菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

火を見て、炎に水。 『オンリー・ザ・ブレイブ』

2018年07月09日 00時00分35秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1334回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

オンリー・ザ・ブレイブ』

 

 

 

 

2013年にアリゾナ州で発生した大規模森林火災に立ち向かう森林消防の精鋭部隊“ホットショット”の男たち20人の絆と運命を描く実録スペクタクル・ドラマ。

 

 

監督は、『トロン:レガシー』、『オブリビオン』のジョセフ・コシンスキー。

 

 

 

 

物語。

2010年代、アメリカ。
アリゾナ州プレスコット市の"タイプ2"森林消防隊員を率いるマーシュは、過酷な任務に耐えられるよう、日々隊員たちを厳しく鍛え上げていた。
だが、結局、二級である彼らは、州の精鋭部隊"ホットショット"の指示を受けて動くしかない。
そこで、マーシュは、市立の消防隊としては前例のない“ホットショット”の認定を受けようと市の防災長デュエインと組んで、市長を口説き、市のバックアップを取り付けようとする。
そんな折、森林消防隊に、薬物中毒の過去があり、おまけに窃盗罪で保護観察中の若者マクドナウが入隊を希望してくる。
審査にも不利ではという周囲。
“娘が生まれたのを機に心を入れ替えたい”という彼を、マーシュは採用する。

 

原作は、ショーン・フリン。
脚本は、ケン・ノーラン、エリック・ウォーレン・シンガー。

 

 

 

 

出演。
ジョシュ・ブローリンが、エリック・マーシュ。
ジェニファー・コネリーが、アマンダ・マーシュ。

 

マイルズ・テラーが、ブレンダン・マクドナウ。

 

ジェームズ・バッジ・デールが、副隊長のジェシー・スティード。
テイラー・キッチュが、クリストファー・マッケンジー。

 

ジェフ・ブリッジスが、防災長のデュエイン・スタインブリンク。
アンディ・マクドウェルが、メイベル・スタインブリンク。 

 

 

 

 

スタッフ。 

製作は、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、マイケル・メンシェル、エリク・ハウサム、モリー・スミス、サッド・ラッキンビル、トレント・ラッキンビル、ドーン・オストロフ、ジェレミー・ステックラー。
製作総指揮は、エレン・H・シュワルツ。


撮影は、クラウディオ・ミランダ。

プロダクションデザインは、ケヴィン・カヴァナー。
衣装デザインは、ルイーズ・ミンゲンバック・

編集は、ビリー・フォックス。

音楽は、ジョセフ・トラパニーズ。 
音楽監修は、ジョナサン・ワトキンス。

 

 

 

 

 

 

2013年の大規模森林火災に挑んだアリゾナ州初の市立森林消防精鋭隊の発足と戦いを描く実録ドラマ。
現代でありながら時代が分からなくなるアリゾナの雰囲気。現代西部劇のよう。失敗からどう立ち直るかを突きつける。
ジョッシュ・ブローリン、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・コネリー、マイルズ・テラー、ジェームズ・バッジ・デールと豪華キャストが目を焦がす。
『オブリビオン』のジョセフ・コシンスキーが湯を沸かす。
怒涛の現実で、火の怖さ、自然の怖ろしさを眼の当たりにさせる。
夫婦のドラマ、友情のドラマが熱い。
答えなくただ刻まれる問いに胸震える熱作。

 

 

 

 

 

 

おまけ。

原題は、『ONLY THE BRAVE』。

『唯一、勇敢な』。

 

タイトルは、ディオニュシオスの『ローマ古代誌』からの引用だそう

"Only the brave enjoy noble and glorious deaths"

「唯一、勇敢なるは、高貴と栄光の死を楽しむこと」。

 

 



上映時間は、134分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、G。

 

 

 

 


キャッチコピーは、「炎は怖くない。恐れるのは、愛する人の涙だけ。」。

ラストを見た後だと重みが変わります。

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

全米中に衝撃と悲しみをもたらした2013年の悲劇の実話を映画化。

 

 

アメリカの暖かい田舎を堪能できます。
  
 
おいらが提唱する【リエナクテッド(再現)映画】の一本でもある。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

不謹慎だが、炎が美しい。そして、恐ろしい。

炎の特殊効果、CGで、いくつか賞にノミネートしてますね。

 

 

 

 
ジョッシュ・ブローリンとジェニファー・コネリーの巧さに舌を巻く。

馬の調教師の妻、傷つき汚れた馬をいたわるように洗っている。

消防士の夫、仕事から帰ってくる。

夫「(馬のこと)ずいぶん汚れてるな(※自分と重ねている)」
妻「(※馬へかけていた愛情を感じさせながら、夫に近づいて)ひどい匂い」
夫「(妻に近づきながら嗅ぎ返して)臭いな」
妻「もう(離れず、相手を受け入れ)」

二人、笑って、嗅ぎ合ったまま抱き合う。

これ、数十秒の1カット。

次のシーンは、朝、裸(男は上半身のみ、女は布団の下なのでどちらも老いた裸はほぼ見せない)でベッドから起きるところ。

でも、これだけで濃密な夜を想像させ、夫婦の関係を見せきる。
ベッド関係のシーンは映画内でこれ一度だけ。(ラブシーンは何度かあるけど)

 

靴下や靴、匂い関係に妙にこだわっていた。 

 

 

あの獣泣きも胸をえぐった。まさに慟哭であり、野生で生きているとああなるのかな。

 

 

 

この悲劇がきっかけで、NASAが防炎素材を開発したとかしないとか。ネットの曖昧情報。

 

 

ちょいシナリオが緩い。

ホットショットとタイプ2の差は曖昧だし、火消しの方法が今ひとつわからないし、湿度などの関係も把握しづらい。 

防炎シートが重要な道具なのに、早くかぶれても役絶たないことしか描かれない。
そこから、物語の意図を読み解くと「信じることは尊いが、物や自然へへの知識を過信するな」となる。大事なことだけど。

マクドナウの前に入った消防士の息子の新人はほぼ描かれない。

ドーナツことブレンダン・マクダナウは、今回のPTSDで苦しんで、あの恋人とも離婚している。(現在は、別の恋人とともに、娘さんを引き取って一緒に暮らしているとのこと)

その後は、同様の苦しみを抱えた隊員や家族、遺族らのサポートをする支援団体を立ち上げ、現在も活動中。その一環で、今回の原作本も書いたようです。 

 

大変だけど、その後の前向きに進んでいく姿まで描くべきだったと思う。あの一文に託さずに。

意図として、20名全部を見せたかったのだろうから、生きている彼らの姿をなるべく映すのが正解だし、生きてる人を見せ過ぎるのも、マクドナウに焦点を当てすぎるのも商売っ気が強くなる気もするけどさ。

そこは、クリント・イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』の最後のようなやり方もあるわけだし。

 

 

ほぼ白人しか出てこないのは、実際に、あの地域は白人に対して数%しか有色人種が住んでいない地域だから。

 

夢だけど、炎のクマはちょっとCGっぽ過ぎて、そこから始まるのは少ししくじっている気もする。ジョセフ・コシンスキーが好きなのかな。『十三人の刺客』(2010)の火牛を思い出したわ。

 

 

 

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