宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

自分で形を変えている?! 銀河の進化は衝突合体だけじゃなかった。

2017年09月24日 | 銀河・銀河団
110億光年彼方の円盤状の銀河が、
その中心で銀河の形を変えるほどの激しい星形成を起こしている。
っという様子が“すばる”、“ハッブル”、“アルマ”の3つの望遠鏡による観測研究から、
明らかになりました。

銀河の進化過程としては衝突合体が定説になっています。
でも今回の発見は、他にも進化過程が存在したことを示す重要な証拠になるんですねー


銀河の進化

銀河の姿形はそれぞれ異なっていて、円盤が目立つ“円盤型(渦巻銀河や棒渦巻銀河)”と、
中央部に星の集合体が目立つ“楕円型(楕円銀河やレンズ状銀河)”の大きく2つに分けられます。

現在の宇宙にある巨大銀河の多くは“楕円型”に分類されるのですが、
古い時代の銀河を観測すると大部分が“円盤型”なので、かつては円盤状の形をして回転していたと考えられています。

およそ100年前、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが、
天の川銀河の外側にも別の銀河存在していることを発見してから、
銀河の形態の起源を解明するための研究が続けられています。

40年ほど前には、「円盤型の銀河同士が衝突合体し、楕円型の銀河に進化する」という
“銀河の衝突合体説”が提唱され、現在の定説になっています。

ただその一方で、「現存する全ての楕円型銀河が衝突合体によって形成したのか?」
という点については疑問とされてきました。


銀河の形を変える星形成活動

銀河の星は100億年から110億年前に生まれたものが多く、
この期間は銀河の進化の歴史上最も重要な時代とされています。

この時代の銀河の様子を探るため、国際研究チームは110億光年彼方のある銀河を調査。

アルマ望遠鏡では、銀河の中心部に活発に星が作られている場所が特定された(左)。
ハッブル宇宙望遠鏡の可視光線画像(中央)と近赤外線画像(右)では、
それぞれ巨大な星団と広がった銀河円盤が見えている。

この研究では、“すばる望遠鏡”で発見した25個の銀河をさらに“ハッブル宇宙望遠鏡”と“アルマ望遠鏡”で観測し、これらの銀河の内部構造を複数の観点から描き出しています。

銀河を構成する星々が放つ近赤外線をとらえる“ハッブル宇宙望遠鏡”の観測から分かったことは、
110億光年彼方の銀河は大きな円盤状の形をしていて、110億年前の時点ではまだ楕円形の銀河には進化していなかったこと。

また、星の材料であるチリや分子ガスが放つ電波をとらえる“アルマ望遠鏡”の観測では、
これらの銀河の中心で新たな星が爆発的に生まれている様子が分かります。
  爆発的に星を生み出すスターバースト銀河、昔も今も変わらずに存在した!
    

この銀河中心で起こっている星形成活動は、なんと天の川銀河の約40倍の規模に相当すると推定…
活動は銀河の形を変えるほど激しいものなんですねー

つまり衝突合体以外にも、激しい星形成活動によって、
銀河は円盤型から楕円型へと自らその形を変えることができたということです。

アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した110億光年彼方の銀河(イメージ)。
円盤を持つ銀河の中心部で、チリに覆われた中で活発に星が作られている。
円盤部には、3つの巨大星団(ハッブル宇宙望遠鏡の可視光線画像で見えている。)

また超大型望遠鏡VLTによって、
観測対象となった銀河が大規模な合体をする兆候が見られないことも確認されました。

今回の研究では、銀河が合体している最中ではない回転円盤を持つ銀河で、
銀河の形を変えるほどの激しい星形成活動を発見しました。

この発見は、これまでの定説“銀河の衝突合体説”に加え、
衝突合体をしない別の進化経路があったことを示す決定的な証拠になります。

ただ、古代の銀河がいつ、どのようにしてその形を変え、今日に至ったのか?
これを説明できないと、銀河の進化史の解明にはまだならないですね。

2つの円盤型銀河が衝突合体して楕円型銀河へと進化する(上)と考えられていたのが、
円盤型銀河の中心部で激しい星形成が起こることで楕円型へと進化する新たな道筋(下)が、
今回の観測で明らかになった。


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旨い鮨をつまんできた (#^.^#) 秋の白浜ツーリング!

2017年09月19日 | バイク・旅・ツーリング
今回は前から行ってみたかった白浜のお寿司屋さんに伺う、ちょこっと贅沢なツーリング (#^.^#)

和歌山駅近くの“ねぼけ食堂”から始まり、紀伊日ノ御崎燈台を回って白浜の“長生の湯”で一息ついた後、メインイベントのお寿司屋“幸鮨”さんに向かいます。
○○○


朝7時開店の食堂

出発は朝の5時半。お昼までに回るスポットが4つあるので早朝に家を出ます。
まずは和歌山市に立ち寄り和歌山駅近くにある“ねぼけ食堂”さんへ。

ここはオーソドックスなメニューが安く食べられる食堂。
朝の7時から開いていて、紀州茶がゆが名物だったりします。
朝7時開店の食堂。意外なことに茶がゆが名物。
朝7時開店の食堂。意外なことに茶がゆが名物。
カウンター席のみの店内には所狭しとメニューが貼られ、大きいテレビとカラオケが鎮座… 食堂というよりカラオケ居酒屋っぽかったです。

