行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

禁酒或いは135mlの缶ビール ②

2015-05-27 10:55:01 | 日記・エッセイ・コラム

  もっと小さな缶ビールはないか?探してみた。260mlというのがあった。まだ大きすぎる。さらにスーパーを何軒か覗いて、すると、あった。135ml。小さい。上から見て丸い部分の直径が約50㎜、高さ80㎜。でもこれは売り物か?新製品発売の時サービス品で配る物ではないのか?何回か貰った覚えがある。それが85円。ウーン高いとは思うが仕方ない。少し、ほんの少しあれば良いのだ。すっきりする。よく眠れる。これ以上小さいものはないようだ。

 試に2缶買ってきて、どうしても眠れないときに飲んでみた。たった135ml。なるべく心臓を刺激しないようあまり冷やさない。冷蔵庫から出して両方の掌で包むように持って温める。常温より少し冷たい程度にする。以前なら一口にもならない量を少しずつ、身体の反応をみながら飲む。口に含んで苦みを味わう。ビールの飲み方としては邪道かもしれない。昔、ビールは喉で飲むといわれて、以来そうしてきた。でもこの飲み方も悪くない。苦みのなかに風味がある。不味くはないどころか暫く含んでいると、麦芽というのかホップというのか知らないが、舌に染みた苦みが歯茎から口の内壁を伝って香りになって鼻へぬける。ゴクンっと飲み込むと香りが一層強くなった。同時に心臓の裏側をビールが落ちていくのがわかる。食道は心臓のすぐ後ろを通っているらしい。だから心臓の検査のひとつに食道カメラ検査というのがあって、食道にカメラを入れてそこから心臓の状態を見る。これが結構苦しい。胃カメラなど何回も飲んだことがあって平気だが、この食道カメラというのは辛い。先端が胃カメラよりも大きな塊のようなカメラ、これがなかなか呑み込めない。二度やったが、二度目は医者が気をつかってか優しく入れてくるものだからなかなか入らなくて苦しいだけ。一度出してもらってやり直し。

「良いですから、合図したら可能な限り押し込んでもらって大丈夫ですよ」

と言って、やっと入った。

 なんて思い出に浸ってビールを味わっている間に、すでに身体はあつくなって、脈も速くなっている。わずかに動悸も感じる。無理もない。最近は洋酒の入ったチョコレートでも酔っ払う程アルコールに弱くなっている。

 ここまで15分。さて、僅かなビールもまだ半分しか飲んでいない。どうしたものかと悩むが、脈の速さも動悸も病的な感じはない。第一美味い。残り半分を捨てるのは忍びない。飲むことにした。

 さらに15から20分程度かけて、少しずつ、少しずつ口に含んで、体温まで温まる位口に含んで、それからゆっくり飲み込むようにして、全部飲んだ。

 飲み終えたあと、脈はさらに少し早くなっている様だ。動悸はあるが、あの身体がゆれるような動悸ではなく、ごく軽い動悸。すぐにベッドに横になって、何時も聞いている落語のCDを流しながら目を閉じた。

 大丈夫かな?大丈夫かな?と何度か思ったが、鼓動も動悸もそれ以上ひどくなることはなく、いつの間にか眠っていた。夜中にトイレに起きることもなかった。よく眠れた。さて、135mlくらいなら気持ちよく飲んでもよさそうだ・・・・・・・多分。

 

 2缶しか買ってなかったので、暫くして、また135mlのビールを買いに行った。ところが、これがない。一番小さいので260ml。これ以下はない。いくら探してもない。やはりあれは試飲用を特別に売っていたのだろうか?少し他の店を探してみよう。でも困った。折角良いビールが見つかったのに。残念。

 と思ってネットをみたら普通に売っている。こんな小さな缶ビール需要があるんだ。買ってるのはみんな心臓の悪い人?まさかそんなわけない。


禁酒或いは135mlの缶ビール  ①

2015-05-25 14:53:15 | 日記・エッセイ・コラム

 身体の具合を悪くしてタバコの次に止めた嗜好品はアルコール。

 もっともあまり強くなかったのでもともと沢山は飲んでいなかった。但し好きなので殆ど毎日飲んでいた。

 心臓を悪くしてから、どうも飲むと以前より動悸が激しく、脈が速くなる。アルコールを飲めば当たり前だと思うだろうが、これが違う。病的だ。どうもこのあたりは本人にしかわからないらしい。医者に言っても半信半疑の様子。ただ脈が速くなるのと、病的に速くなるのとは同じ速さでも感じが違う。

