行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

命拾い

2014-07-10 12:03:18 | 健康・病気
 まったく冗談ではない。心臓の周りの血管の一本が殆ど詰まっていると言われて、二泊三日の検査入院。前にも冠動脈に細い所があると言われてその血管を広げる治療をしている。その血管状態は良く、今度は別の血管だ。治療できるかどうかの検査のためで、多分今度は前のような治療はできないだろう、と言われていた。
 主治医は代わったばかり。私とは初対面。
 「治療できなければどうなりますか?」
 「細い血管だからどうしようもない。医学の限界です。手術はできません。薬をつかって様子をみる以外にないですが、薬では治りません」
 「詰まったらどうなりますか?」
 「当然その先の心臓組織は壊死します。その時点で突然死の可能性があります」
 そう言われて入院。昨日無事退院。結局細くなってる血管はあるが、まだ充分血流はあるし、以前の検査の時の映像と比べても進行もしていない。とりあえず治療の必要はない、ということで決着。
 お世話にはなっているし、悪い病院でもないので、名前は出さないが、このところ4年程通っている病院。今回で死ぬかもしれないと言われたのは二度目だった。
 一度目は去年。不整脈が止まらない。この不整脈で死ぬ人はいないと言われていたが、だんだんひどくなるので止めてもらおうと夜救急外来へ行った。主治医ではない医者が出て来て治療してくれた。若い、多分研修医。看護師と相談しながら手当してくれる。
 ― 東京の休日と夜間の救急外来へは死ぬつもりで行け、研修医とアルバイトしかいないから
 という話を以前に聞いた事があるが、その研修医の様だ。
 彼が私の心電図のモニターを見ながら、一瞬怪訝な表情をした。モニターを指さして看護師になにやら話しかける。
 「これ、やばいよね」
 看護師は私の方に視線を飛ばしながら黙って頷く。
 冗談だろと思いながら訊ねた。
 「なんか、良くないんですか」
 「ええ、今までとは違う波形が出てます」
 彼にいわせると、心電図の異常が今までとは違う心臓の場所から出ている不整脈をあらわしていると言う。
 私がそれまでにインターネットで調べたおぼろげな知識だと、その場所からの不整脈が出ると突然死することが多いと書かれてあったような気がしておそるおそる訊ねた。
 「それって、いつ死んでもおかしくないって奴ですかね?」
 当然否定的な答えを期待して訊ねている。そうです、などという答えを想定していない。
 ところが彼の答はちがった。見事に私の期待を裏切って
 「そうですね」
 そんなのありかー、と思ったが、聞いてしまった物はどうしようもない。そのままCCU(心臓病専用の集中治療室)に入院。
 息子(息子に車を運転させて病院に来ていた)を呼んで遺言を託そうとしたら、こいつがまた見つからない。親が救急治療室に入っている間位外で待っていればいいものを、携帯が使えないといって、待合室を抜け出して駐車場の車の中にいたようだ。
 さがしてもらった息子に遺言を伝え、点滴以外に治療もないので、とりあえず治まった不整脈がいつまた出て来て、今度は死ぬかもしれない、という不安の中で一夜を明かした。
 朝一番。主治医が来てくれた。
 「大変でしたねえ、昨夜は。でももう大丈夫でしょ。脈も平常だし」
 「大丈夫って、なんか致命的な不整脈出てるって昨日のドクターが言ってましたが」
 「ああ、あれは何というか、間違いです。心電図っていうのは微妙な所もあって、見間違えもあるんです。確認しましたが、以前の波形と変わりません。たちの悪い不整脈はありませんよ」
 いい加減にしろよなあまったく。



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