行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

花屋さんでアルバイト

2014-06-22 15:32:50 | 日記・エッセイ・コラム
 土曜日は花屋さんのアルバイト。
 知人の花屋さんに頼まれて結婚式用の花を都心のレストランまで運んだ。小さな花屋さんで、何時もは地元相手の商売。車も持っていない。たまに車の必要な仕事があった時は誰かに頼んで運んでもらっている。友達の多い人なので、困ることはない。今回は私の番だった。
  レストランで挙式をして、ついでに披露宴。式と言っても人前結婚。結婚報告会のようなもの。最近は珍しくないそうだ。
 その結婚式謙披露宴のテーブルを飾る生花の注文を受け、飾りにいった。もっとも、私に飾り付けなど出来る訳がない。指示通り運んで、指示通りテーブルにおいていくだけ。
 知らない仕事を指示通りやる。久し振りに新入社員気分を味わって、それはそれで楽しくもあった。
 その式場というか、レストランの従業員が気取っていて馴染めない。花屋など出入りの下請け業者だと思っているのだろうし、それは別に間違いではないのだが、関西弁でいうところの愛想もくそもないという奴。
 女はみんな取り合えず十人並の容姿、身体にぴったりのTシャツに黒のパンツスーツ。これが制服のようでみんな同じ格好。そしてみんな同じように無愛想。
 真面目に仕事をしているのだろうが・・・・・・。 ねえ、みんな嘘でももっと楽しそうに仕事しようよ。



