菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

信拓(nobutaku)&帰蝶(kicho)。 『レジェンド&バタフライ』

2023年02月07日 00時01分55秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2184回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 


『レジェンド&バタフライ』

    『THE LEGEND & BUTTERFLY』

 

 


戦国時代の魔王と称された織田信長とその正妻の濃姫の30年を描く時代劇ラブドラマ。

 

主演は、木村拓哉と綾瀬はるか。
共演は、中谷美紀、伊藤英明、宮沢氷魚、音尾琢真、斎藤工、市川染五郎、北大路欣也ほか。

監督は、『るろうに剣心』シリーズの大友啓史。

脚本は、『どうする家康』、『コンフィデンスマンJP』の古沢良太。

 

 

 

物語。

16世紀前半、いわゆる戦国時代、結婚は武将同士にとって政治の道具だった。
尾張を治める織田家の嫡男の信長は、うつけ者と言われ、仲間とつるむ見た目ばかり気にするカッコばっか男。
隣の美濃の斎藤道三は天下を狙うために政略結婚により信長の正室として娘の濃姫を嫁がせる。
二人の結婚式が終わり、反りも合わねば、愛も無い二人の初めての夜が始まる。
気の強い濃姫は、あわよくば、織田家の転覆を謀る気概でいた。

 

 

 

出演。

木村拓哉 (織田信長)
綾瀬はるか (濃姫(帰蝶))

伊藤英明 (福富平太郎貞家)
中谷美紀 (各務野)
北大路欣也 (斎藤道三)

音尾琢真 (木下藤吉郎(羽柴秀吉))
宮沢氷魚 (明智光秀)
斎藤工 (徳川家康)

和田正人 (前田犬千代(前田利家))
高橋努 (池田勝三郎(池田恒興))
浜田学 (佐久間信盛)
本田大輔 (林秀貞)
増田修一朗 (滝川一益)
レイニ (長谷川橋介)
野中隆光 (蜂屋頼隆)
武田幸三 (森可成)
市川染五郎 (森蘭丸)
尾美としのり (平手政秀)
池内万作  (柴田勝家)
橋本じゅん (丹羽長秀)

本田博太郎 (織田信秀)
森田想 (すみ)
見上愛 (生駒吉乃)

 

 

スタッフ。

製作:手塚治、藤島ジュリーK.、早河洋、高木勝裕、金岡紀明、與田尚志、村松秀信、相原晃、中山正久
企画プロデュース:須藤泰司
プロデューサー:井元隆佑、福島聡司、森田大児
アソシエイトプロデューサー:山本吉應
ラインプロデューサー:森洋亮、中森幸介
Co.プロデューサー:木村光仁
キャスティングプロデューサー:福岡康裕
プロダクション統括:妹尾啓太

助監督:柏木宏紀
監督補:佐野隆英
スクリプター:佐山優佳

撮影:芦澤明子
照明:永田英則

美術:橋本創
キャラクターデザイン:前田勇弥
装飾:極並浩史
衣裳:大塚満
メイク:酒井啓介
床山:大村弘二

VFXスーパーバイザー:小坂一順
スタントコーディネーター:吉田浩之

録音:湯脇房雄

編集:今井剛
音楽:佐藤直紀
音楽プロデューサー:津島玄一
スーパーバイジングサウンドエディター:勝俣まさとし
ミュージックエディター:石井和之

 

 

