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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

金星大気の変化は、火山活動? それとも大気の循環?

2012年12月20日 | 金星の探査
金星の上層大気に含まれる二酸化硫黄。
この量に急激な変化あることを、欧州宇宙機関(ESA)の探査機“ビーナスエクスプレス”がとらえました。
その原因が、金星の活火山にあるのか、それとも大気の循環かは、まだ分かっていません。






金星の火山
(イメージ図)




数百個の火山で覆わている金星。
でも、それらが活火山なのかどうかは議論が続いています。
これを調べるのが“ビーナスエクスプレス”の重要なミッションの1つになっているんですねー

“ビーナスエクスプレス”はすでに、地質学的に最近といえる数十万年から数百万年前に、金星で火山活動があったことを示す証拠を見つけています。

金星表面からの赤外線放射を解析した前回の調査では、火山周辺の地表とは全く異なる成分を持つ溶岩が、火山の上を流れていることが分かりました。
かんたんに言うと、その火山が最近噴火したということが分かったんですねー

さらに、“ビーナスエクスプレス”が金星に到着した、2006年からの6年間にわたる上層大気の二酸化硫黄の調査からも、新たな事実が浮かびあがりそうです。

二酸化硫黄ガスは、匂いのある有毒なガスです。
地球では、そのほとんどが火山活動によって発生しています。

金星の分厚い大気の中には、地球大気の数百倍を越える二酸化硫黄ガス含まれていて、そのほとんどは上層の濃い雲の下に隠れているんですねー
これは、二酸化硫黄が太陽光によって、すぐに破壊されてしまうからです。

“ビーナスエクスプレス”が、2006年に金星に到着した直後のことです。
上層大気中の二酸化硫黄の濃度が、突然増加した後に、再び急激な減少を見せました。
現在では、10分の1にまで落ち込むという興味深い現象をとらえています。






二酸化硫黄の
濃度の変化




このような二酸化硫黄ガスの現象は、1978年から1992年にかけてのNASAの探査機“パイオニアビーナス”による観測でも見られたものなんですねー
当時は、「火山の噴火で二酸化硫黄が急増し、その後に減少しているところ」っという、もっとも都合の良い説明が付けられたんですねー

金星の上層大気で二酸化硫黄ガスが増加したら、二酸化硫黄のガス分子は、太陽光によって数日のうちに分解されてしまうので、それは何らかの現象が起きて最近運ばれたことになります。

二酸化硫黄の増加が、火山活動によるものなら…
それは、1度の大噴火ではなく、複数の活火山による比較的安定的な活動によるものと考えられています。

いっぽう、“スーパーローテーション”と呼ばれる、金星大気の不思議な循環システムが、このような結果を生み出した可能性もあるんですねー

金星の大気は、地球のたった4日間で金星を1周します。
金星の自転周期が243日であることを考えると、金星大気は超高速で回転しているんですねー
なので、このような大気の高速循環は、二酸化硫黄を瞬時に拡散させてしまいます。

“パイオニアビーナス”の観測結果もふまえて、それ以外の説明を考えると、金星で起こっている十数年周期の大気循環である可能性も考えられます。
もしそうなら、、金星の大気循環は、思ったよりはるかに複雑だったということになります。

大気に残ったガスに見られる、様々なヒントをたどっていければ…
金星や、もしかしたらその火山の活動の様子が、分かってくるのかもしれませんね。