菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

公式がネタバレする時代。

2024年09月30日 09時37分45秒 | 映画のあれこれ
最近の映画は、見てもらうために、本来はサプライズの部分を、フックとして、宣伝に使ってしまう。<どんでん返し>、<誘拐した少女の正体は〇〇だった>でおさめていたのが、今や、<誘拐した少女は吸血鬼><殺された妻はアンドロイド>と宣伝して、そのジャンルが好きな人に訴求する。そういうのを分かっていて観るタイプの語りなら問題ないんですが、そこが中盤まで隠されている対応の語りのものが少なくない。それでも『アビ . . . 本文を読む
コメント

現代の芸術は、コンセプトの提示が重要。

2024年09月29日 01時29分29秒 | 映画のあれこれ
現代の芸術は、コンセプトの提示が重要。御多分に漏れず映画もそう。 だが、日本だとコンセプトという考え方自体が設定や世界観のあたりで留まって受け止められることが少なくない。それゆえ、その作品の意図がうっすらとしか伝わってないことが多々あり、本質からズレて語られがちになる。それが一般的な日本の芸術の見方でもあるのは、仕方ないことではあるが。コンセプトを明確にしているのに、そのコンセプトを全く誤解して . . . 本文を読む
コメント

『グラン・ブルー』は存在しない。

2024年09月27日 14時47分17秒 | 映画のあれこれ
『グラン・ブルー』が、かなり困りもの。実は、『グラン・ブルー』という映画は存在しない。   さて、『グラン・ブルー』は、4バージョンあります。1:『グラン・ブルー/オリジナル・バージョン』(『Le Grand Bleu』) フランス公開版(132分)日本では1998年公開。仏国内で最初に公開された版。セリフは英語。仏公開版は俳優本人たちが仏語に吹替え。 2:『グレート・ブルー』(『 . . . 本文を読む
コメント

分かった顔と分からない心。

2024年09月20日 10時53分05秒 | 映画のあれこれ
新世代の映画のテーマに置かれている主流は、「みんな分かったような顔をしているが、他人どころか家族どころか自分のことさえ分からない」だろう。最近の方が三本『ナミビアの砂漠』『ぼくのお日さま』『ラストマイル』はまさにこれを語るし、今年のアカデミー脚本賞の『落下の解剖学』もそこが中心にあった。 それはまさに現実における、人間(社会)の多様化と科学的人間解剖と情報化とオンライン化された地球(文化の差異の . . . 本文を読む
コメント

『レジェンド・オブ・フォール』の撮影時のこと。

2024年09月05日 22時43分17秒 | 映画のあれこれ
『レジェンド・オブ・フォール』の撮影時のこと。エドワード・ズウィックは、毎朝、食堂でアンソニー・ホプキンスが熱心に台本に目を通しながら書き込みをしているのを別の席で見ていた。ある時、ズウィックはホプキンスが台本に何を書いてるのか気になってチラッと覗いた。そこに、見慣れない三文字[N.A.R]があるのを見つける。その三文字の意味がどうしても気になって、ズウィックが恐る恐る尋ねると、ホプキンスはくすく . . . 本文を読む
コメント

改変か、脚色か。

2024年08月20日 21時56分00秒 | 映画のあれこれ
現在、日本では、原作改変が悪のように言われている。原作改変が許されないのではなく、今の日本では漫画やアニメの方が実写やテレビより上位だからということだろう。そういう点で、小説の原作改変は、そこまで話題にはならない。もちろん、上位の側なら何をしてもよいというわけではない。正式な手続きをとったとしても、許されるものと許されないものがあるのはわかる。作品は愛する者たちのものになるものなのだ。(これは、み . . . 本文を読む
コメント

演技は調味料。

2024年08月17日 10時23分59秒 | 映画のあれこれ
演技は調味料。塩や砂糖や醤油だけでも足りなくもないが、どこか物足りなくもある、マヨや出汁が欲しい。まずは、己という食材にかける。味が引き出される。違うものになる。食材の掛け算、誰と組み合わせるかで変わる。作品は料理。高級店の料理もあれば、専門店、居酒屋もあれば、家庭の日々の食事も、インスタントもある。観賞は食事。それらを期待し、味わい、味や口をなめらかにトークしたり、黙ったり。 . . . 本文を読む
コメント

