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俳優・勝地涼くんのこと。

『新・愛の嵐』(1)-2

2008-07-06 02:43:15 | 新・愛の嵐
勝地くん以外のキャストも、皆驚くほどにはまっていました。

まずはひかる役の藤原ひとみさん。白い肌とふっくらしたほんのりピンク色の頬といい目鼻立ちといい戦前の旧家の令嬢にふさわしく、拗ねた顔はのびのび育ったお嬢さんらしい怖い者知らずの驕慢さを、猛や両親を責める(叱る)顔と声は生まれながらの気位の高さと潔癖さを感じさせました。
勝地くん同様、技術的にはまだまだ未完成ではありますが、猛とからむ場面、特に第15回の「私を行かせたお前が悪いのよ!」の前後などは、互いの演技に触発されたかのように二人とも真に迫ったお芝居をしていて瞠目させられました。
失礼ながら、昼ドラそれも子役のパートでこれだけの演技合戦を見られるとは思いもかけなかった。相性も良いんでしょうね。
藤原さんは現在松永裕子さんと改名されて活動されてるそうですが、どんな女優さんになってるんだろうな。

ついで文彦役の藤間宇宙くん。文彦というのは性根の座らない、姑息かつ陰険なお坊ちゃんですが、完全な悪人ではなくむしろ心の弱い人間。
だからこそ雑草のような猛の強さに嫉妬もするし、両親に認められたい、愛されたいという気持ちを強く持っている。
憎憎しいながらも憐れさをも漂わせる役柄であり、その意味では一番難易度は高いかもしれない。それを藤間くんは見事に演じ切っていました。
猛に感情移入する視聴者からはどうしても嫌われるポジションなのに、気後れせず思いきりよく振り切れたお芝居を見せてくれました。
プロフィールを見ると藤間くんは当時まだ17歳だったはず。いやすごいです。

他にも伝衛門役の渡辺裕之さんは佇まいだけで伝衛門という人間の度量の大きさと渋い男の魅力を醸し出していたし、絹役のかとうかずこさんも猛に対する厳しさと文彦に対する甘さのうちに母の慈愛と愚かさを見事に表現していた。
一話30分のドラマに毎回ショッキングな引きを用意した今作品は相当な急展開の連続で、ストーリー的には無理が生じまくってるのですが(しかし存外テーマ性にはブレがなく、心理的な伏線がちゃんと張られている)、ツッコミどころありありながらもこれだけ見応えのあるドラマになりえたのは、ひとえにキャスト陣の演技力と、彼らの細やかな表情をしっかり捉えた演出にあったように思います。

次回、第二部に限定して作品のレビューを書いていこうと思います。

 


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『新・愛の嵐』(1)-1

2008-07-03 02:15:29 | 新・愛の嵐

1986年にフジテレビで放映された昼ドラ『愛の嵐』のリメイク版。やはりフジテレビの昼ドラ枠で2002年に放映。
エミリー・ブロンテ『嵐が丘』に材を取り、昭和初期の甲府を舞台に大地主三枝家の令嬢ひかると幼馴染の使用人・鳥居(旧作では川端)猛の身分違いの悲恋を描く。

幼年期、少年期、青年期の三部構成になっており、ひかると猛を演じる役者はそのつど代替りしています。
勝地くんが演じるのは第二部、16歳当時の猛(勝地くん自身はこのとき15歳。旧『愛の嵐』放映年の生まれです)。

『亡国のイージス』『さとうきび畑の唄』と並んで、いまだに勝地くんといえばこのドラマを代表作にあげる人も多く、ファンの間での人気も非常に高い役柄です。
放映当時子役としては異例なほどの反響があったらしく、女性週刊誌が勝地くんを前面に出した『新・愛の嵐』特集をしたりしてました。

それだけにあえて長らく見ないままに「取っておき」にしておいて、ネットで感想を検索しつつ期待を膨らませてたんですが、当時の感想掲示板を見ると「勝地猛」に対する主だった評価は「可愛い」「格好良い」「演技が上手い」「15歳とは思えない男の色気」――。

前の3つは普通に理解できるんですが、最後の「男の色気」については正直「???」と思ってました。
私はわずかな例外をのぞけば勝地くんに男の色気を感じることはあまりないので(こちら参照)、15歳で男の色気うんぬん言われてるのがどうにもピンと来なかったのです。

しかし実際に視聴して納得。戦前を舞台にしている=現代劇じゃないせいか、前年の『さよなら、小津先生』に比べて滑舌など技術的にはやや荒削りの感もありましたが、

そんなことはどうでもいい。(断言)

ひかるへの強い想いを押し殺して一人耐える姿、日頃は従順かつ平静に振る舞いながらも時に噴き出す獣のような凶暴性――確かにそこには男の色気、一種の男臭さがあって自然と視線を吸い寄せられました。
しかし同時に年齢相応の少年らしさ、初々しさもしっかり持ち合わせていて・・・。男臭さと初々しさと言う本来正反対の要素が溶け合っているという稀な事態。

ひかるのみならず、お花、崇子先生と登場する女性たちが軒並み惚れる―それも肉体関係を迫ったり迫られたと言いたてたがる――設定上、猛役は年齢的には少年であっても相応の男っぷり、容姿の美醜以上に女を惹き付けるフェロモンを感じさせるようでないと説得力がない。
彼にはその説得力、ふとした表情や仕草で女心をざわめかせる魅力が十二分にあったように思います。
放映当時視聴者の奥様方がまだ15歳の彼にメロメロになったのも無理はない。

この作品でプチブレイクしたにもかかわらず、それ以降なぜか勝地くんは本格的なラブストーリーを演じてませんが(『ちょっと待って、神様』も『幸福な食卓』も中高生の初々しい恋愛でしたし、23歳設定だった『未来講師めぐる』でもプラトニックなのか?というほどの純情路線)、切ない演技は大得意な彼ですから、情熱的な恋愛ものもそろそろ見てみたいような気がします。


p.s. 「情熱的な恋愛ものもそろそろ見てみたい」なんて言ってたら、7月10日放映開始の連続ドラマ『四つの嘘』では永作博美さん演じるヒロインとの愛欲に溺れるボクサー役なのだそうで。また一足飛びに凄いのがきたな・・・。
原作を読むかぎり勝地くんが演じる安城英児は、臨界点ギリギリの闘争心と情欲を内に抱え込んでいるような、触れたら火傷しそうな危うさを持った男なので、いかに魅せてくれるものか今からわくわくしてます。なかなか画面を正視できないような気もしますが(笑)。


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