 私は殆どビール、たまにワインを飲む程度だが、飲んでいる途中で変に脈が速くなって、ヤバイと思って飲むのを止めて何とか発作に至らずに済んだということが何度かあった。だから大丈夫だと思った。病的なものでも、ヤバイと思って止せば、発作一歩手前で止まるんだ。少しくらい飲んでも大丈夫。だからとりあえず発作が治まってからは、少しだけだがやはり殆ど毎日飲んでいた。医者も止めはしなかった。

 ところが、ある日、風呂上りにビールを二口程飲んだところで怪しくなった。脈が速い。早すぎる。動悸がする。一分間に120を超えている。飲むのを止してソファーに横になった。でも変わらないか、余計ひどくなったように思えた。自分で手首で脈をはかる。1分間に130を超えた。でも、とりあえず我慢するしかない。脈を整える薬は夕食後に飲んだばかりだった。4時間は間隔をあけろと言われている。もう一度脈をはかる。140は超えていない。だが、動悸がひどくなる。ドンドンドンドン胸に響いて、横になっていると鼓動に合わせて身体が揺れる。1時間程我慢して、一向に良くならない。仕方なく息子に運転させて車でかかりつけの病院の救急窓口へ行くことにした。江戸川区から渋谷区まで。途中銀座を過ぎたあたりで本格的な発作がきた。1年振り。心房細動だ。1~2分に一度5秒くらい心臓が脈を打つのを止めて震えるだけになる。血を送り出さない。細胞に酸素が供給されない。時々はその震えが10秒くらい続く。だから眼の前が暗くなる。意識が遠のく。ところが不思議というか、よくできているというか、一度も意識が無くなったことはない。ぎりぎりで心臓は鼓動を復活させる。心房細動では死なない、と何処かに書いてあった。ただ放っておくと止まらなくなるので48時間以内に一度止めた方がいいそうだ。私の場合、発作が止まらないと立ってもいられないので、半日も待たず病院で止めて貰ったことが何度かあった。点滴で薬を入れたり、それでもだめな時は電気ショックで脈を正常に戻したりした。長くて4~5時間、速いと1時間、もっと早いと病院へ行く途中でおさまったりした。

 この時もそうだと思った。すぐに帰れるだろう。が、これがそうはいかなかった。細動は2時間ほどで治まったが、なかなか脈が安定せず、速くなったりとんだりするのを一晩中繰り返した。結局この時は、前にもやったカテーテル治療をもう一度することになり、10日程入院した。

 以来、たまに、ほんのたまにワインを10~20cc程度飲む以外飲んでいなかった。ところが最近暑くなったのと夜眠れないのとで夜中にビールが飲みたくなる。以前ならこういう時350ml缶一本ですぐ眠れた。いけないと思いながら、禁酒する前に買ってあった缶ビールを飲んだ。ただ、怖いので350ml全部は飲まない。一口か二口、舐めるように少し飲んで、美味い。それでもやはり脈がすぐに速くなる。病的ではないと思ったが、後は捨てた。その後心臓はなんともなかった。缶ビールは2缶残っていたので一週間おきに二回同じことをした。美味い。でももったいない。なにしろ殆ど捨てるのだから。

 


禁煙6年

2015-05-21 15:38:17 | 日記・エッセイ・コラム

 身体の具合を悪くして先ずタバコを止めた。さっき記録を見たら禁煙6年と1か月。まあ、最初の1年は軟弱にもたまに1本、1年で7~8本は吸ったから、正確には禁煙期間はもう少し短い。

