サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

太陽光発電と不動産投資の比較

2014-03-21 15:32:39 | 太陽光発電

タイナビ発電所というサイトで、「土地付き太陽光発電 VS アパート投資」というタイトルでの比較を行っていました。(http://www.tainavi-pp.com/comparison/)

内容としてはどれもよく聞くことですが、やや誤解を与える部分もあるため、私なりにコメントしたいと思います。
やや批判的な書き方にはなってしまいますが、リスクとリターンのバランスを考えたときには私も太陽光発電のほうが優秀だと思っています。

その① 空室のリスクがない:
これはだれでもわかることですね。不動産投資ではサブリースという制度もありますが、利回りが1%位悪化してしまいます。

その② 入居者とのトラブルがない:
トラブルがあるとすればメンテナンス会社とのトラブルが可能性としてあります。メンテナンス不良で発電効率が大きく減少したり、パネルや機器に障害が発生すれば収益性に大きな影響と与えてしまうことは気にしておくべきですね。

その③ 大規模な修繕費の必要がない:
太陽光発電では、パワコンの修繕費用をある程度見込んでおくことが必要ではないかと思います。補償が切れた10年以降に故障した場合、最悪交換ということになります。すべてのパワコンを交換するという最悪のケースでは300-400万円くらいの費用がかかるでしょう。そのようなことにならないよう、日常的なメンテナンスをきちんと行ってくれるメンテナンス会社を探すことが重要だと思います。

その④ 固定資産税が不要:
これは誤解を招きますね。償却資産税がかかってきます。2000万円のシステムだと、だいたい最初のころは、毎年15万円~18万円くらいかかるでしょう。

その⑤ 利回りが高い:
利回りという言葉はわかりやすいので使ってしまう気持ちもわかりますが、正しくはありません。通常、利回りは収益÷投資額で判断することが多いですが、そもそも投資した太陽光発電システムの価値も毎年棄損しています。私がシミュレーションする場合には、電力固定価格買取制度が終了する20年後には、その価値は0であり、ある程度の費用を払って太陽光発電システムを撤去・破棄してもらうことを想定しています。不動産投資でもそうですが、投資対象の価値が下がっていく場合には、利回りではなくIRR(内部収益率)で投資価値があるかどうかを判断することが必要です。
ただ、複数の太陽光発電システムを比較する際には、相対的な指標として、”利回り”を計算することには一定の意味はありますが、あまりお勧めはしないですね。
あと、いくつかの太陽光発電システムを販売しているサイトで、NEDOのデータをもとに年間発電量を算定する際の損失係数に違いがあることに気がつきました。NEDOのデータは設置場所で、システム容量は設置する発電システムによって決まるわけですが、損失係数には主観が入ってくるため、業者によって違いがあります。したがって、利回りがかなり高く見えるような物件であってもK=1と仮定して意図的に収益性をよく見せているだけかもしれません。業者の示した数字が本当に正しいのか、疑ってかかったほうが安全です。(※1)

その⑥ 節税メリットが大きい:
この節税メリットは、グリーン投資減税を指していることが多いのですが、これは青色申告かつ事業所得として確定申告することが前提です。自分にはグリーン投資減税が適用されるのかどうか、地元の税務署に確認したほうがいいです。

その⑦ 家賃下落の心配がない:
パネルや設備機器の劣化などもあるため、やはり年々発電量、つまり売電額が減少するのはほぼ確実でしょう。私の場合は、年1%の下落を想定しています。一方、不動産投資のシミュレーションでは中古物件の場合、20年で10-15%の減少を見込んでいます。ということは、太陽光発電と不動産投資では、家賃下落という部分ではたいした差がないですね。

 

(※1) 先ほどの損失係数について、補足します。

年間予想発電量(Ep)は次式で計算されます。

Ep = H x P x 365 x K

ここで、H は日射量、Pはシステム容量、Kは損失係数です。通常、K = 0.8~0.9 で計算することが多いのですが、サイトによってはこのKを1(つまり、Kの効果を無視)して年間予想発電量を提示しているところもあれば、逆に K = 0.74 として、かなり小さめに評価して収益を見せているところもありました。さらに、同じ販売業者のWebサイトでも地域によって、このKの値を変えて収益を計算していたりするのです。業者に、Kの値がかなり低いようだがと聞いたところ、安全を見て低く設定している、という答えしか返ってきませんでした。よくわかりませんね。

ただ、私がこれまで聞いている発電所の実績から、K = 0.9 ぐらいです。収益性を比較する際には、自分でNEDOのデータをもとに年間予想発電量を計算し、比較したほうがいいです。(業者の数字をうのみにするのは危険です。)

 

その⑧ 情報が信頼できる:
これは私が最後に付け加えた、太陽光発電と不動産投資との違いですが、実はこれも非常に大きな要素だと思っています。この情報とは、収益や物件に関するものです。太陽光発電では、売電単価と日射量で売り上げが決まるわけですが、売電単価は政府が保証、日射量は第3者機関であるNEDOから推定できます。一方、不動産投資では、家賃や空室率ですが、果たして保証があるでしょうか。家賃も今後どの程度下落するかはっきりとした予想は困難です。空室率についても同様です。不動産業者が、この物件は家賃の下落が今後も大きくは無いだろうし、立地が良いので空室の可能性も低い、といっても、それをどこまで信頼してよいのかも分かりません。明らかに、太陽光発電の方が情報が信頼できます。さらに、経費についても、太陽光発電はメンテナンスの金額は固定であり、機器の突発的な故障による修理費用がかかる可能性もありますが、たいてい10年までは保険によってリスクを転嫁できます。一方、不動産投資は、予測困難な事象や突発的な費用増の可能性がいくつも潜んでいます。購入直後に借家人が退去した、マンションの修繕積立金が倍以上値上げされた、借家人が問題のある人物だった、耐震強度に問題がある建物だった、など数え上げたらきりがありません。そもそも、収益性の高い賃貸物件が売りにでることがあるのか、あったとしても裏で取引されるだけでそのような物件は表に出てこないのではないか、という思いもあります。太陽光発電でもメンテナンス業者の信頼性については判断が難しいこともありますが、不動産投資のリスクと比べれば、問題のないレベルだろうとも思っています。
結局、不動産投資は自分しか信用できないのです。そして、不動産投資に対する目利きが自分でできないのであれば、信用するものが無いのです。太陽光発電は政府とNEDOのデータを信用すれば、あとは大したリスクではないし、そのリスクが顕在化したとしてもそれを補うだけのリターンが得られると判断しています。

結局、①~⑧をまとめると、太陽光発電のほうが安心して見ていられる、ということです。

現在、私は社債、不動産投資、トランクルーム事業、太陽光発電に関わっていますが、リスクとリターンのバランスが取れているのは、社債と太陽光発電であり、不動産投資やトランクルーム事業はそれらと比べてややリスクが高いと感じています。

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2 コメント

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Unknown (れん)
2014-04-22 19:52:49
興味深く拝見させていただいております。
漠然な質問になりますが、雑種地という前提で、分譲型太陽光発電設備は、借地型と購入型がありますが、投資という観点から、どちらがよいと思いますか?
もし、よろしければ、コメントお願いいたします。
返信する
Unknown (管理人)
2014-04-23 01:47:41
コメントをありがとうございます。長くなりそうだったので、記事の1つとして取り上げさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。
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