宇治市の築古テラスを売却することになりました。
保有期間は3年半余りと結構短かったのですが、どうも賃借人に縁がない、という感じで、最後はちょっと悩みましたが、賃借人の退去予告のタイミングで売却活動を始め、10日ほどで正式な買い付けが入り、売却となりました。
あまり期間が短いのでどれだけ参考になるかわかりませんが、物件仕入れ・リフォーム・客付け、そして最後に売却という戸建物件のひととおりのステップを踏みましたので、築古物件の投資ではどんな項目にどれほど費用が掛かったのか、最終的にどれほどの収益をあげられたのか、具体的な数字をもとに検証してみました。結果は想定よりもひどかった。
物件概要:
住所)京都府宇治市(S38築)
購入)2017年2月に470万円で購入(金融機関から470万円借入)
融資条件)借入金470万円、金利1.975%、 期間10年の元利均等払い
売却)2020年10月に510万円で売却 → 実質的な運用期間は3.5年
入退去)2017年8月入居(家賃6.0万円)→2019年7月退去
2019年10月入居(家賃6.2万円)→2020年10月末退去予定
リフォーム)2017年3月洗濯パン設置、1階・2階エアコン設置、火災検知器、郵便受け交換
2019年7月退去に伴い、和室3部屋の畳表替え、1階クロス張替え、洗面所CF上張り、ふすま張替え
管理)自主管理なので管理費はなし
以下、収入・支出の詳細(すべて単位は万円)です。
所得・住民税の税率は33%、支払いはその年末とします(実際の支払は所得税は翌年3月、住民税は来年度ですが…)。借入金がもしなかった場合にどうなるかを後で議論するため、借入金有り無し(つまり、支払金利分を経費として算入できるため)の場合で所得税・住民税を分けています。
(補足)所得・住民税の計算では建物の減価償却費も必要経費として処理しています。一方、火災保険は便宜上、支払時の一括償却としています。
2017年(物件購入、賃借人入居)
【物件価格】491.8(購入額470に仲介手数料21.7および未経過分固定資産税0.1含む)
【物件購入】所有権移転登記12.0 売買契約関連0.3 引越代15.0 火災保険10.0
【融資関連収入】借入金470.0
【融資関連支出】融資関連費用 0.7 根抵当権設定6.2 ※所有権移転登記および根抵当権設定は司法書士に依頼
【リフォーム】エアコン2台設置19.3 洗濯パン設置およびキッチン換気扇交換6.5 照明器具・火災報知機など 8.1 水道・光熱費1.3 (入居が決まるまでの3~4か月間)
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【収入】礼金6.0 家賃収入30.0
【支出】広告費13.0 不動産取得税5.9
【融資関連支出】金利7.6 元金35.7
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【所得・住民税】-26.1(融資なし)-30.9(融資あり)
※税金がマイナスの場合、他の所得と損益通算することで支払う税金が減ったことを意味します。
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2018年(賃借人入居中)
【収入】家賃収入72.0
【支出】 固定資産税1.6
【融資関連支出】金利8.2 元金43.6
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【所得・住民税】14.7(融資なし)12.0(融資あり)
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2019年(賃借人退去・新賃借人入居)
【リフォーム】和室3部屋の畳表替え、1階クロス張替え、洗面所CF上張り、ふすま張替え 22.9 水道・光熱費0.5 (入居が決まるまでの3か月間)
【収入】家賃収入50.8 礼金26.0 原状回復費(賃借人負担)4.7
【支出】固定資産税1.6 広告費10.0
【融資関連支出】金利7.3 元金44.5
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【所得・住民税】6.7(融資なし)4.3(融資あり)
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2020年(賃借人退去予定・物件売却)
【収入】家賃収入55.8 火災保険払戻 5.6
【支出】固定資産税1.6
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【融資関連支出】金利4.4 元金346.1 根抵当権抹消費用(抹消証書作成費や登録免許税等)1.3 ※手続きは司法書士に頼まず自分で。
【売却額】510.3(未経過分固定資産税 0.3含む)
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【所得・住民税】13.3(融資なし)11.4(融資あり)
これで、何にどれだけかかったのか具体的にわかりますが、数字だけが並ぶと全体像が見えてこないので、以下に整理しました。
収入 |
支出 |
所得・住民税 | 融資関連収入 (借入金) |
融資関連支出 (元利金など) |
所得・住民税 (融資有) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
2017 | 36.0 | 91.3 | -26.1 | 470.0 | 50.2 | -30.9 |
2018 | 72.0 | 1.6 | 14.7 | 0 | 51.8 | 12.0 |
2019 | 81.4 | 35.1 | 6.7 | 0 | 51.8 | 4.3 |
2020 | 61.4 | 1.6 | 13.3 | 0 | 351.8 | 11.4 |
合計 | 250.8 | 129.6 | 8.6 | 470.0 | 505.6 | -3.2 |
融資に直接関係のない収入・支出、そしてそれらに基づき所得・住民税、さらに、融資に関連した収入・支出、それらを考慮した場合の所得・住民税を上記の表にまとめています。
税金が比較的安いのは、築古物件なので建物部分は4年で償却できるため、減価償却が毎年25万円ほどあったためです。
家賃収入などは251万円ほどありますが、支出が130万円ほどかかっているのが痛いですね。購入当初の登記費用やリフォームは仕方がないにしても、2019年も退去で原状回復費用が掛かっていることも響いています。
5年未満なので、譲渡所得の税率が高く、以下になりました。
【短期譲渡所得】36.3 =(売却額510.3 - 物件価格491.8 - 減価償却費103.6 - 仲介手数料23.4 - 印紙代0.5) * 税率39.63%
上記から、短期譲渡所得も含めた最終的な損益および内部収益率(IRR)は次の通り。
(補足)内部収益率の計算での収入・支出のまとまりは3か月とし、それで得られたIRRを12か月/3か月=4倍して表示しています。
- 融資がない場合
- 利益 68.2 IRR 3.8%
- 融資がある場合
- 利益 44.3 IRR 11.2%
この物件は、470万円で購入し、家賃6万円で運用を始めたため、表面利回りは 6*12/470=15.3%です。
それだけの表面利回りがあったとしても、実際にはほとんど儲けが出なかったことになります。
融資が無い場合、IRR=3.8%であり、また単純利回りは 4.1%(=利益/運用期間(3.5年)/購入額) しかありません。
築古物件での不動産投資で期待される内部収益率(IRR) 8%以上だと考えているため、このケースでは融資を受けていたことでなんとか収益性を確保していますが、はっきり言って失敗でしたね。
途中退去がなく、長~く住み続けてもらえればよかったのですが、やはり1-2年ほどで入退去を繰り返してはダメだということがよくわかりました。今後の反省材料にします。
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