菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

誰かがいなかった不幸を止めろ。 『トランス・ワールド』

2020年06月08日 00時00分39秒 | 俺は好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第1279回は、『トランス・ワールド』(2011)

 

 

原題は、『ENTER NOWHERE』。
『どこでもない入口』。

『トランス・ワールド』はたぶん『越境世界』のような意味。

 

 


製作国:アメリカ
上映時間:90分

 

 

クレジット。

監督:ジャック・ヘラー
製作:ジャック・ヘラー、ダラス・ソニアー
製作総指揮:ショーン・クリステンセン、ジェイソン・ドラン
脚本:ショーン・クリステンセン、ジェイソン・ドラン
撮影:トーマス・M・ハーティング
音楽:ダーレン・モルゼ

 


出演。

キャサリン・ウォーターストン (サム(サマンサ・イーデン))
スコット・イーストウッド (トム)
サラ・パクストン  (ジョディ)

ショーン・サイポス (ハンス・ノイマン)
クリストファー・デナム (ケヴィン)
ジェス・ペレズ  (店員)

 

 

物語。

真冬の森の奥、ドライブ中にガス欠に陥り、ガソリンを買いに行ったまま戻ってこない夫を探していたサマンサは、奇妙なあばら家にたどり着く。
そこには、同じように車のトラブルに見舞われた、青年トムが4日前からいるという。
さらに、今度はジョディという女がやって来る。ジョディは恋人と強盗をしてきたばかりだが、それを隠して、寒さを避けるため、あばら家で一夜を過ごす。
朝を迎えて、3人は森を出ようと歩き始める。日が落ちかけた時、3人の前に現れたのは、あのあばら家だった。

 

 

 

森の中に迷い込んだ3人の見知らぬ男女を待ち受ける奇妙な運命を描いたサスペンスミステリー。

 

 

なるべく物語の情報を入れずに、見るのが吉。
この内容で、ソリッドシチュエーションスリラーにはせず、SFの佳作に仕上げています。
森にいる3人で、かうぃあと状況と小道具と伏線で、話をきっちり丁寧かつテンポよく語っていく手堅さと技ありの脚本に唸ります。
なんといっても、キャストがはまっており、安心して楽しめるジャンルものの一本。

 

 

出演は、『インヒアレント・ヴァイス』のキャサリン・ウォーターストーン、『スーサイド・スクワッド』や『フューリー』のスコット・イーストウッド、『シャーク・ナイト』のサラ・パクストン。

 

 

ジャック・ヘラーは、製作者となり、『ゾンビランド:ダブルタップ』やS・クレイグ・ザラー作品の全作をプロデュースしています。

 

 

脚本のショーン・クリステンセン、ジェイソン・ドランのチームによる、『シドニー・ホールの失踪』も凝った構成で、ショーン・クリステンセンが監督を務めていて、SFではなくドラマですが、なかなかの佳作です。

 

 

 

 

 

ネタバレ。

第二次世界大戦、ドイツからの移民、ベトナム戦争、ホワイトトラッシュとアメリカ映画史を渡るような内容になっている。

スコット・イーストウッドが人物設定から考えると少々柔らかいが、女性2人なので、善人に見える安心感をとったのだろう。なんといっても血縁だから。
彼が善人であるように見えることで、サスペンスは減ったが、救われるべき親密さが生まれている。

それは、クリント・イーストウッドの息子という点も寄与しているが、クリント・イーストウッドも若い頃には、『白い肌の異常な夜』でいるだけでサスペンスを起こす野卑溢れる役柄や危険な人物を演じていたいので、血縁として悪役に見えないという特徴をスコットは生まれ持ってしまっているともいえる。
より甘いマスクの加わって。

ただ、それが小品として、安心感をもたらしてもいる。斧が怖くないし、実際、武器にも使わないし。

ちょっとジュディの相手に、クリント・イーストウッドを想像してしまったり。

女優2人が上手い分、もっと強めのキャラでもよかった気はするのよね。司祭を殺して、自殺する男だしね。

 

トムがギターかハーミニカでももっていたら、違う味わいも出たかも。

 

 

 

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