宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

初期宇宙のてがかり 最遠のX線ジェットを発見

2012年12月21日 | 宇宙のはじまり?
X線天文衛星“チャンドラ”による観測から、
約124億光年かなたという遠方宇宙にある、クエーサー“GB1428+4217”から噴き出すX線ジェットが発見されました。








124億光年かなたの
クエーサー“GB1428+4217”から
放出されているX線ジェット





この発見は、これまでに発見された122億光年と、120億光年の距離を上回る最遠記録となるんですねー
初期宇宙におけるX線ジェットは、ほとんど観測例がないので、これは貴重な発見になるようです。

遠方銀河の中心にある大質量ブラックホールが、高速で物質を飲み込んだときに放出されるエネルギー。
これが強い放射として見えている天体がクエーサーです。非常に明るく輝く、活動銀河の一種です。

噴き出すジェットに含まれる高速の電子が、
ビッグバンの名残りとして、宇宙に広がるマイクロ波背景放射の光子にぶつかります。
すると、より高エネルギーのX線に変換される“逆コンプトン散乱”と呼ばれる現象が起きるんですねー

X線の強さは、ブラックホールから電子が放出される速度によるのですが、
今回のようなジェットの発見から、ビッグバンから間もない初期宇宙における、銀河とその中心の巨大質量ブラックホールの環境について、手がかりを得ることができます。

“GB1428+4217”のジェットの長さは、
少なくとも23万光年、天の川銀河の直径のおよそ2倍あると考えられています。
クエーサーの片側のみにジェットが観測されていることなどから、
ほぼ地球に向かう方向で噴き出しているようです。

また、世界各地の電波望遠鏡を組み合わせるVLBI観測からは、
“GB1428+4217”のジェットのより詳細な姿が観測されています。
X線ジェットと同じ方向に、長さ1900光年ほどの小規模なジェットが存在しているようですよ。