暫く前は度々あったが、最近は何度も夜中にトイレに起きることはなくなった。せいぜい1回。起きない日もある。年齢から言って、夜間の尿意は当たり前だと思うが、尿漏れ防止体操とか、膀胱を柔軟にする訓練とか、色々やっているせいかもしれない。寝る前に水分をとるのも止した。そのかわりでもないが、昼間は頻回にトイレに行く。
夜中に起きなかった日の朝の尿の量はおおい。自分でもまだかよと思うくらい出続ける。
ところが1ヵ月程前、朝トイレに行って放尿した時、尋常でないにおいがした。とにかく臭い。アンモニア臭だけでなく、それに薬が混じったような酷いにおい。思わず呼吸を止めた。片手で一物を支えたまま、もう一方の手で鼻をつまんだ。60年以上生きて来て、いままで嗅いだことのないようなすさまじいにおい。少し色もついている。ウイスキーを薄くしたような色。
また何か病気か?と暗い気持ちになった。こんなにおいの尿が出て、まともな訳がない。溜息がでた。というのも55歳を過ぎたころから身体中傷んできた。持病があって毎日沢山薬を飲んでいる。三か月に一度は病院に行く。加えて歯は仕方ないにしても、眼だの耳だのに支障が出て、その度に暫く通う病院が増え、薬が増える。病院疲れというか、ふと、もう新しい医者も薬もいいや、どうにでもなれ、と思ったりする。
さて、尿である。病気か?という思いもあったが、まさか?という思いもあった。そこで少し様子を見ることにした。
コーヒーとトーストにヨーグルトだけの朝食。食欲は普通にある。一時間後おそるおそるその日二回目のトイレ。普通の量の尿は出た。においはなかった。その後何度も尿は出たがにおいはなかった。
一時的なものか?尿のにおい以外に症状はない。何でも無いな、そう思った。でも次の日の朝、また強烈なにおいの尿がでた。昨日より凄い。水を流してもにおいが残っている。トイレには使わない玄関のスプレー式の少し強い消臭剤を持って来てトイレに噴射した。
「さて、どうしたものか」
とりあえず事態は少しだけ深刻さを増したようだ。