天の川銀河の中心付近に存在する特異な分子雲の様子が、アルマ望遠鏡で詳細にとらえられました。
この分子雲の運動の解析から分かってきたのは、太陽の3万倍の質量を持つ中間質流ブラックホールが存在しているらしいこと。
これまで存在は予測されていた中間質量ブラックホール。
今回の研究で存在するという強い証拠が見つかるのでしょうか。
決定的な証拠が見つかっていないブラックホール
多くの銀河の中心部には、太陽の約100万~100億倍もの超大質量ブラックホールがあることが知られています。
もちろん、太陽系が属している天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール“いて座A*”が存在しています。
また、大質量星が超新星爆発を起こした後に誕生する、太陽の数倍~10数倍程度の質量意を持つ恒星質量ブラックホールも宇宙には多数存在しています。
ただ一方で、存在は予測されているのですが、決定的な証拠が見つかっていないブラックホールもあるんですねー
それが、太陽質量の100倍から1万倍という中間質量ブラックホールです。
超大質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールが合体してできるとも考えられています。
なので、この2つのブラックホールの中間くらいの質量を持つ“中間質量ブラックホール”もあるはず。
そう、中間質量ブラックホールの研究は、どうやって超大質量ブラックホールが出来るのか? っといった疑問を解くカギになります。
さらに、ブラックホールと銀河の相互進化の理解にも役立つんですねー
銀河の回転に逆行する分子雲
国立天文台野辺山宇宙電波観測所の研究チームは2016年に、天の川銀河の中心から約20光年離れた位置に小型の特異分子雲“HCN-0.009-0.044”を発見します。
この分子雲の挙動は、銀河の回転に逆行するような特異なものでした。
そこで、研究チームが考えたのは、そこに暗い独立した“野良ブラックホール”が潜んでいて、分子ガス雲との重力相互作用の結果として特異分子雲が生じた可能性でした。
今回、研究チームは新たにアルマ望遠鏡を用いてこの分子雲を観測。
すると、それまで不明瞭だった“HCN-0.009-0.044”の詳細な構造と内部運動が明らかになります。
これまで1つだと考えられていた分子雲が、複数の構造だと判明するんですねー
この構造の運動状態を調べて分かったのが、速度の変化パターンが軌道回転運動をしている天体に典型的なものだということ。
そのような回転運動を生み出す「見えない重力源」が存在していることを強く示唆する結果でした。
観測データの解析とモデル計算により、2つの構造は共通の重力源を中心とした異なる楕円軌道上を運動していて、その重力源の質量は太陽のおよそ3万倍であると求められます。
軌道と重力源との距離は0.2光年程度と非常に小さいので、“HCN-0.009-0.044”の中に存在する重力源はコンパクトで大質量な天体になります。
そう、中間質量ブラックホールだと考えるのが妥当なんですねー
ガス雲の運動の解析でブラックホールの存在が分かる
“いて座A*”の近傍に発見された中間質量ブラックホールは、将来的に超大質量ブラックホールに飲み込まれて、その成長に寄与する可能性があります。
超大質量ブラックホールや銀河の研究という点において、中間質量ブラックホールの発見は、それ自体が重要な意義がある成果なんですねー
さらに注目すべき点があります。
それは、今回発見されたブラックホールが暗いという点です。
理論予測によれば、天の川銀河内には大小含め少なくとも1億個以上のブラックホールがあると考えられています。
でも、そのほとんどは伴星からの物質供給が十分ではないので暗く、降着円盤からの明るい放射を検出するという従来の方法では発見が困難でした。
今回の研究成果は、運動するガス雲の検出が暗いブラックホールの探査に有効な手段であることを示すものになりました。
研究チームはこれまでにも、
“いて座A*”から約200光年の位置に10万太陽質量を持つ、
中間質量ブラックホールの候補天体を発見している。
今回の研究と同様に、異常な速度を持つ分子ガス雲に注目していけば、これからも続々とブラックホールの候補天体を発見できそうですね。
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二番目に大きなブラックホールも天の川銀河の中心にある?
