森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

ラニクホヌアの聖なる岩

2015年10月02日 | 神話・伝説


先月、仕事で、オアフ島西部のコオリナにある美しい海辺の地「ラニクホヌア」を訪れました。ラニクホヌアは私有地なので自由に出入りはできませんが、よくフラ関係のイベントや、大きなパーティ、結婚式が催されています。近くにはディズニーのアウラニ・リゾートや、ルアウの会場なども。

今回、ラニクホヌアに行ったのは2回目だったのですが…。敷地内に入り、芝生に広がる空間に足を踏み入れたとたん、ハッと息をのみました。なんて、…なんて美しく、そして清浄なマナに溢れているのでしょう!

マナというのはハワイ語で霊気、霊力のこと。日本語で端的にいうと「気」でしょうか。場所によってよいマナのたっぷり溢れた場所というのがあるし、古来、位の高い王族は、マナをたくさん持っているとされていました。

ふだんはそういった、マナを感じたりスピリットの存在を感じたりしない私。ようするに、そういった勘はにぶいのです。それに前回は何も感じなかったというのに、今回のラニクホヌアでは、ハッとするほど清々しいマナをしっかり感じてしまったのです。もう、気分がス~ッと爽やかになるというか、一気に癒される気持ちがしました。

…実はその朝、家を出た時、私は怒りに満ちていました。夫にプンプンして「今日は何時に帰るかわからないから!」と捨て台詞を残して玄関を出たのです(恥)。ところが、この地に着いて椰子の木や限りなく透明に近い浅瀬の海、真っ青な空を見上げたら。急に清々しい「気」に包まれて、怒りがス~ッと溶け、安らかな気持ちになりました。喧嘩なんかしてちゃダメダメ~、のような、優しい気持ちになってしまい。

「なんかココって気持ちがいい。マナがたっぷり漂っているみたい」

そういうと、一緒にいたカメラマンも同意してくれました。「マナかどうかわかりませんけど、気持ちいいっすね、ここ」。この場所には何か癒しの伝統があるんじゃないかな? と感じた私たちでした。

そんなことを、その日に待ち合わせていたフラの師匠(クムフラ)に尋ねると、やっぱり。「そうよ。ここには癒しのマナがたっぷり漂っているわ」。そして話してくれたことには、この地には、癒しにまつわる伝統&言い伝えがあるのでした。

この地は、昔、キャンベル一家で作るキャンベル財団の所有地でした。一家はかつて、山の際から海まで一帯の広大な土地を持っていて、ほとんど売却してしまいましたが、唯一残したのが、この場所だそうです。

…そして第二次世界大戦前のこと。真珠湾の際にあった聖なる岩が、ある時なくなってしまいました。それは女神ヒナの像とされる岩。ティキ像のように目鼻があるわけではありません。が、女神ヒナの似姿としてハワイアンに崇められ、一種のヒーリングストーン(癒しの力のある岩)として、一帯を守っているとされていました。

ところがそのヒナの像がある日、忽然と姿を消し、人々は噂しました。「今によくないことが起こるぞ」。そして起こったのが、ご存知、真珠湾攻撃です! 
と、それから数年がたった時。あるハワイアンが、ラニクホヌアの海辺に、くだんのヒナの岩がひっそりと置かれているのを発見。誰かがそこに置いたのでしょうか。それとも、岩が一人で移ってきたのでしょうか? 

岩はさっそく清められて敷地の一角に置かれ、崇められるようになりました。以来この地は癒しのエネルギーの漂う地として知られるようになった、ということです。それが、下の石像です。



前述のように、目鼻が彫られているわけではありませんが、ヒナの像は何重にもレイがかけられ、何かとてもフェミニンな印象を受けました。ヒナといえば女性らしさに溢れる女神ですが、私の目からはまさにこの像、何だかとても優しい雰囲気で、ヒナそのものに見えました。不思議なことに…。

今度ラニクホヌアを訪問するチャンスがあれば、またじっくり、ヒナの像をお参りしたいです。あの時は私の心を平和で満たしてくれて、有難う!

…余談ですが昨日、私は、チャイナタウンで飲茶ランチをし、ヌウアヌ川のほとりの出雲大社にお参り。ここでは毎月一日には神主さんが訪問者全員に御祓いをしてくれるうえ、お神酒をふるまってくださるのです。昨日はたまたま出かけたのですが、幸運にも御祓いをしていただけて、ハッピー! よい一日を過ごしました。

ああ、それなのに。レストランでも出雲大社でも、写真を撮るのをすっかり忘れた私。もう、ブロガー魂ゼロですよね! 常に写真で記録する。これ、今後の課題でございます。
コメント (4)
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