詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

月とマドンナ

2016年01月29日 | 雑記


そうだ、東京も好きだった。
四国に住んでから、私は地方が好きだーと思っていたけれど。
ゴタゴタした街も好きだった。

だからだから
ずーっと散歩していたんだった。
ずーっと自転車にも乗っていたんだった。
学生時代。
学校も行かなかったとき。
何時間も歩いたり、何時間も自転車を漕いだり。
HOKOマンションなんていうのも見つけて苦笑したっけ。
ヘルマン・ヘッセの『青春彷徨』が大好きだった。
本棚に差さっていた『郷愁』という本は少し読んでやめてしまっていた。
あるとき、手に取ってついに読んだ。
あれ?なんか似てる。
というか、これはもしや、『青春彷徨』?!

すでに絶版になっていた『青春彷徨』とは訳者が異なるだけだった。
『青春彷徨』に慣れていたから『郷愁』の訳が最初は嫌だったけど、こっちもいい!!とやっぱり大好きになった。
星型の泡が出るビール。
青春だった。ぜんぜん華やかじゃなかったどころか、どちらかというと内気な男の子みたいな青春だったけど。
そうか、だから私は女々しいのか。

ともかく、私は東京も好きだったのだ。
だから海外のとても美しい街並みを見ると
素敵~と思う一方、住んでいたら飽きるかも、とも思う。
たとえばどこの街よ?と言われると思い出せないけれど。
混沌にはいろんなものが隠れている気がする。
自分のまったく知らない世界があると思える。
だからずっとわくわくしていられる。

表参道のあたりは、最近また新しい建物が次々できているし、どれも、オレが一番!私を見てよ!と個性を競っているし、自分はまったく知らない華やかな世界があるのだろうなと思うと楽しい。
たぶんそれを現実に生きてしまったら大変だろうけれど想像するのは楽しい。
夢を見ているのが楽しい。
自然の景色を見るのもものすごく好きだけれど
建物を見るのもものすごく好きです。
なぜかしらん、わくわくするの。


「なぜかしらん」は耳で聞いたことがない。
だから読み方は勝手にこうだと思い込んでいる。
あるときまで、男の人でも、ちょっとかわいく女性のような柔らかさでもって、
「なぜかしらん♪」という感じで使っているのだとずっと思っていたけれど
「なぜか知らん」と書いてあるのを読んで
これはもしや実はかなり男っぽく、イメージ、腕を組んで
「(オレは)なぜか知らん」みたいな口調なのか?と思ってそのよくわからない感じがまた面白かった。のに。
いま、ネットで調べちゃった!
あーあ、調べちゃった。
宙ぶらりんなほうが面白かったのに。
自分の中でずっと「なぜかしらん♪」「なぜか知らん」が揺れているのが面白かったのに。
世界からまた謎がひとつ減ってしまった。
















夜に浮ぶ月とマドンナ。




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