この分子雲の運動の解析から分かってきたのは、太陽の3万倍の質量を持つ中間質流ブラックホールが存在しているらしいこと。
これまで存在は予測されていた中間質量ブラックホール。
今回の研究で存在するという強い証拠が見つかるのでしょうか。
決定的な証拠が見つかっていないブラックホール
多くの銀河の中心部には、太陽の約100万~100億倍もの超大質量ブラックホールがあることが知られています。
もちろん、太陽系が属している天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール“いて座A*”が存在しています。
また、大質量星が超新星爆発を起こした後に誕生する、太陽の数倍~10数倍程度の質量意を持つ恒星質量ブラックホールも宇宙には多数存在しています。
ただ一方で、存在は予測されているのですが、決定的な証拠が見つかっていないブラックホールもあるんですねー
それが、太陽質量の100倍から1万倍という中間質量ブラックホールです。
超大質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールが合体してできるとも考えられています。
なので、この2つのブラックホールの中間くらいの質量を持つ“中間質量ブラックホール”もあるはず。
そう、中間質量ブラックホールの研究は、どうやって超大質量ブラックホールが出来るのか? っといった疑問を解くカギになります。
さらに、ブラックホールと銀河の相互進化の理解にも役立つんですねー
銀河の回転に逆行する分子雲
国立天文台野辺山宇宙電波観測所の研究チームは2016年に、天の川銀河の中心から約20光年離れた位置に小型の特異分子雲“HCN-0.009-0.044”を発見します。
この分子雲の挙動は、銀河の回転に逆行するような特異なものでした。
そこで、研究チームが考えたのは、そこに暗い独立した“野良ブラックホール”が潜んでいて、分子ガス雲との重力相互作用の結果として特異分子雲が生じた可能性でした。
今回、研究チームは新たにアルマ望遠鏡を用いてこの分子雲を観測。
すると、それまで不明瞭だった“HCN-0.009-0.044”の詳細な構造と内部運動が明らかになります。
これまで1つだと考えられていた分子雲が、複数の構造だと判明するんですねー
(a)東アジア天文台のサブミリ波観測装置“ジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡”で観測された特異分子雲“HCN-0.009-0.044”のシアン化水素(HCN)354.6GHzスペクトル線強度図。単一の構造として見えている。 (b)アルマ望遠鏡で観測された同スペクトル線強度図。内部構造が非常に詳細に描き出されている。 (c)視線速度分布図。遠ざかる速度が赤色側、近づく速度が青色側。 |
そのような回転運動を生み出す「見えない重力源」が存在していることを強く示唆する結果でした。
観測データの解析とモデル計算により、2つの構造は共通の重力源を中心とした異なる楕円軌道上を運動していて、その重力源の質量は太陽のおよそ3万倍であると求められます。
軌道と重力源との距離は0.2光年程度と非常に小さいので、“HCN-0.009-0.044”の中に存在する重力源はコンパクトで大質量な天体になります。
そう、中間質量ブラックホールだと考えるのが妥当なんですねー
(a)観測された視線速度分布図、(b)モデル化された視線速度分布図。 赤い★のところにブラックホールが存在している。 |
ガス雲の運動の解析でブラックホールの存在が分かる
“いて座A*”の近傍に発見された中間質量ブラックホールは、将来的に超大質量ブラックホールに飲み込まれて、その成長に寄与する可能性があります。
超大質量ブラックホールや銀河の研究という点において、中間質量ブラックホールの発見は、それ自体が重要な意義がある成果なんですねー
さらに注目すべき点があります。
それは、今回発見されたブラックホールが暗いという点です。
理論予測によれば、天の川銀河内には大小含め少なくとも1億個以上のブラックホールがあると考えられています。
でも、そのほとんどは伴星からの物質供給が十分ではないので暗く、降着円盤からの明るい放射を検出するという従来の方法では発見が困難でした。
今回の研究成果は、運動するガス雲の検出が暗いブラックホールの探査に有効な手段であることを示すものになりました。
研究チームはこれまでにも、
“いて座A*”から約200光年の位置に10万太陽質量を持つ、
中間質量ブラックホールの候補天体を発見している。
今回の研究と同様に、異常な速度を持つ分子ガス雲に注目していけば、これからも続々とブラックホールの候補天体を発見できそうですね。
ガス雲を振り回す中間質量ブラックホール(イメージ図) |
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