mitakeつれづれなる抄

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日本人は自然のままの森林はあまり好まない

2014年05月04日 | 植物・花

 今日は緑の日ということで、ちょいと森林にかかわるお話を。

 目には青葉山ホトトギス初鰹

 という有名な俳句がありますけど、新緑が美しい季節です。この緑を求めて大型連休には多くの人が出かけていらっしゃり、自然を求める方は多いけど、自然そのままの姿の森林というのは、あまり好まれていないようにに思います。

 よく大自然とか、手付かずの森林とかい言い、森に多くの方が訪れるけど、大方の日本人は自然そのままの姿よりも、大なり小なり人の手が入った所が好まれるような気がします。

 日本の国土は、一部で亜寒帯もあるけど、比較的気温高目の温帯で湿潤、樹木や草本が多く育つ環境です。
 この森林生息地は、広葉樹や針葉樹などが多く育ち、日が地面まで達する所では草本も多く育ち、放っておけば、草も木も枝が伸び放題となり、さながらジャングルに近い遷移過程を辿ります。
 そんな林を「一次林」といいますが、そんな林は多くの方は「手入れが行き届いていないな」と不快感を示します。
 そしてこれからは田植えの季節ですが、田畑の光景があると「わ、自然が豊かだ」と仰る方もいらっしゃいます。
 さらに庭園の緑も「自然だ」と言う方もおられ、あながち間違いではないけど、大多数の日本人の求める自然というのは、人の手の入った林なり、草なりを指しているように思うのです。

 原生林のことを一次林といいますが、二次林というのもあり、遷移過程の最終まで辿った林を人の手により、遷移過程を少し戻した林の事です。

 すなわち、植物の持つ、次世代への命を繋げる作用を少し止めた状態のことで、具体的には、林の下草を狩り、枝葉を落して、持ち去ります。この枝葉を日常の煮炊きの燃料にするわけですが、遷移過程のサイクルを人の手により止められており、自然のままの成長ではなくなります。
 アカマツの周囲に育つ、マツタケも、自然そのものの環境では育たず、アカマツを育ち難くする要素、落ち葉を取ったりして土地を痩せさせ、アカマツに養分を与えなくさせることによって、マツタケが育ちます。

 また二次林は、一度失われた林を人の手によって再生させた林の事もいいます。人の手によるもので、再生した林も、人の管理下におかれます、無用の枝を払い、下草も刈られますので、見た目には、「手入れが行き届いた林」という印象があります。

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東山植物園森林見本園で。ヒノキ。

 しかし、厳密には、自然そのものでは無い事になります。

 よく自然保護団体が主張される森林保護を理由として「割り箸」追放マイ箸持参運動がありますけど、割り箸は成長の良くない幹や枝を落した材木で作ってありますので、割り箸を追放されると、森林の手入れをする理由が無くなり、結果的に森が荒れる要因になります。

 何が良いか良くないかの話しではなくて、自然、自然というものの、自然そのものの過程で生じた状況は、あまり好まれず、人の手の入った自然が好まれるというお話しでした。

 こういった光景、いいですねぇ。東山植物園日本庭園にて。

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