行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

池波正太郎

2016-10-06 00:10:59 | 日記・エッセイ・コラム

 池波正太郎が好きだ。と言ってもそんなに沢山読んでいる訳ではない。池波正太郎ファンには鼻で笑われるだろう位しか読んでない。しかもつい5年前位まではずっと以前に何かの食べ物のエッセイを読んだくらい。

 女性誌や旅行関係の雑誌がどこそこの鯛焼きはしっぽまで溢れるほどにあんこが入っていて美味しいなどと特集を組んでいるとき、

 「しっぽまであんこの詰まった鯛焼きは邪道だ」

 というようなことを書いていたのが印象に残っている。もしかすると対談集だったかもしれない。

 5年前に入院した病院に病室まで自由に持って行って読んでいいという本を沢山集めた一角があって、色んな本が揃っていて重宝したが、その中に池波正太郎原作の劇画「鬼平犯科帳」があった。

 昔、劇画になってマンガ雑誌に連載されていた時に少し読んだ記憶があるが、余り好きになれなかった。だから積極的に読みたいと思った訳ではないのだが、心臓にカテーテルを入れて心筋の一部を焼いてくるというあまり楽しくない手術の前後、家から持ってきたややこしい仕事関係の本や、純文学だぞという感じでふんぞり返っているようなものなど読む気がしなくて、劇画なら少しは読みやすいと思って、鬼平犯科帳に手が伸びた。

 あまり期待していなかったが、これが案外面白い。止められなくなった。最初は一冊ずつ病室に持ってきてたのが、一日に何冊も読むようになると、点滴ホルダーを押しながら何度も借りに行くのも面倒で、一度に2冊ずつ持ってきた。結局、4泊5日で全部は読み切れなかったがそれでも半分位は読んだ。

 残りを読みたいと思ったが、そのために入院をのばすわけにも行かない。できる訳もない。退院の前日に胸を押さえてナースコールをするという手がないではないが、その後の騒ぎを考えると常識ある小生としてはとても出来ない。後ろ髪を引かれる思いで退院した。残りは本屋で買って読めばいいのだが、何となくコミックを買う気はしない。趣味の問題なので責めないでほしい。まあ、要するにケチなのだ。

 ところが、幸か不幸か、不幸に決まってるが、三か月程で再入院になった。今度も4泊5日。残りの鬼平を全部読んで、他になにか池波正太郎は?と探していると、単行本の「仕掛け人 藤枝梅安」シリーズを二冊発見。一冊を半分と少し読んだところで退院になった。 

 再びところが、その一ヵ月後再入院。それから二年近く何度か入退院を繰り返した。みんな4泊か5泊の短期入院。いつもは読まないような小説も含めて、病院にあった池波正太郎他の時代小説や、普段読まないハードボイルドなど、スカッとしそうな小説はみな読んだ。

 中でも池波正太郎の書いたものはストーリーの面白さは勿論だが、小説に出てくる食べ物の描写がいい。思わず今度作ってみようかと思う。読んでるとお腹が空いてくる。加えて舞台になる土地が私の学生時代に住んでいた場所、好きで時々行った所やその近く。沢山出てくる。品川、高輪(タカナワ)、二本榎(ニホンエノキ)、樹木谷(ジュモクダニ)、目黒、麻布、古川橋、赤羽橋、この辺りは学生時代に住んでいた場所の近く。東へ行って本所、住吉、深川、亀戸など、こちらは、初詣や、散歩に出かけた。みんな馴染みの場所だ。最近はあまり行かないが、それだけに読んでいて懐かしい。 

 でも実をいうと、好きだと言う割には退院後はご無沙汰していた。

 少し前、久し振りに古本屋に寄ったら池波正太郎が色々な出版社の文庫で三尺棚三段近く揃っていた。ふと興味がよみがえって、ざっと見てから「仕掛け人 藤枝梅安」シリーズの読んでない物を三冊買ってきた。

 寝る前に読むのだが、読み始めたら面白くて寝られない。夜中の3時近くまで読んでいて、仕方なく本を閉じた。心臓の病気に寝不足はいけない、と言われていて、夜更かしはしないよう気を付けている。

 結局1日4時間余りは読んでいた。という訳で、ゆっくり読もうと思ったのに、仕事の合間と寝る前の時間、三日ほどで読んでしまった。

 再び古本屋へ。仕掛け人シリーズの二冊購入。仕掛け人シリーズはあと一冊あることになっているが、その古本屋にはなかった。

 すぐに読了。

 後日他の古本屋さんへ。残りの仕掛け人シリーズ一冊。鬼平犯科帳が一冊。剣客商売が一冊。エッセイが一冊。計四冊購入。鬼平犯科帳と剣客商売は面白いと思った方を買い足していくつもりだ。

 ところで、忙しくはないが仕事はある。昼間小説を読んでる時間はないのだが、休憩の時、少し読もうと思って手に取ったら、あっという間に1時間近く経っていて、慌てて仕事に戻る日が続く。ブログを更新する暇もない。

 初めての仕事で調べなければ返事出来ないと言って、待ってもらっている仕事が一本ある。このブログを、そのお客さんに読まれると、いささか不味いかもしれない。