宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

土星探査機のデータで迫る “宇宙線加速の謎”

2013年03月30日 | 土星の探査
宇宙線を生み出すとされる、超新星爆発の衝撃波による粒子の加速。

それによく似た過程が、身近な宇宙空間である太陽系の土星で直接観測されました。
このことで地場との意外な関係が明らかになってきたんですねー



土星の磁気圏(グレー)に
生じた衝撃波(青)を
観測する土星探査機“カッシーニ”
(イメージ図)



宇宙を飛び交い、大気層を貫いて地表にも降り注ぐ宇宙線(高エネルギー粒子)は、宇宙空間のガス中の強い衝撃波による(フェルミ加速)で生み出されているというのが有力な説です。
そして、この衝撃波は重い星の一生の最後に起こる、超新星爆発で発生すると考えられています。

この衝撃波は、超音速の衝突が起こると発生するのですが、
宇宙空間のガスは電離状態にあり、磁場の効果がきわめて重要であるという点が、私たちの身の回りで起こる衝撃波と異なるんですねー

宇宙線が加速されるメカニズムの解明のためには、電離ガスに満たされた宇宙空間で測定されたデータに基づいて、磁場の効果を把握することが必要になります。

身近な宇宙空間である太陽系では、
これまで超新星残骸における強い衝撃波を知るうえで、参考になるほどの衝撃波をなかなか測定することができませんでした。

でも、土星を周回するNASAの探査機“カッシーニ”が2007年2月に、
太陽風(太陽からの粒子の流れ)が、土星の磁気圏に衝突して生じた強い衝撃波が粒子を加速させる現場をとらえることに成功したんですねー

この観測から得られた結果は、これまでの考えを覆すもので、
衝撃波が発生した時の磁場の状態は、衝撃波にともなう粒子の流れと磁力線の向きがほぼ平行でした。






磁場と衝撃波の向きが準平行な状態(上)
準垂直な状態(下)





こうした準平行衝撃波の場合、
流れの向きとしては、衝撃波面との作用によるフェルミ加速が起こりやすいのですが、
その前段階である「加速を受けるための粒子の状態(ある程度の高エネルギーを得ている)」にならないので、
結局フェルミ加速はありえないと考えられてきました。

今回の場合には、強い衝撃波により粒子の条件が整ったため、加速が起こったと考えられるんですねー

遠すぎて詳細を知ることのできない超新星残骸。
ここでの出来事を知るうえで、今回の観測結果は実際の計測をもとにした重要な成果になるよです。

食連星で精度が向上した大マゼラン雲までの距離

2013年03月24日 | 宇宙 space
南半球の空に見える大マゼラン雲。
この銀河は、天の川銀河のそばにある矮小銀河になります。

チリのコンセプシオン大学らの国際研究チームは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のラシーヤ天文台などで、この大マゼラン雲に属するめずらしい種類の連星を詳しく観測しました。






大マゼラン雲
十字のマークは
観測が行われた食連星の位置





その結果、大マゼラン雲までの距離を、誤差2%以下というこれまででもっとも高い精度で求めることに成功したんですねー
その数値は16万3000光年だそうです。

今回、研究チームが観測したのは、食連星というタイプの天体です。
食連星とは、地球から見て2つの星が互いの前を通過しあう軌道を持つので、隠し合って食が起こる連星のことです。






食連星のイメージ図




その際の明るさの変化から、星の大きさや質量などの情報が得られるんですねー
こうした情報と、連星系全体の明るさと色から、天体までの距離を正確に知ることができます。

従来は高温の星で、この手法が用いられてきました。
でも、得られる数値が十分に正確とは言えませんでした。

今回の研究では連星の両方が低温の赤色巨星という、ひじょうにめずらしいペアを8つ観測して、
これまでよりはるかに正確な距離が得られたんですねー

天の川銀河のすぐそばの天体である、大マゼラン雲までの距離を正確に知ること。

これは、他のもっと離れた銀河までの距離も精度よく測定したり、宇宙の膨張率(ハッブル定数)を決めたりするのに重要になります。

なので、この手法を向上させて、
今後数年間で大マゼラン雲までの距離の誤差を1%以下にすることは、
宇宙論や天体物理学のさまざまな分野に広く役立つ成果になるんですねー

太陽の磁気ロープ 太陽観測衛星“SDO”

