菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

ひまわりと書くか、向日葵と書くか、陽回りと書くか。 『よこがお』

2019年08月09日 00時00分47秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1558回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『よこがお』

 

 

 

 

訪問看護師として献身的に働き、真面目に生きてきた善良な女性が、ある事件をきっかけに不条理に人生を奪われ、転落していく非情な運命の行方を描くサスペンス・ドラマ。

 

監督は、深田晃司。

 

 

物語。 

白川市子は、訪問看護師として、仕事ぶりも評判で、周囲の信頼も厚かった。担当の大石家では、高校受験を控える次女のサキに英語を教え、介護福祉士を目指す長女の基子の勉強も見てあげているほど懇意にしていた。市子も二人のことをまるで自分の娘のように思っていた。
一人暮らしの市子は美容院に行き、まるで人が変わったような髪型にし、ある種の妄想にとり憑かれていく。
ある日、サキが帰ってこず、行方不明となる。
この行方不明事件は意外な展開を見せはじめる。
そして、関わるものみな、歪んだ愛憎の駆け引きの渦に巻き込まれていく。

原案は、Kaz。
脚本は、深田晃司。

 

 

 

 

出演。

筒井真理子が、白川市子。
市川実日子が、大石基子。
池松壮亮が、米田和道。

須藤蓮が、鈴木辰男。
小川未祐が、大石サキ。
吹越満が、戸塚健二。
大方斐紗子が、大石塔子。
川隅奈保子が、大石洋子。

 

 

 

 

スタッフ。

製作は、堀内大示、三宅容介。
企画は、Kaz。
エグゼクティブプロデューサーは、井上伸一郎。
プロデューサーは、Kaz、二宮直彦、二木大介、椋樹弘尚、澤田正道。

撮影は、根岸憲一。
照明は、尾下栄治。

美術は、原田恭明。
装飾は、寺尾淳。
衣裳は、馬場恭子。
ヘアメイクは、豊川京子。

助監督は、久保朝洋。

録音は、木原広滋。


編集は、深田晃司。
音楽は、小野川浩幸。

 

 

 

 

現代日本、訪問看護師がある行方不明事件から世の歪みと向き合う羽目になるサスペンス・ドラマ。
深田晃司による関心と無関心のシーソーの歪みに翻弄される人間と社会の闇。
彩度の低い穴を浅く覗く、深く覗く。覗きこんで、どうなるものか。
群盲はイメージを評し、晒し、愛し、憎む。盲人だったなら、まだ間違えていても、そのせいに出来たかもしれない。近視だから遠視だから、矯正の手はあるはずだが、結局、色眼鏡に手を出す。
キュビズムでさえ二次元という歪曲から逃れられないのに、ましてやレンブラントライトしかなくては。
もはやノンリニアな世界で、リニアに縛られて、理と利をごっちゃにして離れられない。
筒井真理子のブラックホール、市川実日子のホワイトホール。吸い込まれる池松壮亮。
神の見える手に触ることも出来ない画面の向こうとこちらの隔たりに立ち尽くすか、走り去れるか。
撮影は空気の層で熱を遮断する。
血に働けば、角が刺さる犀作。
 

 

 

 

 

 

おまけ。

上映時間は、111分。
製作国は、日本。
映倫は、PG12。

 

 

キャッチコピーは、「狂っているのはこの世か、彼女か。」。
この彼女を誰と見るかで意味が変わります。人とは狂ってしまうものなのです。
「それでも・・・」が物語を深くします。

 

 

 

 

 

 

 


ネタバレ。
『よこがお』が犀なら、『愛がなんだ』が象、『新聞記者』が羊に託している。

『よこがお』と『愛がなんだ』は動物園映画。人間も動物だということなのかしらね。

そして、犬が潜んでいる。

群盲、犀を評す、ってとこかしら。

 

 

 

「よこがお」は英語でプロフィール。視点で言うなら、他のことを見ている人を見ている時に見えるのが横顔よね。運転席の人を見ている助手席の視点。それならまだ同じ車に乗っているけど、乗ってないなら、自分を見てくれていないということでもある。

しかも、照明によっては、その光が当たった一部しか見ることが出来ないしね。

 

 

髪型と髪の色で時間軸を分かりやすくするのは、『エターナル・サンシャイン』ですね。
両作には、記憶の自分勝手さ。客観と主観の違いといった部分やセックスや恋人のスワッピングなど近い要素がいくつも入っています。

 

 

深田晃司は、西洋的な技法を取り入れているので、モチーフ話法が今回もあった。
今作では、枠がそれに当たる。
窓、鏡、テレビ、教科書、パズル、インターホン、車、絵と額、横断歩道・・・。
それは、徐々に人々を入れていくもの立体へと姿を変え、ベッド、部屋、テレビの中、刑務所、押し入れの中、車、そして、その中から今度は外で出ようとするが、サイドミラーはそこを出ることを選ばなかった彼女の顔を映すのだ。

 

 

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