この日は開店直後にすべり込み、注文したのはご飯・味噌汁・目玉焼きの一般的な朝メニュー。
八代将軍吉宗も食したとうたっている名物茶がゆは、鍋で出てくるようなので量的にパス (^^ゞ
ご飯・味噌汁・卵焼きで520円。あと小鉢の冷奴が付いてきました。
ご飯・味噌汁・卵焼きで520円。あと小鉢の冷奴が付いてきました。
リーズナブルに腹ごしらえができて開店は朝の7時、早朝に出発する南紀方面ツーリングの燃料補給ポイントにピッタリかも。素朴で懐かしい家庭の味が食べたくなったらまた行きますね。


クヌッセン機関長救命艇保管庫

“ねぼけ食堂”を出ると阪和自動車道を南下し広川インターからは下道へ。国道42号から海沿いの良い感じの田舎道(県道24号)を走ると右手に見えてくるのが赤が目立つハイカラな建屋。そう、ここが2つ目の目的地“クヌッセン機関長救命艇保管庫”なんですねー
左下に写っているのが供養碑。右奥にはトイレもあります。
左下に写っているのが供養碑。右奥にはトイレもあります。
1957年のこと、日御碕沖で火災を起こしている日本船“高砂丸”を救おうとしたデンマーク船“エレンマースク号”と、その救出活動で殉職されたヨハネスクヌッセン機関長を悼んで作られたのが救命艇保管庫と供養碑です。トイレがあるので海沿いルートの休憩地点としてもおすすめですよ。
坂を下れば裏手にある田杭漁港に行けました。
坂を下れば裏手にある田杭漁港に行けました。


瀬戸内海と太平洋の境目

次の目的地は県道24号を南に走り突き当りを右(県道167号)に行った先、“クヌッセン機関長救命艇保管庫”から10分ほどの場所。紀伊半島の最西端に突き出した日ノ御崎に建つ“紀伊日ノ御崎燈台”です。
白いタイルが貼られたスリムな灯台。
白いタイルが貼られたスリムな灯台。
今年の4月に建て替えられたのは、元の場所が広範囲にわたって地滑りが続いていたこと。
少し風が強かったのですが青い空に眺めは最高! この灯台と、室戸キンメ丼ツーリングの帰りに寄った四国最東端の蒲生田岬灯台とを結ぶ線が、ちょうど瀬戸内海と太平洋の境目になるそうです。


温泉とお寿司、贅沢なひととき

県道167号~24号で国道42号線へ戻ります。
良い天気のなか海沿いを走って向かうのは白浜温泉“長生の湯” (~o~)
天気に恵まれ海沿いを快走
“長生の湯”は3つの湯船が楽しめる温泉。
なかでも雑木林に囲まれた露天風呂は落ち着いた雰囲気でのんびりと浸かることができました。
長生の湯(玄関)
今回は新緑でしたが春は桜、秋は紅葉と季節によって楽しめ、夜にはライトアップもされるそうです。お湯は無色で癖もなくお肌がツルツル、リラックスできる良い温泉でした。
長生の湯(内湯)新緑は内湯から眺めることも。
新緑は内湯から眺めることも。
そろそろお昼を予約している時間。お湯に浸かってさっぱりしたところで“幸鮨”さんに向かいます。

店内はカウンター席と小上がりが2つ。
カウンター席に案内されメニューに目を通してから注文したのは特上にぎり(3,700円)。

かなり贅沢なお昼になったので「じっくり味わってたべるぞ!」っと思っていたものの、中とろ、かんぱち、うに… っとテンポ良くにぎられるお寿司をつまんでいるうちに完食。旨かったー! 早かったー! なので撮影するタイミングを逃した… (T_T) ただ食べ足りないのでアジとヒメチ、鉄火巻きを追加しちゃいました。
立派な店構えの“幸鮨”さん。
立派な店構えの“幸鮨”さん。
ツーリングの目的もほぼ達成したので、昼からはのんびり走って帰るだけ。
県道29号から紅葉にはまだまだ早い高野龍神スカイラインを走り抜け、かつらぎ西から京奈和自動車道に入り高速で帰ってきました。

帰宅は午後7時、シャワーを浴びて“かみかみこんにゃく”で一杯 (^^♪
道の駅“龍神”で購入した“かみかみこんにゃく”が今夜の肴。
道の駅“龍神”で購入した“かみかみこんにゃく”が今夜の肴。
乾燥したこんにゃくは「噛めば噛むほど味がでる」んだけど、お湯と麺つゆに少し浸けておくとウマーでした。涼しい風が心地良く残暑は感じられないツーリングでしたが、秋はまだまだこれからですね。


和歌山までは高速を使って国道42号で白浜へ。
帰りは県道29号~高野龍神スカイラインを北に走っていきます。


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太陽系最大の謎の1つ、金星の気流に新発見!