演技という技術について、考えたこと。

2024年08月04日 00時46分41秒 | 映画のあれこれ
演技って、恐ろしい技術。全く経験なくてもプロ顔負けの素晴らしい演技をすることもできるし、年齢でどんどんやれることが変わっていくし、中堅クラスでも凡庸な演技を見せてしまうこともあるし、演出やシナリオで上手くなりも下手にもなる、何年もいまいちだった人がある日突然上手くなることもあるしね。でも、だからこそ、必要な表現に合わせられるブレない技術が大事ってことなのよ。 演技は、理に適った技術を習得するなら . . . 本文を読む
コメント

感情移入と同様の移入について。

2024年07月26日 06時56分56秒 | 映画のあれこれ
感情移入と同様の移入はいくつかある。・<環境移入>:生まれ育ちや仕事や立場や家庭環境などの環境に移入する。 ・<周辺移入>:知っている人物に似ているのでその周囲に移入する。親子ものなどもこれに当たる。 ・<情報移入>:自分が知っている現実にある人物や物や出来事に関しての知識や思考や興味に移入する。  ①ほかに、劇中での問いかけに解答者や思索を巡らせる<思考移入>。 ・<愛情移入>:理想の人物 . . . 本文を読む
コメント

時代のテーマ。

2024年07月24日 08時20分28秒 | 映画のあれこれ
『落下の解剖学』、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』、『デッドプール&ウルヴァリン』のテーマは、「虚偽と真実」。これが2020年代の代表的なテーマなんだろうな。と、思っていたら、子供向けの『怪盗グルーのミニオン超変身』でも「虚偽と真実」がテーマになっていた。予告編を見ていると『もしも徳川家康が総理大臣になったら』もそこがテーマにあるようだ。もちろん、そもそも映画自体そこがテーマになりやすいのだが、 . . . 本文を読む
コメント

潜水艦もののそばにあるものは。

2024年07月17日 17時52分56秒 | 映画のあれこれ
映画で、潜水艦ものにハズレなしという言葉がある。これは、ちゃんとセットを準備して、カット割りを考え、それぞれが役割をきちんと果たして撮影しなければならない、海や戦闘を想像させなければならないという条件が生まれるからでもある。邦画には潜水艦ものが少ないのは、映画をきちんと作れる国でないとなかなか潜水艦ものは難しいというのもある。なにより、限定された空間、閉鎖空間、移動し続けること、すぐそばに死と水が . . . 本文を読む
コメント

段取り、きちんと、タンドリーチキンと。

2024年07月13日 15時10分57秒 | 映画のあれこれ
映画作品をこれだけ見てきて、ずっと不思議なのは、状況から判断したら、この行動はしておくだろう、ということを登場人物は、まあまあの確率でやってくれない。いい物語はこの段取りの描き方が上手い。ジャンルモノでは特にこの段取りを流しがち。(お仕事ものや料理ものはこの段取りが命とも言える)もちろん、段取りはただの説明になりがちなので、すっ飛ばしたいのもわかる。飛ばした理由が、最後まで見たら、納得できる理由が . . . 本文を読む
コメント

共感の種類

2024年07月06日 09時04分24秒 | 映画のあれこれ
物語における<共感>には、7つの種類がある。 1,感情を共有する。2,共通認識を持っていると感じる。3,共同体験を感受する。4,共存している感覚になる、5,共闘している感覚になる。6,多人数の共同体の仲間であると感じる。7,共同体の代表(リーダー、シンボル)だと感心する。 . . . 本文を読む
コメント

映画における、言語的情報と映像的情報について。

2024年07月04日 14時53分47秒 | 映画のあれこれ
映画は、映像による言語的情報でない映像的情報が届くかどうかで内容が響くかどうかが左右される。この情緒的情報を受け取りにくい人がいる。子供に説明する時を思い出して欲しい。言語的情報は簡易にし、映像的情報や経験的情報や情緒的情報を使うはずだ。 言語的情報の処理能力は、は理解度能力(成長)と地頭と教育で、まるで変わる。映像的情報の処理力が低いと、情報が不明瞭になる。そこで、不明瞭を避けるためには、簡易 . . . 本文を読む
コメント

共感よりも距離感。

2024年06月22日 01時47分57秒 | 映画のあれこれ
映画を楽しめるようにさせるのは、共感よりも距離感なのかもしれない。 主人公や題材や物語と観賞者自身との距離感の近さがあってから、ようやく共感の入り口に立てるのではないか。同じ映像物語でも、メディアやその形式との親密さは単純接触回数で増す。今は、映画というメディア自体との距離感が広がっていることが影響しているのかもしれない。日本では、アニメ、ゲーム、TVドラマ、配信映像などが親密になり、ある種の実 . . . 本文を読む
コメント