膝が痛くなった

2014-06-06 22:51:52 | 健康・病気
 暫く前、膝が痛くなった。でも、たまにあるので気にしない。時々ピクッと痛むだけだ。毎日やってるスクワットを暫く休む位で特に治療もしない。いつもそのうち治ってしまう。今度もそうだろう。
 三年程前に初めて痛くなったとき、近くの総合病院の整形外科へ行った。その病院で整形外科にかかるのは二回目。いい病院という記憶はなかったが、10年ぶりだし、医者も代わっているだろうと思って気にしなかった。他の病院は仕事の関係で診療時間中に通えない。その病院は土曜日も診療していたので選んだ。それだけだ。それに少し膝が痛いだけ、塗り薬でもくれればいいと思っていた。
 混んでいた。土曜日は他の殆どの病院が診療していないせいかと思っていた。
 玄関の受付を済ませ、整形外科の受付に診察券とファイルを入れて待合室の前の長椅子に座っていると、すぐ看護師に呼ばれた。返事をすると問診票を持って来て書けという。書いてまた受付に入れる。それから10分程待たされる。すると、また看護師が来てレントゲンを撮って来てくれという。この辺りがおかしいと思うのだが仕方ない。だって、患者を診もしない、触りもしないでレントゲンの必要があるのかどうかが分かるのかと思う。レントゲンだって被爆する。出来れば撮りたくないが、最近はどの病院でもたいていそうだ。
 前に一度
 「診察もしないでレントゲンを撮るのですか?」と聞いた事がある。
 「いいですよ、診察の後でも、それだともう一度診察まで待つことになりますよ」と脅された。
 理不尽な言い分だと思うが仕方ない。その看護師の言うとおりレントゲンを撮った。そしてまた待ってろと言われる。
 さらに30分位待たされて名前を呼ばれた。やっと自分の順番かと思ったら、これが違った。
 「中の待合室でお待ちください」 ときた。
 どうせ待たせるなら外でも同じだと思うが、一度中に入れるのは気休めなのか、何なのか意味が分からない。中の待合室だと、診察室の会話が聞こえてくる。プライバシーもなにもあったものではない。さらに待たされてやっと呼ばれた。
 お待たせしましたとも言わない。私の顔もみない。私が書いた問診票を見て
 「膝が痛い?ふーん、そこに寝て」
 その時、私はもう50歳を過ぎていた。医者はどう見ても30代、間違っても40歳は超えていないだろうという若造である。明らかに年上の患者に向かって、ため口は無いだろうと思う。
 ベッドに横になると、軽く膝に両手の掌を当てて、膝がしらをほんの少し握る様に触ってから
 「うん、水がたまってる10ccだね・・・・何時から?」ときた。
 この医者変だ、と思った。口のききかたも悪いが、その態度はもっと悪い。触っただけで10ccなんて分かるのか?何時から?って、そんなの問診票に書いてある。
 診察はそれだけ、ほんの10秒程。すぐに椅子に座ってカルテに何か書きながら面白い事を言い出した。
 「週二回プールへ行ける?」
 いきなりだったが、どうせ水中歩行でもやれと言うのだろうと思って
 「行けても週に一回ですね」と答えた。暇でもないし、何とかスポーツクラブのメンバーになるお金もない。週一回なら区立のスポーツセンターに通っていた。そこにはプールがあるから行こうと思えばいける。でも遠いから週一回が精一杯。
 するとその迷医は断言した。
 「じゃあ駄目だ。ヒアルロン酸の注射だな、週二のプールかヒアルロン酸を打つか、どっちかだな。どっちかやらないと治らない」
 この病院、ヒアルロン酸の注射を推してるのか、待合室にペタペタパンフレットを貼り付けてあった。膝の関節に直接注射するようだ。
 それにしても、膝に10秒ほど触れただけでヒアルロン酸を打つか、週二回プールに行くか、治療法は二つしかないと言うのは素人が考えても変な話だ。患者を阿呆だとでも思っているのか?
 その頃、友人がやはり膝の痛みで病院に通っていた。そこの医者によると、太ももの筋肉を鍛えればかなり良くなるということで、膝に負担がかからないように、かつ太腿の筋肉を落とさないようにする簡単な筋トレを教えてくれて、それと塗り薬で治ったと友人は言っていた。その上で予防のために水中歩行や膝に負担のかからない運動はやった方が良いと言われたそうだ。
 とりあえず痛む膝に直接注射をするのなんて真っ平だ。痛くない訳がない。第一お金も高そうだ。余程ひどくなれば別だが、生活に支障がある程痛む訳ではない。塗り薬をくれればそれでよかった。
 「どうするの、週二回のプールかヒアルロン酸注射か、どっちかだよ」
 お前は俺の友達か!口の利き方をしらない若造だ。どうにもこうにもこんな医者と議論しても始まらない。
 「プール行きますよ、塗り薬下さい、出来ればインテバンかなんか二本下さい。湿布はかぶれるので要りません」
 以前腰痛で病院へ通っていたので、薬の名前を覚えていた。
 「二回行けるの?大丈夫だね!二回行けないならヒアルロン酸打たないと治らないよ、いいんだね!」しつこい迷医だ。
 余程ヒアルロン酸注射が好きなのろう。
 「いいです」
 私は即座に答えた。
 週に二回のプールなんて行く気はない。塗り薬を貰って友人が言っていた膝の痛みが無くなるという簡単な筋トレをして、それでも治らなければどこか他の医者を探すつもりになっていた。こんな所へは二度と来ない。
 たまにこんな医者がいる。どういう訳か酷く威張っている。患者にまともな説明というものをしない。そのくせ検査や金のかかる治療は好きだ。これでやって行けるのだから不思議だ。
 ところでこの医者、レントゲンを撮っておきながら、見せることもしないし、説明もしなかった。パソコンの画面に画像は映らなかった。投影機(正確な名前はしらない。あのバックライトでフィルムを見る機械だ)にもレントゲンフィルムは無かった。前の患者さんの診察が終わってすぐに私が呼ばれたから、その間にレントゲンを見る時間は無かった筈だ。するとこいつは本当にレントゲンをみたのかなあ?その前にレントゲン撮ったのかなあ?と思った。
 暫くして、この病院の評判をネットで調べたことがある。さんざんな書き込みがあった。
 この三年前のひざ痛は塗り薬と膝に負担をかけない体操という奴で治った。
 今度の膝痛も家にあった塗り薬と筋トレで二、三日で治った。
 


洗面所から見た東京タワー

2014-06-04 14:09:12 | 日記・エッセイ・コラム

 18歳の時東京に出てきた。新聞屋さんの寮に入った。新聞配達のアルバイトをしながら大学に通う。入学金や授業料は新聞社で借りる。給料はくれて、加えて4年間新聞配達をすれば借りた入学金と授業料4年分は返済しなくていい。
 上京のする時、母は少しまとまったお金を持たせてくれたが、身のまわりの物を買ったら、殆ど無くなってしまった。最初の給料日まではお金が乏しい。最低限食費は残しておかないといけない。朝夕の食事は新聞屋さんで出してくれたが、昼は出ない。学校に行く日はなけなしのお金で学食で一番安い定食を食べるか、我慢する。学校が休みの日は安い食パンを1斤買って水を飲みながらそれを食べた。
 
夕食をめいっぱい食べても、(寮のおかずは一品だったが、ご飯は食べ放題だった)毎日のように、夜中にお腹が空いた。買い置きの御菓子やパンなどない。自販機にコーラ1本買いに行くお金の余裕もない。親元で生活していたころは、夜中にお腹が空けば、台所へ行けばよかった。何かしら食べるものも飲むものもあった。でも東京での生活はそうはいかない。行くべき台所がない。頼るべき親もいない。
 
