太陽をしょった笑顔に「キラーン」という効果音まで重なる見事なベタっぷりが良いなあ。
・車に轢かれかけた一美を助けた一夫は、眼鏡をかけなおす直前一瞬爽やかな笑顔を浮かべ、それがすぐに曇り拗ねた顔に変わる。
一美に笑顔で「大丈夫?」と言おうとしたのを山本に先を越されたと気づいたからでしょうが、数秒間でのちょっとした表情の変化で一夫の心理がしっかり説明されている。
・クラスに斉藤一夫という名の男子がいると聞かされた直後、山本が手を振るのを見て一美は照れくさそうな笑顔になる。が、山本が通路隔てて隣の席の一夫を指差すとがっかりした表情に。
山本が「斉藤一夫」だと思い込んで、「彼と名前が似てるなんて♪」と嬉しくなったら、「一夫はこっちの奴だよ」と山本の仕草に教えられたので「なーんだ」と落胆したのがよくわかります。
・窓際の席のアケミの方を見つめる一夫。顔を前に傾けて彼の視界を塞ぐ形になった一美を一瞬不快そうに睨んでいる。
その後アケミの横顔を見つめてそっとにやける顔。この短いシーンだけでアケミを好きなのが丸分かり。
・山本が「一美を一週間で落とす宣言」したときの一夫の「またー!?」という声の響きが幼くて、彼の少年らしい正義感の強さを引き立てている。
ここのシーンの言い回しはどこも巧み。「そのうち刺されんぞ」と山本の脇腹をつつく仕草も。
・落雷で入れ替わってしまった一美in一夫。自分の変化に気づかぬまま話す口調がちゃんと勝地くん演じる一夫と似ているのに感心しました。
・「なんでおれがあの転校生に!?」。一夫のモノローグの声がヘタレ気味でユーモラス。
・一美in一夫の第一声に爆笑。どこから声を出しているんだ。
・「ぶって!思いっきり!」。一夫の体が傷つくのは別にいいという・・・。
・バッグで殴られた時の悲鳴と倒れる時の膝の揃い方が(笑)。
・「ほんとのことなんだってば!」と言う前でちょっとため息を吐き出すのがリアルな感じを出している。
・「あたしの部屋、引っ掻き回さないでよ」の時の表情が女の子らしい。「お風呂に入らないで」とか「乳液つけて」とか・・・可愛いなあ。
眼鏡を外してちょっと上目使いしてると女の子な表情も違和感なく似合っている。
・一美/一夫は部屋で一人の時は眼鏡を外している。
導入部で一夫は落とした眼鏡を拾うのに地面を手探りしていたので、眼鏡なしではほとんど見えないど近眼だと思われますが、一美/一夫は携帯の操作や窓からベッドまで歩くのを眼鏡なしで普通にこなしていた。
見ないでも歩けるほどに部屋の間取りが頭に入ってはないと思うんですが。中の人格が違うと視力も変化するのだろうか?
・「二人とも学校行ってきなよ」という二葉ちゃん。彼女自身は学校行かなくていいのか?
・「赤い糸ってほんとにあるのかね」。授業の内容にからめてラストへの伏線をここで出しておく。ベタというより手堅い演出。
・「一美ちゃんは俺が狙ってんだから」と言われた一美/一夫の表情がごく僅かに和らぐ。
一美の内心のときめきがあるかなしかの表情の変化で表現されている。
・アケミに見とれる一夫/一美のとろーんとした目付きがお見事(一夫本人がアケミを見るときの目付きとはちょっと違うけど)。吉澤さんの最大の見せ場、かな?
(つづく)