2017年09月17日 | 金星の探査
金星探査機“あかつき”の観測により、
金星にこれまで知られていなかったジェット気流が発見されました。

大きさが地球に近く、公転軌道も比較的近いことから地球の双子星と呼ばれる金星。
その謎に迫る情報が“あかつき”から得られると期待されているんですねー
“あかつき”による金星の夜面観測(イメージ図)
“あかつき”による金星の夜面観測(イメージ図)


謎の気象現象“スーパーローテーション”

金星で有名な気象現象に“スーパーローテーション”があります。

“スーパーローテーション”は金星の自転よりも速く金星を一周する風で、
太陽系惑星の気象現象の中では最大の謎とも言われています。
ただ、自転より速くと言っても、そもそも金星の自転は遅く1年は地球の224日。
でも自転周期は243日なので自転の方が遅いんですねー

さらに自転の向きが逆なので、金星上での1日の長さは地球の117日になってしまいます。
これほど遅いと金星は片面だけが太陽に加熱され、反対の面は夜になって冷えてしまうことに…

すると地球の赤道と北極・南極のように、
昼側と夜側の空気を入れ替えるような風が吹きそうに思えますよね。

でも、実際には金星を東から西へ一周する風が、
地球時間で4日前後という金星の自転よりも速い速度で吹いています。

なぜ、ほとんど止まっているような金星の自転の向きに、
自転よりはるかに速い速度で風が吹いているのか? いまも謎のままなんですねー


“スーパーローテーション”より速い気流の発見

“スーパーローテーション”のことはこれまでの金星探査で分かっていました。
でも“あかつき”は新しい現象も観測していたんですねー

それは、赤道付近の低層大気に“スーパーローテーション”とは異なる流れがあることでした。

金星は大気が濃く雲も厚く、雲の表面の高さは高度70キロもあります。
地球では、ほとんど真空になる高さです。

この高度では“スーパーローテーション”の風が吹いていて、
風速は秒速100メートル程度で時期や場所による違いはあまりありません。

今回“あかつき”は赤外線カメラ“IR2”を使って高度40キロ以下の雲の下の風を観測。
  “IR2”は下層大気の熱放射による赤外線が雲を透過する際にできる“影絵”を観測して、
  高度約45~60キロにある分厚い中・下層雲を可視化することができる。

  金星探査機“あかつき”の5つの観測機器が定常観測へ移行
    

すると2016年7月の観測データから、高度45~60キロの中・下層雲領域に、
赤道付近に軸をもつジェット状の風の流れ“赤道ジェット”が世界で始めて見つかります。

“赤道ジェット”はその後少なくとも2か月継続し、
赤道付近では80メートル以上の強風が吹き、赤道から離れると風が弱まるという現象でした。

過去にも2007年から2008年にヨーロッパ宇宙機関の金星探査機“ビーナス・エクスプレス”が、
同様の観測をしていたのですが、このような強い風は見つかっていません。
  金星探査機“ビーナスエクスプレス” 最後の軌道上昇へ
    

また、“あかつき”で観測されたのも2016年7月~8月で、それ以前には観測されず…
なので、この風は“スーパーローテーション”と違い、吹いているときと吹いていないときがあるようです。
IR2による金星夜面の雲の模様(擬似カラー)。より多くの雲粒子が大気下層から来る赤外線を遮るため、雲が厚いところほど暗い。画像左側の白いところは昼面。
IR2による金星夜面の雲の模様(擬似カラー)。
より多くの雲粒子が大気下層から来る赤外線を遮るため雲が厚いところほど暗い。
画像左側の白いところは昼面。


増えた謎と解き明かされる謎

この新しいジェット気流がなぜ起きているのかは、
まだ分かっていないません。

そもそも金星の“スーパーローテーション”自体が、
なぜ起きているのか分かっていない謎の現象です。

さらに、赤道付近にだけ強い風が吹くのは、力学の常識から考えても不思議な事になります。

フィギュアスケートのスピンで手足を縮めると回転が速くなるように、
回転する物体は半径を小さくすると回転が速まります。

地球でも、赤道上の渦が北半球や南半球に移動すると回転が強まり、台風などの現象になります。
なので、回転が赤道上で最も強いというのは逆の現象になるんですねー


金星大気の研究は地球の役に立つ?

金星の謎が明らかになったら何かの役に立つのでしょうか?

金星大気のシミュレーションプログラムは、
基本的に地球上の天気予報に使われているものと同じ原理になります。

もちろん実物の金星も物理法則は地球と同じです。
なのに、どうしてこれほどまでに違う環境になっているのか。

私たち地球人は地球の気象現象が当たり前だと思っています。
でも、宇宙には様々な星があり気象現象も異なります。

そう、地球の気象は当たり前ではなく、たまたまこうなっているだけかもしれないんですねー

なので、地球ではありえない金星の気象現象を調べることは、
今までは思いもよらなかった気象の原理発見につながるかもしれません。

そして、それは気付いていなかっただけで実は地球にもあるとすると、
今まで解明されていなかった気象現象が解明されるかもしれないということですね。


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