三寒四温と言ったか、時々寒い日を挟んで少しずつ暖かくなる。 などと長閑なことを思っていると、日本年金機構のとんでもない不祥事が公になった。なんと年金の記録を訂正しながら、ミスで10億円の未払いがあったことが分かり、しかもそれはサンプル調査で判明した分なので、まだ増えそうだという。 平成19年に「消えた年金」問題が表面化して、大騒ぎになって、いまだにその訂正処理に追われているわけだが、最近はやっと問題解決の山は越えたと言われていた。それがこの体たらく。今までの努力が水の泡とは言わないまでも、総務省に第三者委員会を作って、多額の予算を使ってやってきた努力に水をさす行為だ。 いわゆる平成19年の「消えた年金」問題の時、「消えた年金」があるという事実は、組織内でずっと以前から指摘されていたということが一時話題になった。そして歴代の旧社会保険庁幹部は見て見ぬふりをしてきたのだと。いくら末端の職員が、これは変だという事実を発見して上申しても上司は取り上げないで揉みつぶす。少なくとも自分がその部署の管理職の地位に居る間はなにもなかった事にしたいという心理だろう。そうやって維持していた組織だった。ここに無理があった。どこかで、いつか、その無理がはじければ大問題となる。それが平成19年だったのだろう。 今度の「訂正ミス」問題もおなじだ。年金記録を訂正するにあたってミスがあるということを昨年1月に指摘した職員がいたという。彼は何人かの上司にこのことを伝えたが、全て握りつぶされたようだ。そこで11月になって、総務省年金業務監視委員会に告発して今年になって表面化した。 つまり組織の名前は変わってもその隠蔽体質は変わってなかったわけだ。 こういうことがあると、信用されなくなる。年金事務所や年金相談センターの窓口に座る職員は毎日お客さん(被保険者)の対応をしている。年金機構が信用されなくて、一番迷惑をこうむるのはこの職員だ。丁寧に対応しても、お客さんは最初から信用していない。職員を疑ってかかる。これはやり辛い。客から直接文句を言われるのもこの職員だ。 もっとも、今この窓口の職員、年金機構の正職員が座っているとは限らない。非常勤や社会保険労務士のアルバイトも多い。まあ、正職員が座って居たとしても、この人たちに文句を言っても仕方ない。年金機構の末端組織の人たちが悪いわけではない。この人たちが法律やその運用を決定しているわけではないのだから。この人たちに文句を言うのは止めよう。
じゃあ、誰が悪いのか?組織が悪い。その組織の管理と運営を司る奴の責任だろう。責任は責任者が取る。この当たり前のことができるようになれは、少なくとも隠蔽体質だけは無くなると思うのだが。
私は元来、便秘には縁がなかった。ところが二年ほど前、心臓を悪くして、薬を常用するようになって、急にお通じが悪くなった。尤も、医者はそんな副作用は聞いたことがないということだったが。
とにかくひどかった。二日に一回位お通じはあるのだから便秘症の人にとってみれば、そんなの便秘ではないと言われそうだが、お通じはあっても少ししか出ない。しかも非常に硬い。山羊の糞のような物しか出ない。痔も悪くなった。辛かった。
女房がずっと便秘で苦しんでいた。彼女は二、三日に一回どころが、一週間くらい出ないのも珍しくないと言っていた。一週間出なければ薬を飲むようにしていた。
ただ、なるべく薬には頼りたくないと言って普段から便秘解消のためにいろいろなことをやっていた。あまり効果はなかったようだが、体操、繊維質のもの中心の食事、毎朝ヨーグルトなど。
駄目もとで、私も真似てみた。体操と食事は以前から気をつけている。だからヨーグルトを食べることにした。いろいろなメーカーのものを食べたが、女房と同じで効果は無かった。駄目か?と思っているときテレビで女優が「朝すっきり」と言って微笑むヨーグルトのCMを見た。駄目もとで試してみた。何種類かあったが、イチジクの入ったやつを食った。なぜかというと、イチジクが好きなのと、イチジクに便秘解消効果があると以前聞いたことがあったからだ。
毎朝一個食べて、3日目。午前11時ごろ。出た。しかも本当にすっきり。すんなりと。体重が軽くなったと思ったくらい。それ以来殆ど毎日、午前中にすっきりでる。
