
大遠足
積 ( つ ) めよ積め財をつむより徳をつめ
まことの徳は崩るることなし
「 徳を積む 」 などは 当節はやらない言葉のようです。
ましてや 「 陰徳をつむ 」 に至っては。
こういう教えは多くの人の眼に
古くさい道徳というふうに映るらしい。
だが そう見えることこそが
いまの日本の憂うべき世相なのでしょう。
値うちをば身につけんとは努めずに
金のみあさる人の多さよ
いつの時代につくられた歌かわかりませんが
いまの世をズバリお叱りあそばしているようで
なかなか ・・・ 耳の痛いことです。
「 値うち 」 とは 人間的 人格的値うちということで
つまり 徳の高さ 精神的深さなどを指します。
拝金主義 物質主義の世相に流されて
人としての内面的な充実や向上をなおざりにしてしまいます。
そういう人がひじょうに多いことを この歌は指摘し 嘆いています。
「 財をつむ 」 こと自体がわるいというのではありません。
力量があって自然にそうなるのなら ・・・ 大いにけっこうなことです。
ただ 財をつむこと自体が目的になってしまうと
本末の転倒 人の道からそれることになります。
そういう姿勢で生きると 一時的な成功はありえても
長くは ・・・ 身につかないものですね。