 昨日、久し振りに神保町へ出た。待ち合わせ時間より少し早く着いたのでドトールへ入った。この安いコーヒーショップチェーンは、他に比べ最後まで喫煙客優先の店づくりをしていて、愛煙家だったころの私は何時もここでコーヒーを飲んでいた。スタバのように、タバコが吸いたければ冬でも外の吹きさらしのテーブルに座れ、というような無礼な店ではなかった。今では考えられないが、昔、勤め先のあった外神田のドトールでは禁煙席は喫煙席を抜けた2階の奥の小さなスペースしか無かった。タバコを吸わない人に、煙で一杯の喫煙席を抜けて禁煙席へいけと言うのだからひどい。昨日入った神保町の店はさすがにもうそんなことはなかったが、それでも喫煙席が2階の窓際に広くとってある。喫煙者優遇。

 私は禁煙したといっても、タバコの煙はいやではなかった。お客さんとの打ち合わせで喫茶店を使うときも、相手が愛煙家なら、煙で一杯の喫煙席でも平気。街角で偶然歩きタバコの人の煙を吸っても、懐かしくてその煙のほうに近づいて行く位。いけないなと思いながらもタバコを懐かしく思っていた。

「何年も禁煙していてまだ吸いたいかなあ!」

と友人は呆れたが、そんなに強烈な欲求はないものの、あと一か月とか余命宣告されたらきっと吸うなと確信があった。今年のはじめなど、タバコを吸っている夢をみたくらいだ。あーあ、吸っちゃったと思って目が覚めた。

 

 話はもどって神保町のドトール。昨日も一階でコーヒーを受け取るとき、

「お二階の喫煙席しか空いてませんが良いですか?」

と言われ、躊躇なくはい、と答えた。

 喫煙席は20席あまり、小さなテーブル席が一つしか空いていない。でも煙草を吸っている人は数人。煙もそんなに漂っていない。座って新聞を広げた。

 ところが、5分もしないうちに鼻の奥が痛くなる。喉がいがらっぽい。暫く我慢したが、不快感はどんどんひどくなる。仕方なく席を立った。

 その後、なじみのお客さんと打ち合わせで喫茶店。愛煙家である。でも私に気を使ってタバコに火をつけない。プーンとタバコの香りがした。5メートル程離れた窓際のテーブルで火をつけた客がいた。少なくても今までのように香りで吸いたいとは思わなかった。

 禁煙とは永遠の我慢だ。六年前そんな文句を何処かの禁煙サイトで読んだ。そういうものかと思っていたが、こうやってタバコから完全に縁が切れていくのかも知れない。


眩暈

2015-05-19 18:10:43 | 健康・病気

 2~3週間前、朝7時ベッドから起き上がろうとしたら眩暈がした。倒れるようにもう一度ベッドに寝て深呼吸。二、三分してもう一度ゆっくり起き上がる。なんとか起き上がれたので大丈夫だと思ったら、そうでもない。何となくふらふら。階下に降りてトイレへ。

 動けそうだと思って、台所へ行っていつもの野菜ジュースを飲む。でもソファーに座ったらやはり駄目。立ち上がる元気がない。思わず横になる。横になって頭が下がったせいか目眩がひどくなった。少しは楽になるかと思ってもう一度起き上がろうとするがもういけない。なるべく頭を動かさない方が良いみたいだ。そのままクッションに頭を沈め、ひたすらじっとしていることにした。

 じっとしていたら目眩自体は5分程でおさまったが、気持ち悪さと軽い頭痛は残ったまま。30分ほどしてゆっくり起き上がるがやはり駄目。そんなにひどくはないが景色がゆらゆらして気持ち悪くなる。頭を動かすと良くない。しかたなく、また横になった。

 鼻をかみたい。ティッシュが欲しいのだが、起き上がれない。息子が休みで二階にいるはず。休みの日はたいてい午後まで寝ている。

「おーい」

 と呼んでみるが反応なし。ドアを閉めて寝ていれば聞こえないだろう。無理もない。が、しかし頼りがいのない奴である。肝心な時に役にたたない。以前、心臓にカテーテルを入れる時も手術の時間を知らせたのに、メールが届かなかったと言って結局病院に来なかった。それならそれでいいがいささか癪である。そういう奴だと諦めるしかない。子供などハナからあてにしてはいけない。

