菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

ざっくり言ったら、アレの仏教版だ! 『サバハ』

2019年08月20日 00時00分53秒 | 俺は好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第1163回は、『サバハ』(2019)

 

 

原題は、『사바하』。
漢字では、『娑婆訶』だそう。

 

娑婆訶(サバハ)とは、日本語読みで“ソワカ”。
サンスクリット語の真言呪文の最後につく言葉で、“円満に叶う”という意味だそう。
密教徒が呪文の最後につける祈りの言葉でもあり、「唵、阿毘羅吽欠蘇婆訶(オン、アビラウンケンソワカ)」は覚えがある方もいるかと。
僧侶の隠語的に、男女関係を遂げることを意味する“娑婆訶為(そわかした)”にも使われる。

 

英語題は、『SVAHA: THE SIXTH FINGER』。
『サバハ:第六の指』。
ある人物の手のことですね。

 

 


上映時間: 123分
製作国: 韓国

 

 

 

スタッフ。

監督: チャン・ジェヒョン
脚本: チャン・ジェヒョン

撮影: キム・テス(C.G.K)
照明: チョン・ヨンソク(Real lighting co.)
音楽: キム・テソン
美術: ソ・ソンギョン
アクション監督:チョン・ユノン、ソン・ウォンジョン(ソウルアクションスクール)

 

 


出演。

イ・ジョンジェ  (パク牧師)

パク・チョンミン (クァンモク(広目)ことチョン・ナハン)
チ・スンヒョン   (チグク(持国)ことキム・チョルチン)

イ・ジェイン  (イ・グムファ / クゴッ(=IT))

イ・デヴィッド  (コ・ヨセフ助手)
チョン・ジニョン  (刑事のファン斑長)

ファン・ジョンミン  (シム勧士)
チャ・スンベ (総務僧侶ムノ(蛸))
チン・ソンギュ  (ヘアン僧侶)
田中泯  (高僧ネチュンテンパ)


ユ・ジテ (医師キム・ドンス)
チョン・ドンファン (キム・ジェソク東方教教祖)
オ・ユノン (ヨンファ(蓮花)菩薩)
ムン・スク (ミョンヒ)

 

 

 

 

物語。

世紀末、ある田舎の村で、双子の姉妹が生まれる。正常でない脚で美しい妹クムファと人とは思えぬ悪鬼の如き姿の姉クゴッ。"クゴッ"の意味は"それ"、名でさえない名をつけられた姉を医師は長くは生きられないと診断した。

2014年、美少女と悪鬼、二人は14歳になった。
悪行に手を染める新興宗教を捜し出し摘発する宗教問題研究所の所長であるパク牧師は、<サスムドンサン(鹿野園)>という新進の仏教系の新興宗教団体を調査中。
今日も所の前には抗議の集団が非難の声を上げている。
ある日、寧越(ヨンウォル)トンネルで女子中学生がミイラ状の死体で発見される。
これを追った刑事ファン班長とパク牧師は、鹿野園で遭遇する。
容疑者として捜査線上に、教団内で持国天と呼ばれる男が上がった。それは、鹿野園の経典にも出てくる仏教の守護神で四天王である一柱の名前。
警察より先に、その持国天に広目天の名を持つ男が迫っていた。

 

 

殺人事件の捜査線上に浮かび上がった怪しげな新興宗教。禁断の領域に踏み込んだ牧師が、不可解な事象と背筋も凍る狂気に挑むオカルト・サスペンス。

 

 

NETFLIXで配信中。
韓国では、劇場公開されています。

 

 

『プリースト 悪魔を葬る者』でも際立ったチャン・ジェヒョンのシナリオの上手さが今作でも光る。
本国でのシナリオの評価は似合った題材である『哭声/コクソン』よりも高いという声もあるほど。
そう、仏教版のアレとは、『哭声/コクソン』です。
仏教版とは書きましたが、キリスト教とか新興宗教とかも出てきますが。

惹きつける前振りから、複雑な過去をもつ主人公と恐ろしい使命をもった敵の分裂という複雑な設定をチラ見させながら、ガンガン行動と外連で見せていく面白さは、オカルト系の上質な恐ろしさと知的な面白さが融合していて、脳がフル回転します。
しかも、その拡げた風呂敷をまったく尻すぼみにさせないどんでん返しに震えがくるほど。
ちょいと難しいってのと仏教的思想を知らないと理解が追いつかない部分があるので、そこまでのヒットになってないようですが、こういうのこそNETFLIXが得意とする物件。
好きものには恍惚ものの作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

