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悲しき天才怪獣ノーマン

2007年07月25日 | 特撮
日本映画専門チャンネルで怒濤の一日複数本再放送中の「スペクトルマン」。
ピープロ作品ゆえ、東映・円谷の健全・王道っぷりとは違うアウトサイダーなエピソードが多い、
というのが、二十年以上前のテレビ神奈川で見て以来の感想である。

今日見たのが↑タイトル作品。前後編の後編。前編では、主人公が属する怪獣Gメンにいつも
そばを届けていた出前持ちの三吉(劇中では「低脳」と評される知能レベル。ドリフのバカ兄弟級)が、
低脳から脱却すべく堂本博士の脳手術を受け、同時に手術を受けた犬のボビーともども
天才的頭脳を獲得する(ボビーは元が犬なので中学生クラス)。三吉は博士の大学で
研究生活に入り、様々な業績を立てる。だが博士は手術以前に宇宙猿人ゴリにコントロールされており、
ボビーはやがて凶暴な怪獣になってしまう。脳のエネルギー補給のため、人間を襲って首から上だけを
食いちぎるようになった(脳を食べる)ボビーは大暴れし、三吉の哀願もむなしくスペクトルマンに
倒される、というところまで。

後編は、ボビーの姿を見て自分も怪獣化することを察知した三吉が、天才的頭脳を駆使してどうにかそれを
食い止めようとするが、ボビー同様に生肉→人間の脳を食うようになり、やがて全身怪獣化。
全人類を滅亡させられる爆弾を発明し、スペクトルマンと対決。事前に三吉と会った際、
こうなることを告げられていた蒲生ことスペクトルマン(人間に正体を知られたら指令元に破壊される、
というルールがあるのだが、この回ではそれを無視)は、凶暴な怪獣が三吉だと知っているだけに
普段のようには戦えない。だが怪獣の中にはまだ三吉の人間の心と声が残っており、彼は
自分が人類を滅ぼしてしまう前に殺してくれとスペクトルマンに頼む。スペクトルマンは
三吉の願いを聞き入れ、ノーマン=三吉を倒す。

…というお話。ヘビーである。中学生くらいまでに見ていたらトラウマ化しそうだった。
古い特撮ものだと、怪獣・怪人に襲われた人間が溶けて骨になってしまったりする描写が多いが、
それらはまだどことなくユーモラスな表現だったと思う。ボビーやノーマンに襲われた犠牲者は
首なし死体になってしまうのだから、横溝正史シリーズ並みのグロさである。
ノーマンはジャミラとスペル星人とキノコを混ぜてサイケにしたようなデザイン。
三吉は、俺的には「必殺仕業人」の出戻り銀次が一番印象深い鶴田忍が演じていた。
低脳時と天才時の芝居の切り替えがさすがだった。ノーマンがスペクトルマンによって倒される
(雨の中、すれ違いざまに切られる)シーンから、崖っぷちに立てられたボビーと三吉の
粗末な墓標のシーンに変わり、そのまま終わる。この乾いた演出・無常感が良かった。
今こういう物語を作ると、ノーマンは最後の最後に三吉に戻り、笑顔を浮かべながら死亡、
主人公たちがその墓標に向かって黙祷、三吉とボビーの幻影が虚空に浮かび、主人公蒲生が
「ゴリ、許さんぞ」とか内心で言って終わり… というふうにすると思うのだが、
そうしなくて正解だった。泣け泣けと言ったらダメなのだ。


追記
「スペクトルマン」には、子役としてマシンマン(今は声優の佐久田修)、ずうとるび江藤、
ずうとるび新井が出ていたりして味わい深い。