宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

見えてきた月の内部 月探査機“グレイル”

2012年12月16日 | 宇宙 space
月を周回している、NASAの双子の探査機“グレイル”。
この双子の探査機により、これまででもっとも詳細な月の重力場のマップが作られました。
これにより、月の内部構造の理解だけでなく、岩石惑星の起源についてのヒントが得られると期待されているんですねー






月の重力マップ
赤いほど重力場が強く
青いほど低い



月の重力場は、月面のクレーターや山などの地形、地下に潜む物質の存在などにより、場所によって微少に異なるんですねー

“グレイル”は、常に月面から同じ距離を保つように飛行します。
でも、重力場によって、その距離が微妙に乱れることがあります。
この乱れを正確に測定することで、その場所の重力場が測定できるんですねー

新たな重力マップからは、地殻構造や火山地形、盆地、大型の中央丘や窪地などの地形の詳細が、今までにない高精度で明らかになりました。

そして、重力場の大きな変化と、クレーターや谷、山などの表面地形とがほぼ一致しました。
なので、この重力場マップから、月の重力場は、ほぼ地表そのままであることが分かったんですねー

また、月や地球型惑星の内部に刻まれている後期重爆撃期の痕跡も、月の重力場から調べることができます。

後期重爆撃期とは、天文学・地球惑星科学において、41億年前から38億年前の期間のことです。
この後期とは、星間物質の衝突による惑星の誕生・成長の時期を前期とし、惑星形成後の衝突を示したものです。

この時代には、月に多くの隕石衝突によるクレーターが形成され、地球・水星・金星・火星といった岩石惑星も、多くの天体衝突を受けたと考えられているんですねー

さらに、月の高地の地殻が比較的低密度であることも分かりました。
アポロ計画で採取されたサンプルも低密度だったので、それが局所的なものでなく、月全体の特徴であることも分かったんですねー

今回の測定で、月地殻の平均的な厚さは34キロから43キロであることが分かりました。
これは、これまでの予想より10~12キロ薄いという結果です。

これほど地殻が薄いと、月のおおまかな構造は地球に似ていることになります。
つまり今回の観測結果は、かつて地球の一部が天体衝突によってちぎり取られ、その破片が月を形成したという“巨大衝突説”を支持するものになるんですねー

2機の“グレイル”は、2011年9月に打ち上げられました。
2012年1月に、それぞれ“エブ” “フロー”という愛称がつけられ、初期ミッションを無事に終えています。
今は8月30日から12月17日までの追加ミッションを行っているようですよ。