『レジェンド&バタフライ』(『THE LEGEND & BUTTERFLY』)を鑑賞。
戦国時代、魔王と称された織田信長と正室の濃姫の30年描く時代劇ラブドラマ。
信長こと魔王(レジェンド)に木村拓哉、濃姫こと帰蝶(バタフライ)に綾瀬はるか。超豪華キャストも売りで、共演は、中谷美紀、伊藤英明、宮沢氷魚、音尾琢真、斎藤工、市川染五郎、北大路欣也ほか、となっている。
東映70周年記念作品ゆえ、日本映画にしては10年に一度くらいの大予算20億円程度かかっている。(ただし、今の韓国映画の大作の予算は約20億円となっており、この規模の作品が年に3本程度つくられているし、通常作品の予算がすでに7億円くらいで数十本つくられている。『パラサイト 半地下の家族』が約14億円)
今作は、お金をどこにかけたかというと美術。
監督は、『るろうに剣心』シリーズの大友啓史。(『るろうに剣心』が約10億円)
脚本は、『コンフィデンスマンJP』の古沢良太。
映画の冒頭は、カマキリとバッタ。これが二人の関係を表している。信長がバッタ。でも、バッタは弱いように見えて、飛蝗になるので、実はかなり強い。『ジュラシックワールド3』でも敵として出てきてましたね。で、タイトルにもある通り、蝶も出てきます。で、蝶って、物語の記号的な意味がいくつかあるのよね。代表的な3つを。春や平和の訪れ。死者の魂または迎え。そして、もう一つが夢、憧れの方じゃなくて、現実と違う虚構の象徴。これを覚えておくとタイトルの意味が膨らみます。
補足すると、魔王のような伝説級の怪物のことをレジェンドという言い方がファンタジーでは普通にあります。
英語タイトルの時代劇ですよ、チャレンジングな内容だと堂々と示している。
時代劇では野心的な合戦シーンや殺陣シーン少なめ、とはいえ、数度がっつりありますが。約3時間なので、40分に一回くらい。でも、大ヒット時代劇の『たそがれ清兵衛』、『武士の一分』、『清須会議』は殺陣シーンはちょっとしかないし、最近は流行りの経済時代劇ではおまけでちょっとあるくらいなので、こっちも主流だったりする。大作で信長だからかね。そうは言われなかったろうにね。でも、珍しく僧兵戦があるんだけど、ここに信長いないのよね。
アジアでは、宮中ものが当たっている(『大奥』も同時期にNHKでやっている)ので、その方向を目指したか。
戦うシーンを直接見せないようにして、ラブストーリーを盛り上げたかったのかね。
いわば、少女漫画時代劇、トレンディドラマ系時代劇というところだが、歌舞伎っぽいとも言える。二人の重要なところだけを繋いで語るコンセプトダイジェスト版ですね。
かわりの見所は、衣裳と風景と建築物と美男美女キャスト。この部分だけで日本だとお金使い切っちゃうのね。この方向性は往年の大映っぽい。(けど、貧しい村のところはいつもの東映系セットで虚構感)
濃姫は記録がほとんどないので、好きに書ける人物ではあるので、信長まわりでは新解釈をいろいろやっていて、面白い。でも、これに不満を持つ人が多いのは、日本は結局定番好きなのかもと思わされる。これまで色々見てきたんだから、定番じゃない方がチャンレジングで面白いと思っちゃう身としては。
ただ、人物の思考の方向が一部を除いて現代人なのが、ちょっぴりおいらの好みではない。時代ものにすることで現代を撃ったりとかコメディなら全然いいんだけど。言葉遣いはそこそこしっかり時代感を出していたのにね。
撮影も腰が据わっていて、狭さと広さを兼ね備えていて、二つの世界をつなげているのだけど、照明はテレビっぽい方向性で明るめ。この灯りに対してのあの衣裳という趣を感じられなかったのが少し残念。
でも、この長さで退屈するとこがそこまでないので、気楽に見られる、おせちな感じのお正月大作。
まろやかな狂をデジタルに楽しむ長作。

 

 

 

 

おまけ。

英語題は、『THE LEGEND & BUTTERFLY』。
『伝説と蝶』。

 

蝶は、濃姫が帰蝶(または歸蝶)と言われていたことからでしょうね。
そもそも濃姫も美濃の姫の略で、「濃」が実際の名前ではないと考えられている。(信長の正室については正確な名前が見つかっていないそう)
実は、帰蝶は聞き違いからとも言われている。その聞き違いはネタバレで。

