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困窮世帯支援策 実情踏まえて練り直せ

2021年06月07日 | 生活

「東京新聞」社説 2021年6月7日

 緊急事態宣言の延長に伴い、政府は困窮世帯に最大三十万円を給付する支援策を発表した。支援は歓迎すべきだが、給付条件が実情とはかけ離れ、利用が難しい。条件の緩和など練り直しが必要だ。

 困窮世帯への新支援策は七月以降、三カ月間にわたり、単身世帯で月額六万円、二人世帯で同八万円、三人以上の世帯で同十万円の現金を給付するという内容だ。

 コロナ禍による国民生活の悪化は深刻だ。昨年度の生活保護申請件数(速報値)は前年比で2・3%増と、リーマン・ショックの影響を受けた二〇〇九年度以来、十一年ぶりに増加。昨年の完全失業率(平均2・8%)も、やはり十一年ぶりに前年から悪化した。

 困窮世帯への支援は待ったなしで、新たな支援策は朗報に聞こえた。だが、困窮世帯は困惑を隠さない。給付条件が厳しいためだ。

 最大の問題は国から借金をしていないと申請できない点だ。政府は昨年三月、コロナ禍で収入が減った世帯を対象に特例貸付制度を設けた。休業が対象の「緊急小口資金」と失業などを想定した「総合支援資金」だが、今回の給付はその上限額(計二百万円)まで借りていることを条件としている。

 困窮世帯の稼ぎ手の多くが非正規雇用だ。年収が二百万円以下の世帯も少なくない。貸し付けは返済時に住民税が非課税なら免除されるが、その水準では暮らしがたい。子どもが幼く、将来の支出増が予想されれば、借金を避けようとする。それで給付されないのは理にかなわない。そもそも貸し付けの対象外とされた人もいる。

 ハローワークで求職していることも条件にされた。だが、ワーキングプア状態にある人たちは、平日の昼間にハローワークで仕事を探す余裕がない。多くは民間の職業紹介サービスで仕事を探している。実態に沿っていない条件だ。

 給付対象も小さすぎる。政府は対象を約二十万世帯とするが、これは全世帯数の約0・3%にすぎない。困窮世帯ははるかに多い。総額五百億円という規模も、昨年度の第三次補正予算で「Go To」事業延長に約一兆円が計上された点を考えても乏しすぎる。

 困窮世帯に手を差し伸べる施策は歓迎したい。とはいえ、困窮の現実を理解していなければ、絵に描いた餅になってしまう。政府には実情を精査した上、給付条件の緩和や規模の拡大を求めたい。


国民の命と暮らし、どう守ってくれる氣だろう?
実体のない、やってるポーズか?

更新が遅れてしまいましたので、今夜はこれにて。



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