里の家ファーム

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固定種と交配種

2015年07月31日 | 野菜・花・植物

「てくてくねっと」より

野菜を育てればタネができます。そのタネを播けば翌年も同じ野菜ができるはず・・
今のタネの世界ではそんな常識が通用しなくなっています。
交配種
またはF1種またはハイブリッドと言って、いま市販されているタネのほとんどは、2つ以上の違った品種を人工的にかけあわせて作ったタネです。
 その目的は、大きく早くきれいな市場価値の高い野菜を育てたり、ある種の病気に強くしたり、糖度を極限まで高めたりといろいろですが、できた野菜から採ったタネを翌年蒔いても、ちゃんとした野菜はできません。

たとえばとうもろこし。
いま市販されているピーターコーンとかハニーバンダムとかシュガーコーンとか、すべて交配種です。
 いっぽう昔からある野菜の種は固定種とか在来種とか言って、 採種を繰り返すことで毎年毎年同じような野菜が収穫できます。

 年配の方がよく「今の野菜は味がしない」というのは、タネ自体が変わっていったというのが大きな理由です。

 F1種が中心となったいま、タネは種苗店から買うのが当たり前になっています。そしてそれは、農家が本来おこなっていた自給という営みを、すくなくとも種の世界では他人の手に委ねてしまったということです。
 固定種のタネを育てるというのは、伝統を守るということにもつながるのです。

自家採取した種で野菜を作るとどうなるでしょうか?

固定種の種は味が良く栄養価が高いのですが、市場に出すときに大きな欠点があります。

まずひとつは、種一つ一つが個性があるということです。大きくなるものならないもの、早く成長するもののんびり成長するもの、味一つとっても、みんな同じ味というわけではありません。

規格が揃わないというのは市場出荷にとっては致命的です。

大きさが不揃いのダイコンは、市場で買ってくれませんし、一度に揃って成長しないということは、農家の手間を増やします。

私たちがスーパーで野菜を買うとき、すらっときれいで形が揃って肌が綺麗なものを選ぶ限り、固定種の野菜は流通に乗ってはきません。

また、今は野菜の流通量の7割が外食や調理惣菜用と言われていますが、外食産業や機械調理には固定種の野菜は使えません。

量り売りの八百屋が消え、スーパーに揃った野菜が並ぶようになり、外食産業がひろまり、コンビニでお弁当を買う時代には固定種の出番はありません。

学校で習ったとおり、野菜は雄しべの花粉を雌しべが受粉して実ができて種ができます。

遺伝子の多様性を守るため自家不和合性といって、一般に植物の多くは自分の花粉では実がならず、同じ種類の他の株の花粉で受粉するようにできています。

なかには雄性不稔といって、突然変異によって雄しべがなかったり花粉ができなかったりする個体が現れることがります。

この子孫を残せない個体だけを集めて、他の種類の野菜の花粉と人工的にかけあわせて採種したものが交配種です。

自然は本来の姿に戻ろうとする力があるので 中にはたまに雄性不稔の株に混ざって正常に花粉を作れるものも現れます。

そんな正常な株をみつけては取り除くというのが種苗会社の作業員の仕事になっています。

つまり、自分で子孫を残せる正常な個体を排除して、雄性不稔という遺伝子の異常を利用して育てた種だけを集めて作ったのが交配種なのです。

そして、気がつけば私たちの周りは自分では子孫を残せない遺伝子の種で作られた野菜ばかりを食べているということになってしまっています。

大量生産・大量消費や便利さを追求することで行き着く先にはどんな未来が待っているのか。時に心配になることもあります。

固定種の種は交配種に比べるとずっと個性的で、同じ時期に一緒にまいても同じように育ってはくれません。

でも、家庭菜園では見た目やサイズより味が良いほうがいいですね。おいしい野菜を作るための手間は喜びです。。

じっさい固定種のきゅうりやなすで作った漬物はびっくりするほど美味しいものです。
農家が作らないからこそ、家庭で固定種のタネの野菜を育ててみませんか?

そして、できれば頑張ってタネを集めて、翌年また同じように育ててみてください。
種は一年で一万倍に増えると言われています。

固定種を育て、種をとり、またそれを翌年蒔くことで命の循環を感じてみませんか?