 ティッシュが取れなくて、鼻から喉にかけてグズグズして苦しいがしょうがない。じっとしている。何もできない。動かなければ軽い頭痛と気持ち悪さだけだ。生あくびがでる。そうだ、眠れば苦しくない。30年前に一度やったことのあるメニエール(耳の病気)の目眩か?頭の病気か?もしかして深刻な病気か?一瞬二度と目が覚めないかも?と思いはめぐるが、眼を閉じていると、そのうち眠ってしまった。

 2時間近くうとうと。眠ったり覚めたり。覚めるたびにとりあえず生きているなと思って、だんだん眠りが深くなったようだ。

 12時近くに目が覚めた。少しそのままでいたが、トイレに行きたい。暫くためらって、我慢できなくなり、ゆっくり頭を上げた。大丈夫だ。ソファーの背もたれを掴んで脚を下しながらゆっくり上半身を起こす。大丈夫。ソファーに座った格好になる。ふらっとした。駄目かと思ったがそこまで。目眩はそれきり消えた。ゆっくり立つ。大丈夫。一歩一歩トイレまで歩いて、用を足した。

 その後は元気に過ごしているが、時々軽い乗り物酔いのような不快感がある。もしかすると今服用している心臓の薬のせいかもしれない。その薬を飲み始めて半年たったころ今回と同じように起き上がれない程の目眩がした。すぐ治ったが、やはり乗り物酔いのような気持ち悪さが暫く残った。その後も時々目眩がするので定期の診察の時その話をしたら、薬のせいかもしれないと言って、量を半分にした。すると目眩はなくなった。今回もその薬のせいだとすると、また薬を減らすことが可能なのか?今度相談してみよう。


金玉医者

2015-05-16 22:44:32 | 日記・エッセイ・コラム

 夜、なにかしら聞きながら眠ることが多い。ラジオだったり小説の朗読CDだったり音楽や落語のCDだったりする。

 落語は寄席に通っていた若い頃集めたCDやテープを主に流す。名人と呼ばれる人で自分の好きな噺家のものは何度も何度も覚えるほどに聞いているのだが、それでも聞くたびに笑ってしまう。夜、真っ暗な中で出囃子が流れてくるだけでニヤッとしてしまう噺家もいる。落語好きはみんなそんな噺家がいると思うが、勿論何人もいる訳では無い。私の場合出囃子だけで笑ってしまうのは古今亭志ん生だけだ。

志ん生が亡くなったのが昭和48年。最後の高座が昭和43年。私が上京したのが昭和47年だから生の志ん生は見ていない。志ん生にまつわる話は読んだり聞いたりしたが、その姿は昔の古い写真か山藤章二のイラストでしか見たことが無い。それでも面白い。出囃子が聞こえる。少し酒が入った風情の志ん生が高座の中央に出てくる。それだけで客が沸く。そんな場面が眼の前に浮かぶ。

 さて、暫く前に図書館でCDを借りられると知った。図書館は本を貸すところ、CDなんてあるとは思っていなかった。無料で借りられるのは有り難い。以来、いろんなCDを借りている。

 ところで、図書館の棚にはCDはケースしか並んでいない。盗難防止のためだと思うが、中身は入っていない。利用者は貸出カウンターにCDのケースを持って行く。すると係の人が奥の部屋や後ろの棚から中身の入ったCDを持って来て貸し出してくれる。その時、間違いの無いようにケースと中身のCDを目の前に置いて係の人が声を出してタイトルを読み上げて利用者がそれを確認する。何時も、面倒だ見ればわかると思うが仕方ない。

 江戸川区では暫く前から図書館の管理は外部委託だ。図書館流通センターというところがやっている。職員はパートの女性が多い。多分みんなそうだろう。CDを確認する係の人もパートの女性。ところが今日は3枚借りた落語のCDのうちの1枚を確認するところでタイトルを読み上げる声が止まって、

 「これで宜しいですね」と言うだけでタイトルを読まなかった。

 別に私は中身が間違いなければ構わない。変だな、何故読み上げ確認をしないのだと思ったが、そのまま借りて帰った。帰り道、その理由が気になる。そして気付いた。読み上げ確認をしなかった落語CDのタイトルは、立川談志の「金玉医者」。