ただ、どういう訳か時々イチジクの入ったやつだけ品切れになる。 品切れだと仕方ないので、他のものを買うのだが、すると一週間くらいで少し調子が悪くなる。どうやら私にはイチジク以外は効果が薄いようだ。
ちなみに、他のメーカーのものは私には効全く果がなかった。でもそれは商品が悪いのではなく、人によるらしい。メーカーや、商品ごとに含まれる菌の種類が違う。自分に相性のいい菌だとお通じが良くなるということだ。TVで医者が言っていた。
早寝早起きの癖をつけて、なるべく22時から3時までは眠っていようとしている。この時間は眠っていれば、成長ホルモンが分泌される時間であり、アンチエイジングに効果ありというのをTVでやっていたからだ。
こういう話というのは、必ずしもあてにならないと思っているが、このところ身体中にガタがきて、病院に行ってもあまり良くならず、あげくは老化も原因であり老化は止められないと医者から言われた。それは医学的に正しいことなのかもしれないが、その言い方が気に入らなかった。
身体の調子が悪いのはいろいろ原因があるが、その一つに動脈硬化があって、それが身体じゅうに悪さをしているようだ。放っておくと致命的な病気の原因になるという。そこで、訊いてみた。
「その動脈硬化というのを良くする方法はありませんか?」
すると、医者は馬鹿にしたように鼻先で笑って
「老化だもん!歳をとるのは止められないでしょう。」
医療もサービスだろう。だとすれば、金を貰っている客(患者)にいう物言いではない。しかも年齢は私よりかなり下である。長幼の序というものもあるだろう。頭にきたので、医者にいかないとは言わないが、自分なりにできることはやってみることにした。そこで早寝早起きという訳だ。
最初はなかなか寝られなかったが、絶対に朝5時に起きるという習慣を付けると、22時くらいになると眠くなる。23時まではとても起きて居られない。まあそういったことで一週間。まだ身体に何か効果があるという期間ではないが、寝つきが良くなっただけでも収穫かと思う。
健康診断。胃の検査。久しぶりにバリュウム。今日の検査は辛かった。胃のバリュウム検査は技師によって違うのか、大変な時とそうでもないときがある。今日は時間は短いのに大変だった。何しろ殆ど逆立ちに近い位検査台を回されて、
「危ないですから、両方のバーをしっかり掴んでいて下さいね」
と言われても、幸い私は腕力には自信があるから良いが、これが女性や老人なら無理だろうというくらい逆さまにされた。但し、時間はいつもより少し短かったような気がする。
その後前立腺がんの検査、といっても血液を採るだけ。
こちらの都合もあって二日がかりだが、検査は待ち時間を入れても実質3時間程。これで各種がん検診も入れて健康診断をやってくれる。自己負担金はなし。国民健康保険の健康診断は初めてだったが、政府管掌健康保険の健康診断よりも利用しやすいと思う。
昨日から、街で新しいスーツを着た若い男女を見ることが多くなった。新入社員だ。
会社勤めをしていた頃、4月になると新入社員で電車が混むのに、5月の連休明けくらいからいつもの状態に戻るのが不思議だった。みんな辞めてしまうのかとも思ったがそうでもないだろう。もっとも私の友人の一人は、就職して一週間で毎朝満員電車に乗るのは自分には不可能だ、と言ってサラリーマンを辞めた。
そういえば私は1976年大学卒業だが、私たちが新人類と言われ始めた世代のはしりだと思う。
会社より私生活優先
会社の飲み会は基本的には断る
残業はしない。(サービス残業なんてもってのほか)
社員旅行や社内運動会なんてバカバカしい
というようなことを公然と言い出した世代だ。もっともその後時代はまた少し後戻りして、会社人間が増えていったようにも思う。
ところで、私の息子も今年就職。私が息子に言ったサラリーマンとしての心得。
とりあえず10年は文句を言わないで勤めろ
どんな仕事も10年くらいしないと一人前にはならないし、仕事の面白さもわからない。
その間会社はお前に給料を払う。お前は仕事を教えて貰いながらお金までもらえる。
そう思うと文句はないだろう。