仕方なく水をのんだ。共同便所の横の洗面所へ行って、蛇口に口を付けて腹が膨れるまで水を飲んだ。何度同じことを繰り返しても満腹感はない。お腹が空いた。何でもいいから食べたいと思った。明日の朝、新聞配達を終えて、寮の朝食にありつくまで腹に入れるべき食べ物はない。
 顔をあげると大きなため息が出た。窓の向こう、遠くのビル越しに東京タワーが見えた。暗い空の真ん中に建物に邪魔されながらも上半分くらいがスクッと立ってすましていた。それがどうした?と言われているような気がした。春先のまだ冷たい空気の中、ライトアップされて輝いている。
 
綺麗だと思った。それは一瞬空腹を忘れるくらい綺麗だった。
 
グーッと大きな音を立てて腹が鳴った。いくら腹が求めても、水以外入れるべき物はない。おまけに朝夕合計でどんなに急いでも5時間近くかかる自転車での新聞配達。急がないと一時限めの授業に間に合わない。坂道も多い土地だった。毎日めいっぱい力を込めて重い自転車を漕ぐ。初めての肉体労働で太腿は熱を持ってパンパンに腫れ上がって痛かった。タオルを水で濡らして太腿にあてた。
 一人で生活していくことの心細さとさみしさが初めて骨身に染みた。
ネオンが涙で滲んだ。ごしごしと掌で涙を拭った。
 
もう一度東京タワーを見た。
 
その後40年以上東京に住んで、何度も東京タワーを見たが、あの夜の東京タワーより綺麗な東京タワーを見ていない。

 

 


古本屋さん巡り

2014-06-02 16:05:46 | 日記・エッセイ・コラム
 暇だったので、先週の土曜日古本屋さんめぐりをした。久しぶりに仕事以外の本が読みたくなったのだが、昨今は文庫本も高い。新刊でなくていいので、気軽に読めそうな文庫本を何冊か買おうと思った。
 暫く前に何かで都営新宿線の森下駅の近くに古本屋さんが4軒あるという記事を読んだ。古本屋街とはいかないが、ネット古書店とブックオフは別にして、実店舗の古本屋さんがこんなに集まっている所はあまり無いと思う。
 森下は私の住む江戸川区からだと隅田川の手前、すぐの所。江戸下町の風情がかすかに残る。少し脚をのばせば芭蕉ゆかりの地もある。散歩がてら行ってみることにした。
 何でもいい程度の文庫本を買うのならブックオフが一番いいと思うだろうが、私はブックオフが嫌いだ。十把一絡げで買い取りが安い。店員が元気すぎる。店が明るい。古本屋のあの胡散臭い空気がない。理由は色々あるが、商売だから違法でない限りブックオフがどんな店を作って、どんな商売をしようと勝手なのはわかる。ただ此方にも嫌いになる自由はある。だから、同じように文庫本でも買うなら、ブックオフ以外の古本屋を回って、じっくり時間をかけて選ぶのが好きだ。
 あか抜けないセピア色の店内。
 「いらっしゃいませ」との声は低く、小さく、殆ど聞こえない。時としてその挨拶すらもない。
 無駄に元気な店員などいない。間違っても何人もの店員が一斉に「いらっしゃいませ」などとファーストフードや風俗営業の従業員よろしく大声をあげたりしない。
 一癖ありそうな店主は客を優しく無視している。
 古本の匂いの一杯詰まったあの胡散臭い空気。
 ただ最近は暗いと女性客が来ないとかで、照明は明るい。軟弱にも健全さを主張している。
 でも、それ以外に古本屋に必要な条件のすべてがまだ残っている。
 だから音が消えたような空間で雑音に惑わされずゆっくり本を選べる。
 4軒の古本屋さんの内3軒は駅から5分以内、あとの一軒は隣の駅の方が近いが、それでも森下から歩いて10分はかからない。
 最後に寄った清澄白川の古書店で文庫本を2冊買った。たったの2百円。2冊とも殆ど汚れていない。安くて気が引けた。
 「袋要りますか」と訊かれた。
 たったの2百円の文庫2冊で袋に入れたら僅かな儲けが減ってしまう。
 「要らないですよ」と答えて
 220円出してお釣りをも会おうとしたら、2百円でいいという。
 「税金は?」と訊くと
 店主は少し笑みを浮かべて
 「要らないですよ」
 近いうちにまた散歩に来ようと思う。