菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

不正の正し方。 『守護教師』

2019年08月18日 00時00分45秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1564回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『守護教師』

 

 

 

失踪した親友の行方を捜す女子高生を女子高の新任体育教師がその剛腕で手助けするアクション・サスペンス。

 

主演は、『新感染 ファイナル・エクスプレス』、『犯罪都市』のマ・ドンソクと『冬の小鳥』、『アジョシ』のキム・セロン。

 

監督は、長編2作目のイム・ジンスン。

 

 

 

 

物語。

元東洋チャンピオンで現在はアマチュアボクシングのコーチをしているギチョルは、ある事情からアマチュアボクシング協会で暴力をふるってしまう。
職を追われてしまったが、妹のコネでどうにか田舎町の女子高の体育教師に就いたものの男ばかりの環境から、女の子ばかりの職場で、その巨体を持て余す日々。
ある日、家出をしたと思われている女生徒の捜索のチラシに目が止まる。彼女の親友で、そのチラシをつくり、捜しているユジンと街で出会う。
ギチョルが手伝おうとすると、周りの大人たちはなぜか捜索に消極的で、不審に思う。

 

 

 

出演。

マ・ドンソクが、元ボクサーのヨク・ギチョル。

キム・セロンが、カン・ユジン。
シン・セフィが、ハン・スヨン。

チャンユが、教頭。
チャン・グァンが、キム・ギテ理事長。
イ・サンヨプが、キム・ジソン。
ソン・ヨンスンが、スヨンの祖母。

チン・ソンギュが、カク・ ビョンドゥ。
オ・ヒジュンが、キム・ドンス。
ユン・ピョンヒが、チルソン。
ペ・ジナが、ホステスのイスル。

ユ・ハボクが、チェ署長。
ヨ・ムヨンが、委員長。
ソン・ウンソが、スジン。
キム・ミンチェが、ユジンの母(声)。
イ・ドンヨンが、コ先生。
ソ・ジョンヨンが、担任先生。
チョン・ビョンドクが、先輩審判。

 

 

 

 

スタッフ。

PDは、ソ・ジョンへ。

撮影は、ハ・ギョンホ。
照明は、シン・テソプ。

美術は、キム・ヒョンスン。

助監督は、イ・ウンジョン。

武術は、チョン・ジェヒョン。

音楽は、モク・ヨンジン。

 

 

 

 


現代韓国、女子高に赴任した強面教師が失踪した親友を捜す女子高生を剛腕で手助けするアクション・サスペンス。
もはや自身がジャンルのマ・ドンソクもの。90年代ビッグ・アクションスター映画のような楽しみ。その中途半端さもよく似ている。彼はいままではギャグにしかならなかったそのギャップシーンが味になるのが強み。
雑なシナリオは謎も適当だが、雰囲気は悪くない。アクションは少なめだが、重みがあってよい。
穴をキム・セロンが何とか埋める。シン・セフィも手を添える。脇もいい顔を揃えているだけに惜しい。
どこかで見たような設定祭りだが、もっと丁寧に描いていれば、見え方は違ったのではないか。
骨はあるのに、ぜい肉で見えなくなってしまった蝶作。
  

 

 

 

 

おまけ。

原題は、『동네사람들』。
『近隣の住人』。 

英語題は『ORDINARY PEOPLE』、『THE VILLAGERS』。
『普通の人々』、『その村人』。

 

 



上映時間は、100分。
製作国は、韓国。
映倫は、G。

 

 

キャッチコピーは、「放課後に少女が消える。容疑者は、この町に住む全員――。」。
なんだか、微妙な言い回しで、間違いとネタバレで妙な惹きつけは不満をもたらしますよ。

 

 

 

 

 

ややネタバレ。 

ほぼ『私の少女』の男性版ともいえる。
だから、実はマ・ドンソクものとキム・セロンものの融合なので、センスはいいのにその量をさばけなかったのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

ユジンの母が出てこないことが彼女の孤独を表しているんだろうけど、さすがに病院や警察に絡んだら出てこないと。周りがそこを言い出さないのも変。
どうやら、キャスト表を見ると、母役はいるので、撮ったけどカットされたのではないかしら。

友人を捜している少女の名前がユジンなのが、最初ちらっとひっかかった。これはおいらの悪い癖。

 

重要なところで説明台詞でまるごとやったり、シナリオが日本のダメなドラマのようだった。
妹も賄賂を払っていた話とかね。しかも、なぜ、あの関係がなさそうなあの田舎町なのか?
スヨンとジソン絡みは回想があるから、ギチョルにも入れてあげてよ。

 

最初のシーンがスヨンなのは惹きだからいい。
だが、ギチョルの最初のシーンの情報コントロールの下手くそさが気になる。
コーチが自分が教えているボクサーがどうやら勝っていたのに2位になったことで防いだと、アマチュアボクシング協会の打ち上げに行き、副会長を殴ってしまったということなのだろう。
字幕のせいなのか?

このことでギチョルがコーチで、ボクシング協会に不正があること、強いこと、なにより不正を許せない男だと言うのが示される。
いいコーチであることは、後輩警官がコーチと呼ぶことで分からなくもない。
だが、サンドバッグを一回殴って落とすだけで、彼のキャラクターとして受け止めるのは無理がある。
せめて、少し時間を割いてでも、ジムで教え子が落ち込んでいるところでトロフィーを奪って歩き出すくらいでよい。で、そこにギチョルの東洋チャンピオン時代の写真があれば、説明は終わる。
日本でも、リアルに山根会長の奈良判定などあったように、ボクシングのそういった不正は定番ネタ。
このパーティと怒りのギチョルのカットバックはクライマックスの当選の発表と怒りのギチョルとも呼応している。

ギチョルは不正を許せない。教え子のことで職を失っても怒りをぶつける。新しく赴任している町でもその匂いがある。しかも、自分お仕事が未払いの不正を正す仕事。だが、自分がそこに赴任出来た理由が妹による不正ギリギリの行為のおかげだった。社会は不正だらけ、どこに怒りをぶつけていいかわからない。だが、そこで後輩警官が不正を正そうと行動し、勇気づけられる。理事長やその周囲の不正に拳を振るう。この流れがあるのにも、うまく行ってないのよね。

ギチョルのもっと彼の過去にもあったのかもしれない。

そして、理事長の息子ソジンは父にウソ=不正を働く。

妹にも理解されないギチョルは、不正を許さないユジンを同類と共振していく。



 

 

最後の怒りのギチョルは、刺された腹も気にしようよ。
たとえば、あの攻撃を手で受け止めて、手がダメージを食らうというピンチを作り、その血まみれの手でパンチ倒す。
病院で治療して、包帯を巻かれる。それはまるでグローブのように見える。

 

女子高でのマ・ドンソクの キャラをもっと見せてもよかったかもね。体育教師でもあったわけだから。
マブリーとも言われる彼のキャラを使いこなしきれてないのよね。UFOキャチャーのギャップ程度なのよね。
たとえば、美術教師ソジンの机の上にぬいぐるみが置いてあったらどうか。女子高生からのプレゼント(あのドリンクと手紙)があるのだから、伏線になっただろう。



 

 

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