サイエンス好きな男の日記

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一括比例配分方式と個別対応方式の違いによる消費税申告額の影響(基本式の算出)

2017-01-12 19:26:30 | 資産運用

2017年になり、そろそろ確定申告の時期になりました。

昨年から夫婦そろって消費税課税事業者となり、消費税の申告が必要です。

そのときの最大の難題だったのが、控除対象仕入税額を個別対応方式と一括比例配分方式のどちらで行うべか、ということでした。申告上は、申告者がどちらの方式でも選ぶことができるものの、一括比例配分方式を選択した場合には2年間以上継続してこの方式を採用しなくてはなりません。(参考:国税庁Web No.6401 仕入控除税額の計算方法 )

また、一括比例配分方式では、調整対象固定資産を購入した場合には、通算課税売上割合が大きく変動した場合、第3年度に仕入控除税額の調整が必要になります。

こういった条件を踏まえて、今後の仕入額や売り上げの予想を立て、最も節税となる、控除対象仕入税額の方式を決める必要があります。

【前提条件】

ただし、あまりに話を複雑にするとわかりにくいし本質がみえづらく、また実際的でもないため、以下の状況に限定します。

  • 課税仕入税額の中で、課税売上および非課税売上に共通するものはなし。・・・条件①
  • 1年目に調整対象固定資産を購入。2年目および3年目は購入しない。・・・条件②
 
 
まず、それぞれの方式での納税額を計算します。
 
p: 消費税
Rt: 課税売上(税抜)。_1, _2, _3 が付くと、それぞれの年度の課税売上
R:課税売上(税抜)と非課税売上の合計。_1, _2, _3 が付くと、それぞれの年度の課税売上と非課税売上の合計。
Ct:第1年度の課税売上に対する課税仕入税額
C:第1年度の課税仕入税額の合計(Ct と非課税売上に対する課税仕入税額の合計)
k_1 =Rt_1/R_1 : 第1年度の課税売上割合
k = (Rt_1+Rt_2+Rt_3)/(R_1+R_2+R_3) : 通算課税売上割合

【一括比例配分方式での各期の納税額】

  • 第1年度:p*Rt_1 - k_1*C
  • 第2年度:p*Rt_2
  • 第3年度:p*Rt_3 - δ

上記より、上記3年度の合計の納税額は S_比例 = p*(Rt_1+Rt_2+Rt_3) - k_1*C - δ ・・・ ①

ここで、δは通算課税売上割合(k) が著しく変化(増加・減少)したときに仕入控除税額に加算・減算するための調整額です。

δ = (k - k_1)*C

「k が著しく変化する」とは、具体的には、

|k-k_1|/k_1 >= 0.5 & |k-k_1|>= 0.05 ・・・②

の場合です。つまり、第1年度の課税売上割合(k_1) が、3年間の課税売上割合(k)と同程度なら、この調整は不要ということです。式からも、k=k_1 ならδが0となることからも納得できますね。

(参考:国税庁Web No.6421 課税売上割合が著しく変動した時の調整 )

 

【個別対応方式での各期の納税額】

  • 第1年度:p*Rt_1 - Ct
  • 第2年度:p*Rt_2
  • 第3年度:p*Rt_3
上記より、上記3期の合計の納税額は S_個別= p*(Rt_1+Rt_2+Rt_3) - Ct ・・・③
 
個別対応方式では、調整は不要です。
 
 
【一括比例配分方式と個別対応方式の違い】
 
①と③を比較するとその違いがよくわかります。
 
S_個別 では、課税売上に対する課税仕入税額を控除していますが、S_比例では第1年度の課税売上割合に課税仕入税額全体を掛けて控除額を求めています。ただ、通算課税売上割合が大きく変動する場合には、その調整としてδを導入している、というわけです。δを含めることで、S_比例では第1年度の課税売上割合ではなく通算課税売上割合を課税仕入税額全体を掛けて控除しなさい、ということですね。
 
 
では、結局、どちらの方式を採用すべきなのか、をどのように決めたらよいでしょうか。
 
そのためには、調整額δの計算が必要かどうかによって変わってきます。
 
その有無を調べたうえで、S_比例とS_個別を比較して、どちらで申告すべきかどうかを判断します。
 
まずは、δが不要の場合の両者を比較して、一般的にはどのようなケースでは、どちらの方式が良いのかを調べます。また、具体例を含めて、どちらが良いのか判断したいと思います。
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