10月に入ってついに火災保険が値上されましたね。
そこで、何とか補償内容をあまり落とさずにもっと安い保険がないか調べてみました。
まず、ネット保険を調べました。
- SBI損保は10月からは築20年を超える建物の取扱いをしない
- ソニー損保もホームページには1980年以前の建物は対象外、また空き家も不可
とのことで、私が普段購入しているような築古物件では契約不可でした。
リスクが高い物件は契約できないという感じですね。保険業界も昨今の自然災害で経営状況が悪化して大変だと保険代理店から聞いたことがあります。
そこで、次に、築古物件に対して、保険料が安い全労災や府民・県民共済の火災保険契約が可能か聞いてみました。
まず、メリットは以下の通りです。
- 築年数は関係なく、築50年であっても保険契約が可能。保険料も、木造、鉄骨、RC等の構造の違いだけで築年数は関係ない。
- 私が契約している全労済の火災保険が1件あり、来年度から保険料が上がるのか聞いたところ、継続の場合にはそのままの保険料が適用されるため、値上げの予定はない、ということ。(ただ、永久に保険料が値上げしないとは言えない、とも言われていました。)
- 補償内容が異なるので単純な比較はできないものの、保険料は安い。
デメリットは以下です。
- 保険はあくまでも個人が住む住宅に掛けるための保険という位置づけなので、貸家に特化したような内容や特約はない。例えば、施設賠償責任保険特約(例えば、老朽化した階段が割れて賃借人が大けがを負った、というような建物の管理に起因する損害賠償等)はない。何かそれに類するような内容の特約や保険もない、とのこと。
- 申込時にその家に人が住んでいることが条件なので空き家は不可。賃借人が付いた後で保険を掛けることができる。賃借人が退去して一時的に空き家になっても賃借人を募集しているのであれば問題なし。あくまでも申込時に空き家でなければよい。
全労災火災保険 https://www.zenrosai.coop/kyousai/kasai.html
保険料をざっくり比較
築古物件(築57年、延床56.21㎡)で火災保険料を比較してみました。なお、なるべく公平に比較したいため、大手保険会社では最も安いプランで見積もりを取っています。
まず、三井住友海上のエコノミープランです。地震保険は全労済との比較のためにつけていません。
補償内容:https://www.ms-ins.com/personal/kasai/gk/compensation/
5年で120,720円なので、年平均では24,144円。
一方、全労済は以下の通りです。地震保険はつけてはいますが、額としてはかなり小さいです。また、築年数は入力しないため、保険料は築年数とは関係ないようです。
保障内容:https://www.zenrosai.coop/kyousai/kasai/hoshou/fire.html
※契約共済金額:640万円
年間保険料は11,520円です。自然災害共済をつけない場合は4,480円(ただ火災共済にも風水害の保障として上記のケースでは最大150万円が付きます)。
見積もりの比較:
- 三井住友海上の見積もりには含まれていない盗難・水災・破損・汚損が、全労災には含まれています。
- 全労済では築年数に関係なく保険料は一律。
- 見積もりには地震保険が含まれていませんが三井住友海上等大手の保険会社では火災保険の保険金額の半額とすることができますが、全労災では火災保険の保険金額の最大3割(その場合自然災害共済は大型タイプを指定)
- 全労災では施設管理賠償責任特約といったような特約がない
全労災がやや補償内容としては手厚いにも関わらず保険料が安いので、保険料は全労災のほうがかなり安い(半額以下?)と言えそうです。
最後に、都道府県民共済を調べてみました。おそらくどこの都道府県も補償内容としては大きく変わらないと思いますので、大阪府民共済の場合に試算してみました。
全国共済(火災保険):https://www.zenkokukyosai.or.jp/product/fire/
こちらも築年数の情報は不要です。また、入力した延床面積によって加入限度額が決まりますが、保障額は購入金額としているので、保障額はいつも加入限度額よりもかなり低い金額になります。したがって、掛金は延床面積にはあまり影響されないですね。ただ、これはどの保険の場合でも同様でしょう。
地震特約をつけても年間 7,808円なので府民共済も安いです。ただ、自然災害については風水害等見舞共済金として支払われるのみで正直手厚くはないです。
火災保険とは言っても結局最も多い支払い事例は台風などの自然災害であるため、ある程度の自然災害に対する補償も必要と考えています。
下記は、三井住友海上の火災保険「GK すまいの保険」の2018年度~2020年度当社支払実績に基づいた数値より。
参照:https://www.ms-ins.com/personal/kasai/gk/compensation/
風水害等見舞共済金は最大600万円と書いてはありますが、それはあくまでも保険金額が2,000万円以上の場合です。新型火災共済の「制度のご案内」もしくは「ご加入のしおり」には、保険金額が2,000万円以内の場合には、水害による全壊は加入額の30%(640万円なら192万円)、床上浸水は最大15%(640万円なら96万円)となっており、かなり厳しいです。
風水害等見舞共済金:https://www.zenkokukyosai.or.jp/product/fire/security02.html
また、この補償内容は全労済の火災共済と大きくは変わりません。例えば、全労済の火災共済(自然災害共済ではなく)では上記のケースでは風水害では最大150万円が支払われます。
府民共済では、風水害等見舞共済金として水害では最大192万円です。
一方で、全労済の火災共済のみでは年間4,480円であるのに対して府民共済は7,808円です。府民共済には年によってある程度の割戻金があります(2021年の割戻金は20%)が、それを考慮しても全労済のほうがやや安いのではないか、と思います。
したがって、価格的にも安く、自然災害についても3段階(自然災害共済:なし、標準、大型)で選択できることを考えると、府民共済よりは全労済を選択したほうがよさそうに思いました。
保険料を抑えるための戦略
今後も保険料が上がり続ける可能性が高いので、施設賠償責任保険をつけなくてもよいと思われる、リノベーション物件については全労災で契約をするのがいいのかなと思っています。ただ、通常は空き家を購入するので全労済の火災保険には加入できません。物件購入時にはこれまでのような大手の火災保険(三井住友海上、東京海上日動 等)に加入し、賃借人が付いた後で全労済の火災保険に切り替えることにします。
ただ、数か月後に解約することを前提とした、そんな虫のいい契約を引き受けてくれる代理店があるのか。
そこで、自宅近くの保険代理店に直接電話して、上記の事情を話してみました。
すると、やはり1年にも満たない契約ははっきり言って儲からないのでやらないけれど、私の自宅と代理店とは徒歩10分と近く初回だけは対面が必要だが2回目以降は郵送でのやり取りで済むこと、また、将来、1年を超えるような契約をしてもらえることもちょっとは期待して引き受けてもよいと言っていただけました。
今のところ、その期待に応えられるような予定はないのですが、すぐに保険契約をお願いしました。その2週間後に新たに別の築古戸建てを購入・決済したため、同じくこの代理店経由で保険契約を結びましたが2件目はすべて郵送で済みました。
しばらくはこのスキームで保険料値上げに対処することにします。
(※)大手の火災保険は「補償」、共済は「保障」ということで、文中、「ホショウ」の表記が混在しています。