で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2361回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『恋するプリテンダー』
結婚式で再会したすれ違いで仲違いした男女が互いの利害のためにカップルのふりをするラブコメディ。
原題は、『ANYONE BUT YOU』。
『あなた以外の誰でも』。
製作年:2023
製作国:アメリカ
上映時間:103分
映倫:G
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
物語。
現代アメリカ、弁護士を目指してロースクールに通うビーは、カフェで出会った金融マンのベンと最高の初デートをするが、ちょっとした行き違いが原因で一晩限りで終わってしまう。
半年後、ビーとベンは再会する。ビーの姉の恋人の親友として。
ビーは姉の結婚式のために、オーストラリアに行くことになるが、当然、ベンも結婚式に出るために来ており、同じ屋敷で気まずいバカンスを過ごすことになる。
だが、ビーの元カノと、ベンの元カノも結婚式に招待されていた。
お互いの利害が一致し、ビーとベンは、恋人同士のふりをすることにする。
主演は、ドラマシリーズ『ユーフォリア EUPHORIA』や映画『リアリティ』のシドニー・スウィーニー、『トップガン マーヴェリック』のグレン・パウエル。
監督・共同脚本は、『小悪魔はなぜモテる?!』『ANNIE アニー』『ステイ・フレンズ』のウィル・グラック。
原案・共同脚本は、ドラシリーズ『ハイスクール・ミュージカル』のイラナ・ウォルパート。
スタッフ。
監督:ウィル・グラック
製作:ウィル・グラック、ジョー・ロス、ジェフ・キルシェンバウム
製作総指揮:アリッサ・アルトマン、ジャクリーン・モネッタ、キャサリン・ビショップ、ナタリー・セラーズ、チャーリー・コーウィン、シドニー・キンメル、マーク・オコナー、シドニー・スウィーニー、ジョナサン・ダヴィーノ
原案:イラナ・ウォルパート
脚本:イラナ・ウォルパート、ウィル・グラック
撮影:ダニー・ルールマン
プロダクションデザイン:スティーヴン・ジョーンズ=エヴァンズ
衣装デザイン:アメリア・ゲブラー
編集:ティア・ノーラン
音楽:エスティ・ハイム、クリストファー・ストレイシー
音楽監修:ヴェンデ・クローリー
出演。
シドニー・スウィーニー (ビー)
グレン・パウエル (ベン)
ガタ (ピート/クラウディアのいとこ/ベンの幼馴染)
ハドリー・ロビンソン (ハレー/ビーの姉)
アレクサンドラ・シップ (クラウディア/ハレーの婚約者)
ダーモット・マローニー (レオ/ビーとハレーの父)
レイチェル・グリフィス (イニー/ビーとハレーの母)
ミシェル・ハード (キャロル/クラウディアの母)
ブライアン・ブラウン (ロジャー/クラウディアの父)
ダレン・バーネット (ジョナサン/ビーの元カレ)
チャーリー・フレイザー (マーガレット/ベンの元カノ)
ジョー・デビッドソン (ボウ/マーガレットの今カレ)
『恋するプリテンダー』を観賞。
現代オーストラリア、結婚式で再会したすれ違いで仲違いした男女が互いの利害のためにカップルのふりをするラブコメディ。
世界的にはアジア以外では勢いを失ったラブコメだが、あえて、一時隆盛を誇ったR18系ラブコメから笑い量は同じながらR15ぐらいに抑え、古典的な要素で喜劇というよりは笑劇的にまとめこんだのが、功を奏して、ラブコメでは20年代で最大のヒットとなったそう。(コロナ禍前の2018年には『クレイジー・リッチ』などもあった。しかも、アジア系でもある)
シェークスピアやジェーン・オースティンの味わいを現代的にアレンジ。特に『空騒ぎ』は劇中でも目配せされている。
古典の引用してる笑いに取れる人と知らないなら一周回ったベタな笑いに取れる人に分かれそう。
なにしろ、監督と共同脚本を手掛けたウィル・グラックは、『緋文字』を引用した『小悪魔はなぜモテる?!』(原題は『EASY A』)で名を挙げた作家でもある。
原題は『ANYONE BUT YOU』で『誰でもいい、あなた以外なら』と古典的な匂いを残した題名になっている。
邦題はある意味では古臭いのだが、古典というよりは80年代的で、方向性は示せているが、興味を削ぐし、原題の狙いから外れているし、人に勧めにくいよね。ウケにくい西洋コメディで、しかもラブコメなので、届きにくいだけに、ベタにしたかったんだろうけどね。
お金持ち家族のオーストラリアリゾートネタでもはや見るバカンス、早めの夏が来ます。
動きで見せるコントとしゃれっ気で見せる会話劇の両がけカレー。
しかも、層で見せる構図で、手前と奥で違う笑いを入れるグルメハンバーガー。
キャストも若手の個性的な顔立ちをそろえていて、いい具合に肉体美で押してくる。シドニー・スウィーニー、『トップガン マーヴェリック』のグレン・パウエルは表情が愉快でいいです。
撮影も、ハリウッド的てかてか明るい映像で、暗い気持ちもからっと灯りの下で見せてくれます。
音楽もばんばんばんのザ・エンターテインメントぶり。
犬も出ますしね。
この脳天気さ、苦手な人はいるでしょうけど、ゆるくハッピーエンドをジャンクに味わえます。
ただ、映画なんだから、と思えない人はひっかかるかも。
でも、オーストラリアもレスキューの代金は救助者持ちで、かなりの高額を払うので、あれはいいお客さんでもあると思えば、飲み込みやすいかも。
アメリカン大雑把なフィクションのラブコメを味わいたい方に。安心設計で楽しめるのはアジア作品にいくらでもありますから、そちらでもいいんですが、この豪勢さもたまにはね。
そうそう、あの歌エンディングはまさにサービス満点でよかったなぁ。
ツッコミながら、ニヤニヤしっぱなしでお腹いっぱい。
笑いのステーキに、パンはお替り自由な一本。
おいら的な邦題案は、『恋に落ちないで』『フォール・イン・シー』『恋するふりする恋人たち』『恋に落とすメソッド』『愛の着水』。
ネタバレ。
グレン・パウエルの笑顔で口がの字になるのが漫画のゆるキャラ顔っぽい。
舞台のようでもあるが、層で状況を見せるのが、なかなか技あり。
崖の上でのコアラに感激してるのと蜘蛛に慌てている様とか。