で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1994回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『こんにちは、私のお母さん』
過去に行き、結婚前の母と会った娘が母を喜ばせようと奮闘するファンタジー人情喜劇。
中国の人気喜劇女優ジア・リンが自作コントを元に、主演と初監督を務め、中国で歴史的な大ヒット(900億円以上)を記録。
共演に、チャン・シャオフェイ、シェン・トン。
物語。
1999年中国、高校生のジア・シャオリンは幼いころから食い意地以外は何をやってもダメだった。
母リ・ホワンインは、そんな娘を心から愛していたが、シャオリンは母に苦労ばかりをかけてきたことが心苦しい。
せmて、勉強を頑張り、芸術学科に女優を目指し精進する。
彼女は母を喜ばすために、ある計画を実行する。
シャオリンが気づくと、そこは20年前の1981年だった。
そこで彼女は、結婚前のまだ若い、母になる前の母と出会う。
これは親孝行のチャンスとシャオリンは母を幸せにしようと動き出す。
脚本:ジア・リン、スン・ジービン、ワン・ユー、ブー・ユー
出演。
ジア・リン (賈暁玲 ジア・シャオリン)
チャン・シャオフェイ (若き日の李煥英 リ・ホワンイン)
シェン・トン (光林 シェン・グアンリン)
チェン・フー (特多 ロン・ター)
ヒー・ヒー (バオ・ユーメイ)
フアン・ヘ (張江 チャン・ジェン)
ハン・ユンユン (王琴 ワン・チン)
リウ・シア (現在の李煥英 リ・ホワンイン)
スタッフ。
製作:シー・シャオイエ
撮影:スン・ミン
音楽:ポン・フェイ
『こんにちは、私のお母さん』を鑑賞。
現代80年中国、過去に行き、結婚前の母と会った娘が母を喜ばせようと奮闘するファンタジー人情喜劇。
ジア・リンは中国の人気喜劇女優で自作コントを元に今作を発想。主演のみならず初監督も務めた。
中国では興行収入900億円を超える記録的大ヒットとなった。これは女性監督として映画史上最大のヒット。こういうのが生まれていくこと大事よね。
もうね、あえての中国の昔風味のベタコメディから、まさかの、こんなん涙こらえるの難しすぎるわぁーな展開が待っている。前半11点、クライマックスで90点を超えてくる。
宣伝はミスリードでもある。
ファンタジーよりのSFで、ある意味、御伽噺の一種。
映画はノスタルジーが得意技なので、中国人にはそれだけで涙腺刺激するのがわかる。知らないにしろ、その懐かしさはこちらにも伝わります。80年代だけど昭和感、日本の戦前から50年代の感じ。
チャン・シャオフェイの存在感、ヒー・ヒーの天真爛漫、シェン・トンの同道経つコメディアンぶりが映画全体を底支えする。
キャラを使い捨ていていく感じながら、意外と丁寧に拾ったりもするのよね。
そうそう、母子家庭じゃない。
市井を描く古き良き大衆娯楽としての映画の喜び。
笑いの種類はベタベタで古臭いが、そこもゆるく受け止めて、中国の80年代ってこうだったのかという映画時間と海外旅行をする。
親孝行したいときには親はなし。
大仕掛けが全てをどんでん返しする笑い泣きの豆作。
おまけ。
原題は、『你好,李煥英』。
『こんにちは、李煥英(リ・ホワンイン)』
劇中登場する母の名。
英語題は、『HI, MOM』。
『やぁ、母さん』。
2021年の作品。
製作国:中国
上映時間:128分
映倫:G
配給:Tiger Pictures Entertainment=ハーク
女性監督による映画史上最大のヒット作でもある。
台湾映画の『29歳問題』を思い出した。
荒れも舞台が元で、実話をもとにしていたしね。
市井の人々を描いても小さくまとめないで堂々と娯楽作にしていく人情喜劇はアジア映画の強みよね。
世界中に、その国のストーリー寄りの大人気コメディアンが主演監督するのが定番としてある。
日本では、北野武、松本人志。イタリアならロベルト・ベニーニ。フランスなら、フィリップ・ラショー。アメリカなら、 ダン・エイクロイド、ビル・マーレー、タイラー・ペリーなど。
で、中国ならジア・リン。
喜劇になる場合もあるけど、意外とそうならない場合も。
監督は人に任せて、脚本と主演だとすごく多い。
ややネタバレ。
ジア・リンが撮影時38歳にして主人公の高校生を演じた。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の反転版。
『異人たちとの夏』の母版。
『月夜の願い/新難兄難弟』の母版。
『青天の霹靂』の母版。
だが、それらを凌駕する娘の愛がある。
ネタバレ。
いわゆるSF的なタイムスリップではなく、母の走馬灯、死に際の夢、胡蝶の夢、の中に入り込んでいったのだろう。
だから、母にとっての娘として、彼女が役者を目指しているわけで、娘の言うことをそのまま受け入れていたのだろう。
母も演技をしていたのだから。
宣伝がズレているが、それが最後の仕掛けを生かすためのミスリードだったのか。
李煥英は、ジア・リンの実母の名前。
彼女の部分は多く実話。
実際に、48歳で事故死している。
途中から、今作のコメディのテイストは、リン・ホワイエが好んだテイストだったんじゃなかろうか、と思い返していました。
これは、世界最大の亡き母へのお供え物なのです。
他人の親孝行にお付き合いする義理はないと言っちゃえば、それまでですが。
でもね、「この映画を平凡で偉大な全ての母親に捧げる」と出るように。
これは娘から母へのプレゼントなのだから。
私が母に捧げる映画をつくるとしたら、暴力描写がなく、ピンクレディを代表する日本歌謡曲が流れる音楽劇で、平和で寓話的な、大人のためのシンプルで洒脱なハッピーエンドのお話にするでしょう。
いつものスタイルはどっかにうっちゃって。
で、母の夢に娘が取り込まれたなら、母はすでに母として、夫より娘のことを思って(心配して)いたともとれるし、娘の力で母の夢に入ったとしたら、お父さんのことを娘はあまり気にしていないってことで。まぁ、思春期の娘にはありがちなことよね。
似過ぎているから、何とも言いにくい距離感なのかもね。