菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

それでも、泳いで漁をする。 『飛べ、ペンギン』

2019年08月19日 00時00分53秒 | 俺は好きなんだよ!

 

【俺は好きなんだよ】第1162回は、『飛べ、ペンギン』(2009)

 

 

原題は、『날아라 펭귄』。
英語題は、『FLY PENGUIN』。
『飛べ、ペンギン』。

ここでの「ペンギン」は韓国で言われるペンギン・パパのこと。家族を留学先に送り、年に二回が雁パパ、頻繁に行くのが鷲パパ、一人寂しく韓国に残って留学先に行けないのがペンギンパパ。つまり飛べないパパのことを指します。

 

 


上映時間: 110分
製作国: 韓国

 

 

スタッフ。

監督: イム・スルレ
製作: ヤン・ドンミョン
脚本: イム・スルレ
撮影: パク・ヨンジュン
音楽: ユン・ミンファ

 

 


出演。

ムン・ソリ  (ソン・ヒジョン)
パク・ウォンサン  (ヒジョンの夫)
ソン・ビョンホ  (クォン)
チェ・ギュファン (ジュフン)
パク・イヌァン
チョン・ヘソン

 

 

物語。

小学2年生のスンユンの夢は消防士。だが、教育ママのヒジョンは医者か弁護士にさせようと奮起していた。家の中でも英語を話そうとする妻に夫はあきれ顔。
ヒジョンが勤める福祉課の新入社員ジュフンはベジタリアンで酒も飲めない。昼は弁当を持参し、先輩から冷ややかに見られるジュフン。
福祉課の課長クォンは一人暮らし。間もなくアメリカ留学している娘と息子が妻と共に帰国する。
クォン課長の両親は2人暮らし。夫は妻をあごで使うような生活をしていた。

 

 

 

教育熱心な母親、海外留学させて寂しい中間管理職の父親、ベジタリアンの新入社員、問題を抱えた老夫婦など、さまざまな人間模様を通し、韓国社会の抱える問題を浮き彫りにし、韓国の女性監督イム・スルレが、市役所に勤める人々とその家族の日常を繊細なタッチで描くリレー群像ドラマ。

 

韓国の人権委員会の出資製作の下、過熱する教育問題や偏見、熟年離婚など韓国社会が抱えるさまざまな問題を描き出す。
低予算のお役所的なビデオ画質の啓発映画なのだが、すこぶるドラマとしての出来がよい。

監督・脚本のイム・スルレは、『私たちの生涯最高の瞬間』、『提報者 ~ES細胞捏造事件~ 』、『リトル・フォレスト 春夏秋冬 (2018)』など、コンスタントに気を吐いている。

 

2010年の【真!韓国映画祭】にて上映された。

 

 

4つのエピソードで、出てきた主人公が次のエピソードで脇に回る形でリレーしていく。

 

男性の出来上がってしまった情けなさを描きつつ、啓発ドラマなので、最後にきちんと成長と変化がある。このドラマとして優等生ぶりを、それぞれのキャラの記号化しない人物造形とキャストの演技で味わいを添えている。

大きなドラマがあるわけではないが、ささやかだからこそ地に足がついている。きっと、どこかで起きている出来事なのだと思わせる。

画質がビデオなので、少し残念ですが、それを上回る語りの力。

特に、2話のベジタリアンの新入社員のしなやかな強さと緩やかないじめをする側の同僚たちのいじましい弱さは周囲の描き方も含めて、秀逸。

 

 

 

 

 

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