2013年03月15日 | 宇宙 space
NASAは2月18日、太陽の磁気ロープ(ブラック・ロープ)の画像を公開しました。





NASAの太陽観測衛星
“SDO(Solor Dynamics Observatory”が
撮影した太陽の時期ロープ




この画像は、昨年の7月にNASAの太陽観測衛星“ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)”によって撮影されたものを合成したもの。
各ループが分かるように強調されています。

磁気ロープはコロナ質量放出で形成され、大きな太陽嵐を引き起こす原因だと考えられています。
この画像は科学者らが、磁気ロープの形成を初めて識別できたものなんですねー

SDOはリビング・ウィズ・ア・スター(LWS)計画の最初の観測衛星で、
計3つの観測機器を搭載していて、高度3万6000キロの対地同期軌道から太陽を観測しています。

太陽内部がどのように活動しているのか?
太陽エネルギーがどのように放出されるのか? などを研究して、
コロナ質量放出状況や、太陽フレアの警戒予測などの宇宙天気予報を提供しているんですねー

SDOは2010年2月に打ち上げられ、5年間以上にわたって太陽を継続的に観測する予定です。

“パンスターズ彗星”が今週から見ごろですよー

2013年03月08日 | 流星群/彗星を見よう
今週、地球に接近する彗星“パンスターズ”が、
北半球の夜空では、肉眼で見えるほどの明るさで観測できます。

   メルボルンで撮影された“パンスターズ彗星”
   南半球では今年の1月以降に、明け方姿を現すようになった

“パンスターズ”は、ハワイのハレアカラに設置されたパンスターズ1望遠鏡を使って発見された彗星です。

発見時は、さそり座方向にあり、明るさは19.4等で恒星とは異なる形状で観測されました。

その後、ハワイのマウナケアにあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)をはじめとする、
他の望遠鏡による確認観測で、彗星の特徴であるコマと尾があらためて確認されたんですねー

発見時の“パンスターズ彗星”までの距離は、約6.9天文単位で木星の軌道よりも遠い位置でした。
それが、肉眼で確認できる距離まで接近するのは今年が初めてで、太陽と水星の間を通過します。






“パンスターズ彗星”の軌道





最も明るく輝くのは、8日から来週半ばにかけてで、空がまだ明るい日没後の西の低い位置なんですねー
空が明るくて観測しにくいので、双眼鏡や望遠鏡を使うといいかもしれません。

これほど明るい彗星をみることができるのは、10~20年に1度しかないそうです。
よく晴れた日の夕方には、双眼鏡を持って出かけてみるとイイかもしれません。

そして、3月下旬からは、日の出前の東の空でも見えるようになるようですよ。

高速回転する超大質量ブラックホール

2013年03月01日 | 宇宙 space
JAXAのX線天文衛星“すざく”を用いた研究で、
銀河中心にある超大質量ブラックホールが、
高速で回転していることが分かったんですねー
中心に活発な超大質量ブラックホールが
存在する銀河“NGC 7469”(右上)


ブラックホールから噴き出すジェット

多くの銀河では、
その中心に太陽の数百倍から数十億倍の超大質量ブラックホールが、
存在しています。

とくにクエーサーのような場合には、
光速に近い速度で噴き出す細いジェット流のような、
激しい現象をもたらします。

こうしたジェット流は、
ブラックホール周囲の熱い円盤(降着円盤)に物質が積もっていくことで、
発生すると考えられています。

近寄ると引きずりこまれてしまうブラックホールですが、
その周辺には円盤があり、ブラックホールへ落ちていく物質との相互作用によって、
エネルギーや物質が放射されているんですねー

ブラックホールを特徴づけるパラメータ

これには質量のほかに自転などがあります。

今回、ハーバードスミソニアン天体物理センターでは、
“すざく”を用いて25個の銀河の活動銀河核を調査。

そして、ブラックホールの自転について2つの結論を得ました。

1つは、
超大質量ブラックホールのほとんどは、実際に光速で自転しているといくこと。

物質が、どのようにブラックホールへと降着するかによって、
自転は速くも遅くもなります。

でも、高速自転しているという研究結果からは、
超大質量ブラックホールへの物質降着は、
持続的かつ安定的に発生しているということになるんですねー

もう1つが、
銀河核からの電波の強さとブラックホールの自転との間には、
直接的な関係がないことだそうです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ X線天文衛星“すざく”の通信に問題発生