ユダヤの王ヘロデ大王の大虐殺(預言により、生誕した敵キリストを阻むため、ベツレヘム一帯の二歳児以下の男児が殺された)をベースに敷き、属する場所での信心を描いている。

ヘロデ大王側から言えば、キリストは敵。キリスト側から言えば、ヘロデ大王は敵。キリスト教で言えばキリストが生き残ったことは必然で善となる。だが、逆もまた真なり。


実際のヘロデは晩年は家庭不和で不幸に満ちて、紀元前4年頃死亡。領地はヘロデ大王の孫のアグリッパ一世(ヘロデ王)が相続する。彼もまたキリスト教を迫害する。西暦100年頃、その息子アグリッパ二世(アグリッパ王)はトラヤヌス帝治下のローマで死去し、ヘロデ王朝は終わりを告げる。

 

新約聖書では、『マタイによる福音書』2章16節~18節にあるエピソード、

旧約聖書でも似たエピソードが出エジプト記にある。ファラオは生まれたばかりのヘブライ人の子を皆殺しにするよう命じたが、モーゼだけは助かり、後にこのモーゼによって民は解放された

 

イエスの両親ヨセフとマリアはお告げでこの危機を知り、エジプトに逃れたためイエスの殺害を免れた。

 

 

フラウィウス・ヨセフスなどの一般の歴史家の記述はおろか、他の福音書にすらこの幼児虐殺のエピソードは記されていない為、マタイ福音書の記述は事実ではなく、イエスの生涯を旧約聖書の預言の実現として描こうとするマタイの意図によって創作されたエピソードであるとする説もある。

たとえ事実であったとしても当時のベツレヘムは本当の寒村であったため、ごく小さな規模の事件であったと考えられる。聖書学者レイモンド・ブラウンは1,000人程度であったと推定しており、実際に殺された幼児の数はどんなに多く見積もっても20~30人程度であったのではないかと推測されるている。もともと、当時の専制君主はこれを超える規模の非道な虐殺行為をしばしば行っていたため、ヨセフスや他の歴史家からもわざわざ記録するほどの事件とは見なされなかったと解釈することもできる解釈もある。(Wikiより)

 

 

ネットによると。 

本物のキム・ジェソクが、広目天に「なんでお前は象の目が怖くないか?(私は怖いのに...)」と言ったのは、すでに心が堕落していることの証。
仏教で高貴な動物である象を殺すことは、仏道から抜け出したことを意味する。

蛇は、キリスト教ではサタンの化身だが、民俗信仰では多産と豊穣の象徴になるし、仏教では物事を二分法に分けないので、蛇を悪と評価はしない。違う立場で見れば、意味が逆転する。

6本指は、6はその約数の合計がそのものになる(1 + 2 + 3 = 6)、すべての数字の中心であり、仏教で「完成」、「完結」、「永遠」の象徴である。
6本指は、できあがった存在で輪廻せず永遠の存在となった、つまり、仏の境地にたどり着いたことを意味する。

兄弟の足首を握って(かみちぎって)生まれたのは、聖書のヤコブとエサウの逸話がモチーフ。出歩けないので、妹自身をジェソクの一派から守る(自分に近いところに置いておける)ことになる。

死は終わりではないので、敵や動物は必要とあらば殺せる(食事も同様)。

妹は窓を割った鳥のおかげで、祈祷師から逃れている。

 

持国天が幽霊の攻撃を受けるのは、彼が偽物であり、成仏させていないから。

鹿も高貴な動物で、死者の代わりに現れる存在(『スリービルボード』でも登場)だが、本物ジェソクは鹿を殺して登場。

 

 

偽物か本物か、が重要で、キムジェソクも予言を聞くまでは、本物だった。だが、不死から死を意識するようになって、「竜から蛇に堕ちた」。本物が偽物に変わることがある。
同様に、姉は悪鬼から菩薩へと変わる。15年の苦行の末。

広目天も偽物だったが、気づきと反省と善行によって本物に変わる。

偽物探しをしていたパク牧師はいまだ本物と出会えないが、今回の件で出会えるかもしれない希望(本物と呼ばれた者とは出会った)を抱く。

灯火と言ったジェソク(韓国語で帝釈(帝釈天)と同じ響き)は最後燃えて、実際に灯火になる。

 

 

 

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