で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1565回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ピータールー/マンチェスターの悲劇』
200年前、英国マンチェスターで、民主主義を求める平和的なデモに武装した政府軍が突入し、多数の死傷者が発生した “ピータールー事件” として知られる、英国史上のターニングポイントといわれる悲劇を描く歴史ドラマ。
自身もマンチェスター出身の名匠マイク・リー監督(脚本も)が映画化。
物語。
1819年、イングランドの北西部マンチェスター。
フランスとの百年戦争がついに終わりを迎え、人々が故郷に戻ってきた。
それから、4年になろうというのに、経済に改善の兆しは見られず、庶民の生活は悪化の一途を辿っていた。
それは、政府は地主たちに委員理で、政治は庶民を顧みることはなく、マンチェスターではほとんどの者に参政権もなく、民衆の不満は溜まる一方だった。
そんな中、地元の多くの演説家が競って、政府への抗議と行動を、と民衆を煽って、政府と戦おうとしていた。
そんな時、著名な活動家ヘンリー・ハントの噂が届く。
出演。
ロリー・キニアが、ヘンリー・ハント。
デヴィッド・ムーアストが、ジョセフ。
マキシン・ピークが、ネリー。
ピアース・クイグリーが、ジョシュア。
ティム・マッキナリーが、摂政王太子(後のジョージ4世)。
ニール・ベルが、サミュエル・バムフォード。
フィリップ・ジャクソンが、ジョン・ナイト、
ヴィンセント・フランクリンが、マジストレイト・レフ・エセルストン。
レオ・ビルが、ジョン・ティアス。
スタッフ。
製作は、ジョージナ・ロウ。
製作総指揮は、ゲイル・イーガン、ベン・ロバーツ、リジー・フランク、ダニエル・バトセク、スー・ブルース=スミス、ピーター・ハンプデン、ノーマン・メリー。
撮影は、ディック・ポープ。
プロダクションデザインは、スージー・デイヴィーズ。
衣装デザインは、ジャクリーン・デュラン。
編集は、ジョン・グレゴリー。
音楽は、ゲイリー・ヤーション。
19世紀英国、参政権を求める最大級のデモを行おうとする民衆の戦いを描く歴史ドラマ。
英国史上でも最悪の悲劇“ピータールー事件”をマイク・リーの手腕で、ルポのように眼前に表出させる。
これは、今も、香港で、世界中で起きている出来事。
当時にカメラを持ち込んだかのようなドキュメンタリーのような語り口でその時、生きていた人々が蘇る。笑い泣き、パンを分け合うその姿に暮しを見る。
ディック・ポープの撮影は筆のように全カットに絵画を行き渡らせる。
主要人物はシーンごとに入れ替わり、時代と事件の周囲を見渡らせる。全キャスト、端を埋める方々にも敬意を抱かざるを得ない。
民衆に意思を伝える演説家の競い合いが楽しい。ミュージシャンの演奏を見るかのように、老若男女が謳い上げる。最大のスター、ヘンリー・ハントは10万人の前に立つ。彼らの言葉を聞き、人々が動いていく。言葉の力。それを蹂躙する武力と差別意識。
事件の始まり後半45分はただただ息をのむ。わかっていて見てさえ目を離すことが出来ない。
劇場では、クライマックスは思わず出た声がそこかしこで漏れていた。
あのシークエンスで、映画史上でもマイク・リーが頂を築いたといえる。
今へと続く二つの道を見出す権作。
おまけ。
原題は、『PETERLOO』。
『ピータールー』。
wikiによると。
ピータールーの虐殺(英: The Peterloo Massacre)は1819年8月16日にイングランド・マンチェスターのセント・ピーターズ・フィールド(St. Peter's Field)で発生した民衆弾圧事件。広場で選挙法改正を求めて集会を開いていた群衆に騎兵隊が突入して鎮圧を図り、多数の死傷者が出る惨事となった。この「虐殺」は4年前に起きたワーテルローの戦い(ウォータールーの戦い)と皮肉な対比を成すものとして広場の名前から「ピータールー」と名付けられることになる。ピータールー虐殺事件、マンチェスター虐殺事件とも呼ばれる。
この事件は、ガーディアン紙の起源であるマンチェスター・ガーディアンが創刊されるきっかけともなった。
2006年にガーディアンによって行われた調査では、ピータールーの虐殺はイングランド内戦中のパトニー討論に次いで記憶に値する英国史上の重要な出来事とみなされた。現在、事件は現場近くの銘板によって記念されている。
ちなみに、パトニー討論(英:Putney Debates)とは、清教徒革命(イングランド内戦)の時期である1647年10月28日から行われた、イングランドの政治をどうすべきかを話し合った会議のこと。会場になったロンドン南西郊外パトニー教会(聖メアリー教会(英語版))から名付けられ、英国内における選挙制度や庶民視点の政治の分岐点となった。
上映時間は、155分。
製作国は、イギリス。
受賞歴。
2018年の第75回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門にて、ヒューマン・ライツ・フィルム・ネットワークを、受賞。
2018年のCamerimageにて、FIPRESCI Prizeを、ディック・ポープが、受賞。
キャッチコピーは、「イギリスの名匠マイク・リーが挑む、英国史上、最も残忍かつ悪名高い事件 200年を経て、その全貌が明かされるーー!」、「1819年、イギリス。改革を求める民衆デモに武装した政府軍が突入した――。英国史の暗部を描き、民主主義の原点を問う一大歴史スペクタクル!」。
これは、今も世界中で起きていること。ちょうど、香港で起こっていること。今、これが数年かけてつくられることの意味が重要だ。
ネタバレ。
現在では、多くの影響を与えているが、この事件直後の議会改革の進展にはほとんど影響を与えなかった。