先日泌尿器科の病院に行った時のこと。散々待たされている間、隣に老夫婦が座っていた。亭主の方は杖がなくては歩くのも儘ならない様子、立ったり座ったりも一々女房が手を貸していた。医者に診察室に呼ばれた時も二人で入って行った。もっともどっちが患者なのか、二人ともかは分からない。
暫くして、二人で出て来て、その間に二人隣同士で掛ける席が無くなって、亭主の方は何処か他の所へ座った。気付けば私が席を譲ったのだが、その時は気付かなかった。つまり、その夫人と私が隣同士で座ることになった。
私はうつむいてずっと週刊誌を読んでいた。その私の頭の上から声がした。
「こちらがご主人?」
看護師が夫人に声をかけている。夫人が仕草で否定している様子を視界の隅に感じる。看護師にはそれが分からなかったらしく、かさねて声を掛けた。
「こちらがご主人ね」
今度は断定口調だ。しかもその主人というのは私のことを指しているらしい。別に夫人に文句はない。でもその人はあきらかに後期高齢者のように見える。夫婦にしては年齢的に私とは合わないと思う。私は顔を上げて、何だ俺に言ってるのか、というような怪訝な顔で看護師を見た。看護師は明らかに私を夫人のご主人と誤解していた。
横で夫人が強く首を振って否定して、少し離れた所に座っていた亭主を指さした。
看護師は「もう一度二人で診察室へ来てください」と言って、一人で診察室に消えた。
夫人に文句はない。間違えたのは看護師だ。でも看護師は私に一言もない。間違えたのだから、失礼、の一言くらいあってもいいと思うのだが、なかった。最近こういうことが多い。私のまわりだけなのか、それとも日本中がそうなのか。
「失礼しました」くらい言えよ。
というか、問題は私がかなり歳の差のある女性の亭主と間違えられたことだ。私はそんなに爺さんに見えるのか?先日は区役所で後期高齢者に間違われたし、頭くるなあ!