仕事に慣れると不満は必ず出てくる。他の会社の方が働きやすそうだ、給料もよさそうだ、その他。でもそれは隣の芝生は云々というやつだ。他の会社は良く見える。ところが、実際に転職してみたところで中に入って少し慣れるとそれなりに悪いところが目立つ。そして、給料は確実に減ることが多い。だから余程の勝算がなければ会社を辞めるな。我慢して、今いる場所でキャリアを積め。お前が本当に優秀なビジネスマンになったとしたら、転職したいと思わなくても他の会社から声がかかる。
会社の悪口は言うな。言う同僚や先輩が居ても、一緒になって言うな。古い会社なら何十年も勤めている人もいる。会社に誇りを持っている人もいる。そういう人にとっては会社の悪口を言われるのは、自分の人生を否定されるに等しい。
どんな会社にもあてはまる心得だとは思わない。殆ど詐欺のようないわゆるブラック企業もある。そんな所に何年も居たところで身に付くものは少ない。だから、目をつぶって兎に角働けといいうつもりはない。ただ劣悪な労働条件ではなく、社会保険と労働保険に加入していて、仕事の内容が我慢できるものなら(念のために言うと、自分の好きな仕事で生活できる人など殆どいない)、我慢して続ければキャリアが積める仕事なら、我慢して働けということだ。それで生きがいがないというのなら、仕事は生活の手段だと割り切って、生きがいは仕事の外に見つけることだ。今の仕事をまじめにやっていれば、その仕事の外に生きがいを見つけることもそんなに大変ではなくなると思う。
これは今は自営業の私が、長いサラリーマン生活で知人や先輩から学んだ教訓だ。
黙って聞いてはいたが、息子がどう理解したのかは分からない。自分に置き換えてみると、二十歳を過ぎたころの私は一人で大きくなったような顔をして、親の言うことなど聞く耳持たなかった。
まあ、私の言ったことが、息子の心に残ってくれれば良いが、そうでなくても、それはそれでいいような気もする。二十歳を過ぎた人間の生き方の責任を取るのは自分以外にはないのだから。
最後に社会保険労務士として一言。今の世の中、20年から30年前に比べ、労働環境は格段に厳しくなっている。
私が就職した1980年前後、終身雇用が崩れ始めていたとはいえ、出来れば安定した職場でという考え方がなお支配的な時代だった。それでも転職する人は沢山いたが、正社員から別の会社の正社員へ転職するというのは当たり前だった。職場は変えても職種はかえるなとは言われたが、一度会社を辞めたら、もう一度正社員として雇用されるのが大変だということはなかった。
だが、今は学校を卒業して、就職して(就職するのすら大変な時代だが)、黙って勤めていればまだいいが、一回このレールから外れると、戻るのが大変な社会になってしまった。
次の仕事も決まらないで安易に会社を辞めると、もう一度正社員になる道は殆ど閉ざされてしまって、契約社員やフリーターになるしかなくなってしまう。厚生年金には入れず、国民年金や国民健康保険は全額自己負担。それが出来なくて、年金未納や無保険になる人が多い。そうなるとなかなか抜け出せない。だから、今の世の中、正社員として雇用された会社を安易に辞めてはいけない。
こんな労働環境になった理由の一つは、経済社会が、利益を上げるために、なるべく保証をする必要のない使い捨て労働力を求めているからだろう。
会社にとって、社会保険や労働保険の事業主負担は高額になる。できれば払いたくない。また、一度正社員として雇用すると、辞めてもらうのは大変だ。できれば請負、そうでなくても契約社員やフリーターで労働力を確保できることに越したことはない。
息子が中学生の時、授業で職場体験というのがあった。中学生が何人かに分かれて、協力してくれる色々な事業所に仕事を体験しに行く。息子は、二、三日、同級生3人で、ある特定郵便局へ行った。実際に特定郵便局の仕事を体験するわけだ。もっとも邪魔になっただけだとは思うが。
その郵便局の局長が中学生たちに言った言葉。
「いいかい君たち、サラリーマンにとって給料とはなんだと思う?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「我慢代だよ!」