなわち、日本の移民政策は、良質な移民のみを選択して受け入れようとしているからである。
これまで難民問題を金で解決しようとしていた日本政府は、先進国に仲間入りするために、今年から5年間で、シリア難民の留学生とその家族を計300人規模で受け入れる方針と決めた(2月3日報道)ようである。微々たるものであるが一歩前進であろう。
法務省の発表によると、平成26年末現在における中長期在留者数は約176万人、特別永住者数は約36万人で、これらを合わせ登録された在留外国人数は約212万人となり、前年末に比べ,2.7%増加したとのことである。一方平成28年1月1日現在の不法残留者総数は約6万人だそうで、それでも現在の日本は人手不足状態であり、更に少子化時代を迎え、一層の人材難が懸念される。
これを解決しようと、政府は、難民ではなく品質の高い外国人労働者を向かえようと努力している。その一つが、”日本版高度外国人材グリーンカード” であり、3月より始まる。グリーンカードとは永住権を約束するもので、得やすくするため2012年にポイント制を導入した。例えば、研究者の博士号取得者は30点のポイントが与えられる等である。今回は永住許可の申請に必要な在留期間を5年から3年に短縮したそうだ。更にポイントが80点以上の対象者は最短1年とするとのことだ。昨年10月末までに高度外国人材に認定されたのは6298人。20年末までに1万人認定する予定だそうだ。
外国人の受け入の代表例が技能実習制度だ。2014年の外国人研修生・技能実習生数は約18万人で、更に増やす予定だ。そのために滞在期間を3年から5年に延ばし落ち着いて仕事に取り組めるように改善した。対象職種は70種を超える。昨年末には、技能実習制度の対象職種への介護職種の追加を行うこととした。これまで経済連携協定によるインドネシア、フィリピン、ベトナムからの受入れがあったが、労多くして益少なしとのことで結果的に帰国する人が大半であったそうだ。現状日本国内では介護職のなり手が不足しており、規制を緩和することにより外国人介護職を増し、国内の不足を補おうとするわけである。
米国始め世界は移民排斥運動が高まりを見せているが、日本の今の状態では世界のこの風潮にくみすることになる。米国やヨーロッパ各国が難民受け入れを拒否すると、世界は一層不安定となり、テロの脅威は増すだろう。日本も良いとこ取りばかりでなく、人道的な立場から難民を迎え入れる何らかの算段が必要となるであろう。2017.02.11(犬賀 大好-311)