名声が合って稀有な伝説級の怪物などをレジェンドと呼びます。『マジック・ザ・ギャザリング』とかやってると普通に使うので、魔王のことをこの意味でレジェンドと呼んでいるのかと。
『レジェンド&バタフライ』は、『魔王と帰蝶(もう一つの方か)』の意味でよいかと。
『魔王と蝶』でもよかった気はします。こっちの方が韻も踏んでるし。
え、ラブストーリーっぽくないからダメですか。『レジェバタ』とか略された方が、『ロンバケ』とか『ラブジェネ』っぽい感じで、往年のファンにもイメージしやすいですか。

英語にして、今までの時代劇じゃないよ、ってタイトルでも示していても、戦国の時代劇、信長ものとして物足りないって言い出すのが日本の客ってものですものね。

 

尾張の話だから、『レジェンド&エビフライ』でもよかったのかもしれぬ。

 

2023年の作品。

 

製作国:日本
上映時間:168分
映倫:PG12

 

配給:東映  

 

 

 

TVドラマだが、木村拓哉が主演で信長を演じたものがあり、その時の濃姫役は中谷美紀。
綾瀬はるかは、2005年にも『戦国自衛隊1549』でも濃姫を演じている。あと、『本能寺ホテル』でも信長とラブドラマを演じている。

 

レジェンド&バタフライ|東映[映画]

レジェンド&バタフライ|東映[映画]

 

レジェンド&バタフライ - 109シネマズ | 109CINEMAS

 

ABOUT THE MOVIE|映画『レジェンド&バタフライ』公式サイト|大ヒット上映中

 

木村拓哉『レジェンド&バタフライ』9名のキャラポス一挙公開!(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース

 

 

ネタバレ。

濃姫は、記録が少なく、謎多き人物。
『信長公記』には、平手政秀の働きで政略結婚が成立して、美濃の道三の娘が尾張の戦国大名・織田信秀の嫡男(信長)に嫁いだと書かれているが、その名前は書かれておらず、濃姫という名前も登場しない。

広く知られた『絵本太閤記』や『武将感状記』で、濃姫(のひめ)として登場していることから、この名が有名になったが、これは濃州つまり美濃国の高貴な女、美濃からきた姫、美濃姫を省略して濃姫と呼んだ、と考えられている。 鷺山殿と呼ばれていたとする説が有力。生年
帰蝶と呼ばれていたこととされること、今作のタイトルはつけられているのだろうか。
三本足の蛙の香炉は実際に信長が所持したものが残っている。
帰蝶は胡蝶の誤読説もある。胡蝶は蝶(ちょう)の異称。
「胡蝶の夢」という言葉がある。
これは《荘子が夢の中で胡蝶になり、自分が胡蝶か、胡蝶が自分か区別がつかなくなったという「荘子」斉物論の故事に基づく》自分と物との区別のつかない物我一体の境地、または現実と夢とが区別できないことのたとえで、これを基下創作物が数多くある。(ラストの異国渡りの夢は、まさにここからだろう)
能にも胡蝶の舞など長を元にしたものがある。(『敦盛』を踊る流れはここからか)

だから、タイトルは『魔王と胡蝶』。こっちの方が語呂もいいとは思うけど。

 

織田信長は1534年生まれで1582年没の享年48才。

明智光秀は、生誕年が不明。1568年には連歌会で認められていて、評価もされている。その当時30代中後半から40代くらいだとすると本能寺の変では40代後半~60代と思われており、本能寺の変の頃は50代後半で信長の10才ほど年上というのが定説)。

 

新解釈の一部は、キャラポスターのキャッチコピーにすでに入れている。
明智の「惚れたのは、魔王の狂気」とか。

 

英語タイトルにした拒否は語られても、それ動いた人の言葉は聞こえてこない。
こうなったら、もう、『レジェンド&バタフライ ザ・ラブストーリー』(『THE LEGEND & BUTTERFLY THE LOVE STORY』)くらいやらないといかんのかね。
『Kill Bill Vol.2 - ザ・ラブ・ストーリー』のように。
そういや、近いことを『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で、やってたじゃんね。

考察の楽しみは定着しつつあるけど、作者の意図を受け取るのはすたれつつあるのかね。
物語や芸能が政治を語るのを嫌う国だしなぁ。
河原者だという意識。
こういうところに差別意識は繋がっていて、どぶ板の下で流れ続ける。

 

 

 

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